《悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?》37
「くかー……」
あれからほぼ毎日、シェリーは晝から授業をけなくなった。お晝寢の時間と化していたのだ。まぁ元々この子はよく寢る。休日は晝過ぎまで寢てるのがザラで婦人やライラに気付かれない様、わたくしが上手く誤魔化してきた経緯がある。
さて、晝休憩のルーティンはこうだ。友達と晝食や雑談を楽しんだシェリーは授業の前にお部屋へ戻って來る。その間、ポピーは変裝を済ませておき、れ違いに教室へ向かうのだ。
以前、わたくしはポピーに問いかけた事がある。
「ポピー、用務員と影武者どっちが良い?」
彼は普段、用務員として働いている。花壇の水やり、院庭の清掃など化係を擔當していた。最も定期的に専門業者が清掃を行ってるからお手伝い程度ではあるが。
「それは勿論、用務員ですわ」
「なぜ?」
「気が楽ですから」
「授業は楽しくないの? 本來ならポピーだってここに通ってたかもしれなのに」
「授業は楽しいですよ。特にダンスの時間は。でも」
「でも? シェリー様にりきるのがしんどいの?」
「はい。お友達と話が噛み合わない事が多くて。だからあまり喋らない様にしてます」
「そうね。全てを把握して影武者演じてる訳じゃないからね。難しいと思うわ。……あ、そうだ、わたくしを介して出來るだけ報を伝えるってのはどう? しは役に立つかもよ?」
「それは助かります。シェリー様はわたくしの事、お嫌いなので上手くコミニケーション取れなくて困ってたのです」
「それはポピーに嫉妬してるからよ」
「そうですか?」
「だって何やっても貴に敵わないんだもの」
確かにポピーは超優秀だった。でも努力家とも言える。彼の才能に驚いた婦人はシェリーではなくポピーに英才教育を施したのだ。一流の家庭教師を科目毎に揃え、深夜までビッシリと教え込んだ。その後で使用人の仕事をさせられていたから本人の負擔は計り知れない。
「このままでは倒れますよ」と婦人らを説得して貴族院から戻るとポピーの代わりにわたくしがお屋敷の用事を済ませ、彼の負擔を減らしていった。それくらい危険な日々だったのだ。だからポピーはわたくしに謝していたし、信頼もされている。
***
さて、貴族院中等部をこの様な日常で過ごし年度末照査を首席で卒業したシェリーポピーは、いよいよ高等部へ進學していく。
そして、隣國からあのエリオット王子が戻って來るのだ。わたくしの見立てではシェリーは勿論、ポピーも王子にしている。これは一波あるに違いない。
「エミリー、王子様はいつ帰國するのー?」
卒業前からシェリーはソワソワしていた。いえ、シェリーだけではない。殆どの生徒が期待にを膨らませていた。皇族と同學年なんて滅多にない経験だ。シェリーが婚約者だと認識してるにも関わらず、ファンクラブが発足する様な勢いに彼は神経質な一面を見せ始めていた。
「シェリー様、王子様の婚約者は貴です。これは何があろうと絶対に変わりません。だから堂々と振る舞って下さい。余裕、いえ貫祿を見せるのです」
「う、うん。分かってる。……でも」
「でも? まあ貫祿を見せると言っても何も我慢する必要はありません。余りにも逸したファンが居れば敗すれば良いのです。シェリー様は首席でお父様は理事長……この貴族院のボスは貴なのです。ボスは何をやっても許されますから!」
「ゆ、許される……貴族院のボス……か」
おてんばなシェリーの心に火が燈った様だ。恐らく「獨占の火」だろう。やがて炎と化す。酸素を供給するのはわたくしだ。
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