《悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?》21
「シェリー? 黙ってないで言いなさい。王子の発言、場合によっては侮辱罪で訴えても構わん」
鬼の形相で問いかける主人様に恐怖をじてしまった。一方で王子様は先程とは打って変わって暖かい目をわたくしに向け、「さあ、全てを暴してごらん」と仰ってる様な気がした。
「あ、あの……」
あぁ、一何を言おうとしてるの? 待って、落ち著いて……よく考えるのよ!
わたくしは目を閉じて気持ちを整理してみる。
馬鹿にはこれまで散々な目に遭ってきた。いつか仕返ししたくて堪らなかった。もっと言えば、「死ねばいいのに!」とさえ思った事もある。わたくしは常に優秀な績を求められ、お屋敷で散々勉強させられたし、ジャック様から厳しくダンスを教えて頂いた。全てはアイツに代わってシェリーと言う淑を作り出す為に。でも幾ら努力したって、あの馬鹿は悪役令嬢だった。いつかバレないかとヒヤヒヤしながらやりたくもない悪役令嬢を演じてきたの。もううんざりです。もうそんな生活から解放されても良いんじゃない?
そうよ、誰よりもアイツに『ざまぁ』したいのはわたくしなの! よおしっ。
靜かに目を開けた。もう迷ってられない。
「お父様、いえ、主人様……」
「はあ? 主人様だと?」
「まだお分かりになりませんか? わたくしは使用人のポピーでございます」
その瞬間、靜まり返った會館が騒ついた。父兄、教師、卒業生らが顔を見合わせ口々に「何?」「どう言う事?」と言ってる聲が聞こえてくる。
「な、何を言い出すのだ、シェリー? あの使用人なら、あそこのカウンターでドリンクを配ってるじゃないか」
「あのお方がシェリー様なのです。わたくしたちはれ替わっております」
「は……はははは……はは……シェリー、どうしたのだ、何故そんな見えすいた噓をつく?」
「シュルケン公爵、これは本當の事だ。彼は十年前からご令嬢の影武者を演じていた。勿論、貴族院への學試験も期末照査もダンスも全てポピーがシェリーの代わりに行ってきた結果だ」
「ば、馬鹿な事を……?」
「貴方の自慢する令嬢の功績は全てポピーだったのです!」
「何を突拍子のない事を! 王子、いくら貴方でも許しませんぞ。それにシェリー、お前までそんな話、誰が信じると言うのかっ⁈」
主人様の怒鳴り聲で會館はまた靜寂に戻った。
ーーと、その時だ。ジャック様が突如わたくしたちの前に現れたのです。
「お父上様、このジャックはとっくに気がついていましたよ」
「ジ、ジャック⁈ えっ? お前まで……⁈」
主人様はジャック様とわたくしと馬鹿をキョロキョロ見ながらかなり焦っていらっしるご様子。
つか、ジャック様までご存知だとは? いつからバレてたの⁈ 凄く気になる。でもこれは心強いよ。主人様はジャック様をかなり信用なさっている筈だから。
「ま、まさか、まさか……⁈」
「はい。ポピーはシェリーの影武者です」
「本當なのか、ジャック……い、いつから知ってたんだ……いや、今そんな事どうでもよいわ。お前がそう言うのならこの娘は使用人だろうな……あぁ、何てこった。信じられない」
ジャック様の參戦でわたくしが影武者だと強制的に理解させられた主人様は狼狽を隠しきれない。それを王子様は見逃さずトドメを刺された。
「シュルケン公爵、この罪は大きいぞ。皇族である僕を騙し、世間を騙した。このまま彼と結婚など出來る筈もない!」
「……は。も、申し訳……あ、ありませ……ん」
主人様はうなだれつつ、馬鹿を睨みつけた。
さあ、アイツの斷罪ショーの始まりだわ!
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