《悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本に『ざまぁ』したけど? 本當の悪役はアイツだった……!?》48

ミーアが骨にめられてから僕はシェリーを無視する様になった。腹ただしい思いがある。だが元々彼とは隨分會話をわしていない。子供の頃の「親睦會」は貴族院へ編してから行っていなかったし、すれ違い様に會釈する程度だったので、これまでと然程変わりはない覚だった。

僕はそれでシェリー悪役令嬢が傷ついてるなんて思ってもいなかった。むしろ傷ついて自業自得だとじてほしかった。

だが……

それから間もなくの事だ。思いもよらない出來事が起こった。生徒會室に決して訪れる筈のないシェリーが突然訪問してきたのだ。

「あっ⁈」

一同驚きを隠せない。

は背筋をピンとばして斜めに構え、腕組みしながら上から目線で威圧する。そして口元は微笑を浮かべていた。

「ご機嫌様でございますわ。エリオット様?」

な、何の用なんだ⁈ い、いかん、揺する。落ち著け! 落ち著くんだ!

「……これは珍しい。で、僕に何か用ですか?」

辛うじて微笑を浮かべ対抗する。

「今日は卒業パーティーの件でお伺い致しましたの。王子様? 婚約者であるわたくしの場をエスコートして頂けますよね?」

そんな事を聞きに態々ここへ來たのか? ま、まあ良い。丁度良い機會だ。はっきり斷ろう。

「ああ、その事だが……今回はやらないつもりだ」

「仰ってる意味が分かりませんが。やらない? 正気ですか?」

「卒業パーティーは卒業生のために行うべきだ。僕たちが特別な腳を浴びる必要はないと思ってね」

「おーっほほほほほ……これはおかしなお話ですわ。わたくしたちこそ特別な存在だと思いますが。だって貴族の頂點、ロイヤルファミリーですよね? それに第一、第二王子様の時もしっかり婚約者をエスコートしてましたけど? エリオット様はその伝統を貴方の一存でお辭めになるのですか?」

「ああ、そう考えている」

「とても信じられませんわ。その件、理事長である我が父に承諾得てますの⁈」

「シュルケン公爵にはこれからお話するところだ」

「ふーん。お父様が何て言うかしらねえ?」

僕は段々と腹が立ってきた。的になるのはマズいと思いながら、つい彼を責めたくなった。

「理事長もご理解頂けると思う。それに君の事もご報告しなければならない」

「ーーは? わたくしの事?」

「君は厳粛なる貴族院でワインを飲んで、此処にいるミーアを何度も何度もめてるとね」

「……なっ⁈」

その瞬間、ミーアは咄嗟に涙を浮かべながら僕の腕を摑み、背後へ隠れる素振りを見せた。如何にも人の様にだ。そして僕はに流されて彼めたシェリーをこの場で斷罪したくなり、敢えてその演技を続けていく。すると、

「王子様、お好きにどうぞ。それとエスコートの件もかしこまりました!」

シェリーは怒りをわにそう言い放って生徒會室から出て行った。

正直、しホッとした気分だ。

だがまあ、これで僕の気持ちも理解されたであろう。しは自覚してくれたのならこれで良い。

さて、次なる手を打つ為に僕は宮廷へ戻った。ある人と會わなくてならないのだ……

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