《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》52. 伝言

「え~、皆さんにお話しがありま~す」

バルナバさんがお屋敷のリビングに皆さんを集めています。

何だろう……と、コリンヌと目を合わしたけれど彼も何も知らない素振りを見せた。

「かしこまって、一何のお話ですか?」

ベルティーユが々不機嫌な様相を呈している。恐らく、この場に薄さんが居ないからだ。彼が不在なのに何をコソコソ話するのか納得してないのでしょう。何故なら、いつの間にか二人はお互いココロを開いて、何でもお話する間柄になっていたから……。

「え~、急遽、監視殿が王都へ行かれましたので、このタイミングでお話し致しますね」

「えっ? 王都? 先週行かれたばかりなのに?」

今や牧場のパートナーになっていたソフィアでさえ、何も聞いてない様子。

「今朝もいつもの様に朝食を召し上がっていましたが?」

彼から何も聞かされてなかったことに、ベルティーユは不満を滲ませる。

そういえば薄さんは、ここ數日でパンの焼き窯や発酵する専用小屋を建ててくれた。お城からも番匠を雇って、それは立派な小屋に一同びっくりしたものだ。今思えば、々焦っていたかの様にもじる。

「何かあったの?」

「え~、その辺の詳細は聞いてません。複雑な政治事だと思います。まあ、たぶん日帰りで戻られるでしょうから、ご心配なく」

「え?……では、何のお話?」

皆んなは薄さんに何かあったのか気になっていたけれど、日帰りで帰ることを聞いて一安心した様だ。でも、次に彼が口にした言葉は──

「殿下からの伝言です。よおく聞いてくださいね。『アニエス公爵令嬢は冤罪。ソフィアもです。事があって島で監してるが、いずれ証明してみせる。だから、彼らを「罪人」と言う目で見ないでしい。』以上!」

ええっ!?

わたくしをはじめ、コリンヌ、ベルティーユ、ソフィアが驚きのあまり一瞬沈黙する。

き、急にそんなこと言われても、どう反応して良いのか困るでしょう……。

でも、その気まずい雰囲気を彼が変えた。

「あのね、そんなこと分かってますよ!」

ベルティーユが口火を切ったのだ。

「そうです! アニエス様やソフィアが罪人かどうかなんて、一緒に暮らしていけば「違う」って直ぐに分かりますよ、バルナバ様!」

続いてコリンヌが援護した。

「い、いやあ、僕もそ~だとは思ってますけどね。一応、殿下の命だから……ははは。あ、それと監視殿は王都の役人だから緒ってことで」

「そう言う話なら仕方ありません。でも、証明すればアニエス様やソフィアは王都へ帰れるのでしょうか?」

「さ、さあ~」

ベルティーユの鋭い質問に彼はタジタジだった。

「ありがとう、バルナバさん。そしてベルティーユ、コリンヌ。皆んな普通に接してくれてるけど、心、どう思ってるのか気になっていたから、そうはっきり言ってもらえて嬉しい。ね、ソフィアもでしょう?」

ソフィアは涙ぐんでいた。そして軽く頷いた。わたくしは彼をそっと抱きしめる。いえ、ベルティーユもコリンヌも皆んなで……。

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