《悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?》12

會場には多くの生徒が集まっていた。先ずは卒業式のリハーサルを行っている。仕切ってるのは生徒會だ。立ち位置など確認しながら細かく説明する場面もあった。

わたくしも職員からパーティーのレイアウトや準備の段取り、當日の役割などを聞いていた。ふと、笑い聲が聞こえる。生徒の集団に目を映すと馬鹿が取り巻きとペチャクチャお喋りしながら時折大聲で笑ってる姿が見えた。目立つことこの上ない。

ちゃんと真面目にしなさいよ!

と、ココロの中でぶ。

「そこ、お靜かに!」

王子様の取り巻きが注意した。するとしの間は靜かにしているが、退屈なのかまたお喋りに花が咲く。

ったく、靜かにしろって! ああ、何でアンタはそうなのよ! 何だかわたくしも恥ずかしいわ!

と、ヤキモキしてるうちにパーティーのリハーサルへと移行した。ここでは開催挨拶の流れやテーブルの配置がざっくりと説明される。

さて、これまでのところ王子様は馬鹿を完全に無視している。

むふふ。気づくのよ、シェリー。アンタは相手にされてない。そーやって取り巻きとワーワーはしゃぐのも王子様の気を引こうとしてるのかしら? それとも寂しさを紛らわそうとしてるの? 哀れね、ア・ン・タ!

わたくしがかにほくそ笑んでいたら、最後に聞き捨てならないイベントを耳にした。それはダンスの話だ。なんとダンスの時間があるらしい。

まぁオーケストラ呼んでるからね。……ん? ダンス? 馬鹿ってダンス下手クソでしょ? だって今まで社パーティーなんかわたくしが代わりに出場してたわよね? そりゃあ自分は完璧に踴れるわよ。お屋敷で大特訓したからね。でも馬鹿はどうするつもりなの⁈ それに王子様からエスコートされる? いえ、されないよ。じゃ、もしかして誰からもエスコートされないのかな? ちょ、ちょっとこれ、『プチざまぁ』かもしれないわ!

むふふ。これはお楽しみね。今日の王子様も終始完無視だったし思い知ったか? 馬鹿め!

***

「あー、かったるかったわー。ポピー、ワイン頂戴!」

リハーサルが無事終わってコイツはのお部屋で寛いでいた。

「シェリー様、お疲れ様でした。あの日、わたくしも大忙しになりそうです」

「あ、そう……でも何か面倒臭そうね、卒業式もパーティーも」

「はい? い、いえ、でもこれは一生の思い出ですから! 貴族院最後の節目ですから!」

「あのね、ポピー」

この後、馬鹿からとんでもない指令を出されてしまった。わたくしもよくよく考えてみれば「ヤバい」と危険予知できた筈なのに、自分のお給仕としての役割やアイツのプチざまぁを想像して、思考は完全にお花畑になっていたのです。

「ええええぇぇぇぇぇぇぇええええーーっ⁈」

それを思い知らされたぁ! 全力で拒否したいぞぉ! だって、だって、その指令とは……

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