《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》20. 報告

※ブリス視點

「ケヴィン様、罪人は慎ましく暮らしています」

俺は宮殿のダイニングホールで、朝からワインをかっくらってる王太子にペチェア島での報告を行っていた。勿論、此処にカリーヌは居ない。そのタイミングを見計らってのことだ。

「そうか。アニエスは大人しくしてるのか」

「はい。特に問題はないかと」

「ふーん。で、ジェラールの様子は?」

「城で黙々と執務にあたってるだけですね」

「アイツの不審な點はなかったのか?」

「探ってみましたが、今のところは……」

ケヴィンは島からの獻上品である魚料理を味しそうに食べていた。

「それにしても味いな。あの島は魚がいい」

「はっ、それは実しております」

「ふふふ、そうだろう。観客も居ない罪人だらけの全く魅力のない島だが、漁業だけは素晴らしい。あそこは魚で持ってる様なものだ。ははは……」

ふん、能天気なお人だ。その魅力のない島へ赴任させておいて。くそったれめが。本當のこと言うぞ? あのな、お前が嫌ってる殿下は非の打ち所がない素晴らしい領主だったよ。……し変わってるけどな。

そうココロの中で毒づいた。

「ところでカリーヌなんだが……」

「王室の教育は順調ですか?」

「いや、困ったもんだ。一年ではとても……」

お、おい、それじゃ俺はいつまであの島に居なきゃならないんだよ?

「英才教育なさってるんでしょう? 一流の講師を雇って」

「まあ、そうなんだが。覚えが悪くて……いや、覚える気がないのかな?」

「そ、そんなことは無いかと……」

「最近、ヒステリックで困ってるんだ」

いや、だーかーらー、ちゃんとやってくれよ。お前が強引に決めたんだろうが。

「と言うことで引き続きアニエスを監視してくれ。あ、念のため“変な蟲”がつかない様にな」

「は……?」

何を言ってるんだ? 何のために? コイツはアニエスをどうしようと思ってるんだ?

しっかりとカリーヌの面倒見てくださいよ! って言いたいところだがやめておこう。馬鹿と問答する時間はない。

俺は別の用事があるのだ。

「かしこまりました。失禮します」

その足であの方へ拝謁しに行く。後をつけられてないか一応警戒するが、ケヴィンにそんな采配は無い。全くの無警戒だ。まあ今のところ、俺を警戒してるのはビソンだけだろう。背後に殿下が居るだろうけどな。そのビソンの配下も王都までは追えない。せいぜい島で俺を見張ってろ。知らんぷりしといてやるから……。

そんなことを考えながら、宮殿の奧深くまで足を運んだ。警護の者に話を通し執務室の前へ立つ。

「ブリスです。ご報告を」

「うむ、れ」

その聲の持ち主は國王陛下だ。

俺はケヴィン様の配下の様で実は陛下直屬の諜報員なのだ。このことはあの馬鹿は知らない。

「監獄で會えたか?」

「殘念ながら特別室の前まで行ったのですが、中はれませんでした」

「では生存確認は出來なかったと言うわけだな?」

「はい。これ以上は陛下の書簡が必要です。警護もしっかりしてますので」

「ふーむ。流石はジェラールだな」

「如何でしょう、直接本人へ書簡を送られては? その使者をお命じくだされば面會は可能です」

「なるほど書簡ねえ。暫く考えたい。お前も何らかの手を考えておけ」

「ははっ」

そうは言ってもね。俺がどうこう出來る相手ではない。そもそも貴方が追放した“弟君”ですよ?

あの厳重な監獄の中で、どうやって彼を暗殺するのですか……?

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