《悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?》

「おいポピー、いつものマッサージしな」

「はい、ただいま!」

お風呂上がりはマッサージの時間だ。いつもなら面倒くさい気分だけど、わたくしはかにほくそ笑んでいた。いやいや、想像しただけで嬉しくて仕方がない。

王子様が卒業パーティーでシェリーに婚約破棄を宣言する! こりゃーさぞかし恥ずかしいだろうねー、いや落膽するだろうねー、なんせ皇族になるのが夢だったんだもんねー。でも、まあ自業自得だよ。『ざまぁ』ですわね! おーほほほほほほ!

専用ベッドに偉そうに仰向けになる馬鹿も今日は々可らしく見える。そんな彼にバスタオルを優しくかけ、凝った肩から腰まで隈なくみほぐした。いつもよりも念りに力強くだ。

「あら、今日は隨分と丁寧じゃない?」

「そーですかー?」

うふふと笑っちゃいそうなのを我慢する。とはいえ、わたくしの任務はちょいと厄介だった。

婚約破棄をすんなりれられる様、事前にある程度の覚悟を決めさせておくという役目を仰せつかったからだ。確かにいきなし宣言されるとこの馬鹿の事、何しでかすか分かったもんじゃない。ココロの準備は必要だよね。ただ問題はどう説得するの? これは難問ですわよ! ……でも、やるしかない。わたくしの人生に関わるからね!

「ところでシェリー様、王子様の追っかけ令嬢ですけど……」

「あん? ミーアがどうした?」

「生徒會室へって行く姿を見てしまいまして」

「な、なに⁈」

ガバッとシェリーが起き上がろうとしたけど背中に重を乗っけてマッサージを続けていたので、どうやら起き上がれずに諦めた様だ。

「わたくし、気になって生徒會室を覗いたのです」

「それで⁈」

「シェリー様にめられたお話をされていました」

「……チッ!」

チッってね。そりゃいつかバレますわよ。

「それを聞いた王子様はとても立腹なされて」

「あー、マジかー! 何なのよ! ミーアめ!」

「婚約を考え直すと仰ってました」

「はぁ? そんなのできっこな~い! 考え直す~? あのねポピー、これは陛下とお父様がお決めになった縁談よ。王子がひっくり返すなんてアンタ、出來るわけがないわよ~」

な、何よ、その腹立つ言い方!

「うーん、まあそう思いますけど、もしかしたら王子様は陛下を説得するかも知れませんよ?」

「まぁさぁかぁー? たかが王子に群がるムシを懲らしめたくらいでー? そーんなアンタ、くだらない理由で陛下が納得するもんですかー、うふふ」

くだらないとは何なのよ、毎回トイレで水ぶっかけたり靴を捨てたりして……恥を知りなさい!

「でも一応、めるのはお控えした方が宜しいかと思います」

「ふん! 明日とっちめてやるわ!」

えーと、人の話聞いてます? 馬鹿なんですか? あ、そうか馬鹿って散々わたくし言ってましたわね。この人お馬鹿さんなんです。これは思ったより手強かったな。

さて、どう説得しましょうか……?

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