※ジェラール視點

「いやあ、殿下、アニエス様はほ・ん・っ・と・に・おしい。笑顔も素敵で側に居て幸せな気分になりますよー、ああ……目を閉じれば殘像が浮かびます！」

相変わらず能天気な男だ。々腹が立つ。それに正直、羨ましい……。

「そうか。と言うよりお前の想はどうでもいい」

執務室の中で部下のバルナバは自慢げに報告してくる。何の自慢なんだか意味が分からない。

「僕、惚れちゃいそうです！　惚れていいですかね？　殿下？」

な、何を言い出すんだ。馬鹿か、こいつは！

「お前の職務は罪人の監視だ。私を挾むな」

「はい、分かっていますよ。でもねえ……」

「だからお前の気持ちは報告に必要ない。それで？　スープの味にしてお店を手伝ったって？」

「り行きだったんです。丁度お店が混雑して將が余りにも忙しいそうだったから、アニエス様がウェイトレスやり出して、それを見たコリンヌまでもが皿洗いして……仕方ないから僕も注文けたりしましたよ。いやはや」

何がい・や・は・や・だ。楽しそうじゃないか。全く。

「あ、そう言えば気になることがありました」

「何だ？」

「アニエス様がコリンヌのの上話をお聞きになって興味を持たれた様です」

「コリンヌ……ああ、よく働く孤児だったな」

「はい。島に孤児院があることを知って、何か力になりたいとお考えになられたみたいですよ」

ほう。島のの部分に気がついたか。

「この島の詳細は話したのか？」

「あ、いえ特には」

「いずれ知るだろうけどな」

この島の民は二つの出生がある。一つは元々住んでいた民だ。そしてもう一つは囚人の子孫たち。囚人と言っても々な人がいる。兇悪な犯罪で一生監獄から出られない囚人もいれば、島からは出られないが一定期間、労役すれば出獄される人々だ。彼らは島へ土著していく。真面目に働く者が大半だが中には出する者も居て、子供を放置する問題も発生していた。コリンヌもそんな一人だった。

まあ、私が領主となってからは走、獄、育児放棄など起こってないが。

「今、孤児院へ所してる子供はないはずだよな？」

「はい、確か八人だったかと」

「孤児院で何がしたいのか興味がある。今度、教えてくれ」

「かしこまりました。ところでブリス監視にも報告が必要ですよね？　と言うか、あの人って何やられてるんです？　全くお屋敷にも來られませんけど」

「彼はアニエスが島から走さえしなければ、それでいいと思ってるんだろう。報告は簡単で良い」

「いい加減なヤツですね。暴力的で好きになりませんよ」

まあ、そこは俺も同だ。

「彼は別の目的がある」

「はて？　何でしょう？」

「この島の、いや私の落ち度を探っている。兄の差し金だ」

「意味が分からない！　殿下ほどしっかり島を管理してる方は居ませんよ！」

「まあ、彼にはビソンが対応してるから問題ない」

「では僕は異・常・な・し・！・とだけ報告しときます！」

バルナバは不服そうに執務室から出て行った。そしてデスクでふんぞり返ってるブリスへ一言報告する。彼はバルナバと目も合わさず「あ、そう」で終わった様だ。