《悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?》9
取り巻きが遠慮がちにドアを開く。流石に相手は皇室の方、しかもわたくしの婚約者だ。失禮がない様に振舞っているのでしょう。
その生徒會室には王子様とミーア様、それに男子生徒が數名ほど何やら打ち合わせをしていた。ここへ決して來るはずのないわたくしの突撃訪問に皆さん目を丸くして驚いている。だけどそれは直ぐに冷たい視線へ変わっていった。
ーーくっ、怯んでる場合じゃないぞ! 悪役令嬢を演じねばっ!
背筋をピンとばして斜めに構え、腕組みしながら上から目線で威圧した。そして微笑も忘れない。
「ご機嫌様でございますわ。エリオット様?」
「……これは珍しい。で、僕に何か用ですか?」
王子様も微笑を浮かべるものの目は笑っていない。「ふんっ!」とわたくしはココロの中で呟いてみせる。
「今日は卒業パーティーの件でお伺い致しましたの。王子様、婚約者であるわたくしの場をエスコートして頂けますよね?」
「ああ、その事だが……」
さぁ、きっぱりとお斷りください。そしてわたくしは往生際悪く、しつこく食い下がるのです。
「今回はやらないつもりだ」
キターー! お斷り~! 待ってましたよー! いや待て待て、落ち著け、落ち著くんだ。ここは冷靜に対処するのよ。
「仰ってる意味が分かりませんが。やらない? 正気ですか?」
「卒業パーティーは卒業生のために行うべきだ。僕たちが特別な腳を浴びる必要はないと思ってね」
「おーっほほほほほ……これはおかしなお話ですわ。わたくしたちこそ特別な存在だと思いますが。だって貴族の頂點、ロイヤルファミリーですよね? それに第一、第二王子様の時もしっかり婚約者をエスコートしてましたけど? エリオット様はその伝統を貴方の一存でお辭めになるのですか?」
「ああ、そう考えている」
「とても信じられませんわ。その事、理事長である我が父に承諾得てますの⁈」
「シュルケン公爵にはこれからお話するところだ」
「ふーん。お父様が何て言うかしらねえ?」
「理事長もご理解頂けると思う。それに君の事もご報告しなければならない」
「ーーは? わたくしの事?」
「君は厳粛なる貴族院でワインを飲んで、此処にいるミーアを何度も何度もめているとね」
「……なっ⁈」
そーきたか! やっぱり何だかややこしくなってきたぞ!
するとミーア様は涙を浮かべながら王子様の影に隠れる素振りを見せた。そして彼の腕をしっかりと摑んでいる。
か弱いを演じてるの⁈ 兵士の癖に? 何なのこの茶番⁈ このまま言い合いを続けるとわたくしが馬鹿の代わりに婚約破棄を宣言されるかもしれないよ。しかも斷罪の雰囲気! ここで破滅エンドなんて真っ平ごめんだわ! 婚約破棄の『ざまぁ』は本に言って頂戴!
「王子様、お好きにどうぞ。それとエスコートの件もかしこまりました!」
そう言い放ってわたくしは颯爽とこの場を離れていった。
兎に角、逃げるっ! これ以上は危険だわ!
ヤンキーが語る昔ばなしシリーズ
ヤンキーが語ってます。
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前世の記憶を持ったまま乙女ゲームの世界に転生した。 その転生先が何をしても死が待っている悪役令嬢。 いやいやいやいや、せっかく前世の記憶があるので 死亡フラグは回避させていただきたい。 そして、あわよくば前世の趣味だった音楽で有名になりたい。 この物語は、悪役令嬢のはずのリリア・エルディーナが フラグガン無視で自分の趣味に沒頭する物語です。 注:乙女ゲームのヒロインは途中から登場しますが物凄くイライラしますのでお気をつけください。 ですが、仕事や學校などなどいろんなストレスを抱えてる人にはすっきりできるくらいのざまぁwがございますので安心して下さいませ。(笑) ・ ただいま、アルファポリスにて最新話更新中
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8 171彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…
女性向け、悪の組織派ラブコメ。--- 普通のダサメガネ女子高生の雪見時奈はバイト帰りに悪の戦闘員らしき男に水を渡した。 しかしその男はアイドル顔のイケメンクソサイコ金持ちだったのだ! 私の平穏な貧乏生活は一體どうなるのだろうか? ※お話によって戦闘シーンで暴力描寫がある場合がありますがそこまで酷いものではないと思います。 基本ラブコメですが性的表現は控えております。お試し投稿中です。応援いただければ幸いです…。 基本はヒロイン視點のお話ですが彼氏視點になったり他キャラ視點になったりもします。
8 128聖女のわたくしと婚約破棄して妹と結婚する? かまいませんが、國の命運が盡きませんか?
リリアベルは、生まれつき身體に百合の紋章を宿した聖女だった。 けれども、人の感情がオーラとして見える特殊能力があるのを、婚約者のアーサー公子からは疎ましく思われている。 「お前とは婚約破棄して、妹のララローズと結婚する!」 華やかな仮面舞踏會の夜、とうとう高らかに宣言される。 その上彼は、聖女の証まで噓だと疑ってきて……? 「今ここでドレスを脫ぎ、印を見せてみろ」 乙女の肌を大衆の目にさらすわけにはいかない。 抵抗するもむなしく、背後から捕えられ、絶體絶命のピンチに――。 「やめろ!」 そこへ、仮面をつけた見知らぬ男性が現れたのだった。 ※2022/11/17異世界戀愛日間ランキング11位・総合日間13位・総合日間完結済4位 応援ありがとうございます。 ※第一部だけでも婚約破棄がテーマの短編としてお楽しみいただけます。 ※第二部は後日談的な位置づけとなります。 ※2022/12/02カクヨム様にダイジェスト版の掲載をしました。
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