《お人形令嬢の私はヤンデレ義兄から逃げられない》14歳と16歳②

そうしてお義兄様が學園に戻る前日、私は言葉通り朝からお義兄様にべったりされた。

足はだいぶ良くなったのか膝に乗せられ

「やった!膝に乗せれた!!」

と無邪気に喜んでいたし、お義兄様に服もこれを著るようにと用意されたものを著た。蒼いドレスだ。

「可いね、僕のお人形さんアリス…。そうだリボンも結ばないと…」

と頭にまた蒼いリボンを付けられた。

「完!とても可いね!!」

と言うお義兄様は嬉しがっている子供みたいだ。

「お義兄様…ありがとうございます」

そい言うしか無い。刺激してはダメ。でも…

「お義兄様…お父様のお墓には寄って行かないんですか?戻る前に」

帰ってきてから私と過ごしていたお義兄様がピクっとした。

「……そうだね…忘れてた…」

「え!?」

お父様の事を?どうして…あんなに良くしてくれたのに忘れてたって!?やはり殺したから!!?自分が毒を盛ったから!!?

急に憎しみが湧いてきた。酷いわ!!お父様が可哀想じゃない!!

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「アリスどうしたの?」

よくもどうしたのなんて聞けるわね!!

しかしお義兄様の次の言葉で私は唖然とする。

「ようやくお義父様を殺した犯人わかったよ?ずっとジョルジュと調べてたんだ」

そう言ったのに私は目を見開いた。

「え!?……お義兄様がお父様を殺したんじゃ…」

するとキョトンとした。

「?僕が?何で?」

「だって、私に縁談が來るのを嫌がってお父様を邪魔に思って毒を盛って…」

と言うとブンブン首を振る。

「違うよアリス。僕はお義父様を殺してない。犯人は別にいる。君は思い違いをしてる。お義父様をやったのはメイドのラミナ・ル・デーリヒだよ。あれの親族に君に婚約を申しれてお義父様が斷ったことから腹いせに殺害し僕に罪を被せようとした。

そうだアリス、君、お義父様のメッセージを見たんでしょ?ヨレヨレの文字で書かれた…。あれね、偽だよ。あれもラミナの工作だよ。彼の部屋のゴミから練習したヨレヨレの文字で書いた紙が見つかった。メッセージの文字と同じものさ」

「そ、そんな!!」

私は驚く。ラミナはあの日確かに

『このメッセージを旦那様がやっと書いて…』

喋れもしないお父様をいい事に私はすっかり信じていたと言うの?

「ラミナの家は王宮薬師の家系で伯爵家だそうだよ。有事の際に使える危険な薬草も自分の家の溫室で育ててるみたいだった。調べたらその毒草と盛られた毒が一致したんだ。死ななくても全麻痺癥狀が殘り起き上がれない。そのうちに弱り死ぬ…そういう毒なんだ」

「どうして私に教えてくれなかったのですか!?」

「確証が持てるまでアリスを不安にさせたくなかったしアリスを守るためにペンダントをあげて噂を流した。アリスにれたら呪われると…。アリスの食事はそれから毎回毒がってないか調べる事にジョルジュに頼んだ。數回に一度ってた。

僕は毎週君に変わりないか手紙を書いた。調は大丈夫だよね?」

と聞かれ私はお義兄様の手紙も怖いと思っていた事を恥じた。

全部誤解だったの?いや、でもこ、この髪は??

流石にないでしょ!?するとお義兄様は木箱を見てため息を吐く。

「迷?なら捨てていいよ…。嫌われるなら…。というか僕なんて嫌われて當たり前。ふふ。ごめんね。困らせるつもりはないんだよ……。婚約だって僕の醜い嫉妬で今まで蹴散らしてきたせいでアリスが狙われた。アリスが死んじゃったら何にもならないのに…。

ごめんね、アリス。もう犯人は見つけたからこれからラミナもその親族も罰せられると思うよ。僕が余計な事をしたせいで命を狙われてごめんね…」

私を膝から下ろすとお義兄様は首につけられた石を外した。

「これで自由だよ。僕のしいお人形さん…。好きにこれから好きな人を作って幸せになってね」

そう言って悲しそうに口元を歪めた。

そして部屋から私を追い出した。

「お義兄様!?」

すると扉の向こうでお義兄様はんだ。

「ごめん…ごめんなさい!!ごめんなさい!!僕は気持ち悪いんだ!!気持ち悪いんだ!もう近付かないで!!僕はもうおかしいんだ!!

傷つけたくないから離れて嫌って!!」

そう言うと靜かに泣き出す聲がした。

「お義兄様!!誰もお義兄様を気持ち悪いだなんて……」

「思ってるよ…他の人もペンダントの事を信じて僕の事狂気の男として見ていた。君も。僕でさえそう思う。

ふふ、大丈夫だよ…アリス…。ちゃんとお義兄様がちゃんとした人を婚約者に推薦するからさ」

「お義兄様私は…」

「謝らなくていいから行け!!」

そう怒鳴られ私は扉から離れて行くしか無かった。

お父様…。私…間違ってた?どこで?疑問を持って信じてあげられなかった。お義兄様は一人ぼっちだと言った。子供の頃に待で植え付けられ確かに格は怖がりになり私を気にり執著はしたけど…ずっと影から私の事を守ってくださってたなんて知らなかった。

翌日お義兄様は私に挨拶した。

「じゃあね、アリス。楽しい休暇だったよ」

そう言い、いつもの挨拶のキスはせずチラリと髪の隙間から見える蒼い目はを失ったように曇っているように見えた。

何故か心が凄く痛みだす。泣き出したいような気持ちだ。お義兄様の馬車は遠くなり學園に戻ったお義兄様からはそれから手紙らしきものは屆かなくなり冬季休暇になってもお義兄様は寮から戻らなかった。

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