《悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?》22

主人様が馬鹿を手招きして呼んだ。でも離れた場所に居たアイツは詳細な狀況が摑めず、さしずめ王子様がざまぁされたと勘違いしていた様だ。そして勝利の酒を所されたと思い、ドリンクを手に取りホールへ向かって來る。心なしか酔って足元がふらついていた。それをエミリーが気づいて彼の後を追う。

「おい、ワインなど要らん!」

「あら、どうなされましたか、主人様?」

「何が主人様だ! お前は誰だ⁈」

「えっ⁈ わ、わたくしは……ポピーですけど」

馬鹿は直的に「マズい」と思ったのか、わたくしに助けを求める視線を向けた。

ふん! 知らんし。アンタ、もうお終いですから。お・し・ま・い……よっ!

「正直に言いなさい。シェリーなんだな?」

「シェリー様はそちらにおいでですが?」

この後に及んでまだシラを切る気? バレてるっての!

主人様がシェリーのお顔に近づいて呟かれた。

「しかし、よく似てるな。全く見分けがつかない……と言うかお前、酒飲んでるな⁈ ポピーは給仕中に酒を飲む事など絶対せんわ!」

「あ、あの、これは味見と申しますか……」

いつまでもシラを切る馬鹿にジャック様が引導を渡した。

「シェリー、もう観念しなさい。お前のやってる事は犯罪だ。王子様に、お父上様に、ポピーに、そしてここに居る皆さんにお詫びするんだ」

「えっ⁈ な、何で……」

「この馬鹿モノーーッ!」

バチーンッと主人様が平手打ちをした。

「うう……」

「お前と言うヤツは! お前と言うヤツはっ!」

何度も何度も主人様が馬鹿を叩いた。それをジャック様がお止めになる。

「もういいでしょう。さあ、シェリー、詫びるんだ!」

ぶたれて倒れ込んだアイツは、最早言い逃れが出來ないと悟った様だ。鼻を垂らした悲痛な表と共にカラダが震えている。そして上目遣いでわたくしを見た。

よし、言ってやる。

「シェリー様、わたくしは公爵家に売られたです。でも、ただの使用人とは違った。貴に似てるからって、これまで散々影武者を演じさせられました。全て貴の命です。とは言え、わたくしも同罪……貴と共に如何なる処分もおけ致します。但し、その前に謝ってください」

「ポ……ピー……」

「あやまれーーーーーーーっ!」

「ひぃ! ご、ごめんなさい!」

こぉのお、馬鹿ぁ、ざまぁぁぁぁぁよ!

「皆さんにも詫びるんだ。シェリー」

「は、はい。王子様、お父様、そしてここに居る皆様ごめんなさい。わたくしが悪うございました。本當にごめんなさい。許してください」

「シェリー様、ミーア様にもよ!」

「はい」

王子様の側に居たミーア様に向かって、馬鹿は土下座した。わたくしも同罪だ。だから一緒に土下座をする。

「ミーア様、ごめんなさい!」

そして今度は主人様も王子様に土下座をした。

「王子様、申し訳ありませんでした。わたくしの目は節でした。如何なる処分もおけ致す所存でございます。本當に申し訳ありません!」

「分かった。シュルケン公爵、では僕からの提案をけて頂こう」

「ははっ、して、その提案とは?」

王子様はわたくしを見つめ、こう仰いました。

「シェリーの貴族院卒業を取り消してポピーの卒業を認める。それ以外の罪は問わないでおこう。あ、それから近々ポピーの柄を引き取りたい」

    人が読んでいる<悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください