《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》53. 噓

※ブリス視點

さて、船でビソンらと一緒だったがヤツめ、何処かへ行ったな。まあ宮殿までは尾行出來ないしな。

俺は再び王都へ舞い戻っていた。ジェラール様の書簡を攜えて陛下へ拝謁するためだ。

「全ては俺にかかってる」

囚人島へ赴任してから二か月半、自分の中で何かが変わった気がする。アニエス、ベルティーユ、コリンヌ、ソフィア、そして彼らを保護するジェラール殿下。お前らを守りたくなったのだ。

ふん、任せろ。俺にはとっておきの策がある。そのタイミングを待ってるのさ。だから安心しな……。

警護の者と側近に案されながら、陛下の執務室までやって來た。今回はケヴィン様に會う気はない。これは極報なのだ。

「ブリスか。思ったより早かったな」

「陛下、ジェラール様からの書簡でございます」

「ジェラールからだと?」

書簡を側近へ渡す。そして、ひと払いをお願いしたがれて貰えなかった。俺は言わば「殺し屋」だ。二人きりにはさせてくれない。

怪訝そうに中を確認する陛下は、その顔がみるみる変わっていくのが分かった。

「お、おい、どう言うことだ!? 説明しろ!」

「はっ。あの方は既にお亡くなりになられていました。直近のことです。信じられないので特別室を拝見させて頂きましたが……」

俺は首を橫に振る。

「お前はを見たのかっ!?」

「はい。ですが直ぐに火葬されましたので知ってる者はごく僅かです」

陛下は半信半疑だ。そりゃそうだろう。喜ぶより疑ってる。しかし、真面目な殿下が「偽りの報告」をするとは思えないはず。

「陛下、長年の政敵がお亡くなりになられたのです。これは喜ぶべきかと!」

「……ふーむ、だが、にわかには信じがたいな」

「では、墓前に供花を添える名目で調査してみてはいかがでしょう?」

「ほう、なるほど。王室として供花とお悔やみ狀をねえ。で、その間に監獄中を捜索するのか」

「はい、調査した上で正式発表するのです。今でもルーク様を慕う貴族はおります。彼らに旗頭が居なくなったことを宣言するチャンスでもあります」

陛下はキセルをふかせながら暫く考えていた。やがて「タンッ」と灰を落とす。

「調査にはケヴィンを使わそう」

「王太子を?」

「私の弟が死んだのだ。國王代理として彼が相応しいだろう」

め、面倒だ。島にはアニエスが居る……いや、だが待てよ。彼さえ気をつけていればあの馬鹿のこと、いい加減な調査で終わらすに違いない。

「かしこまりました。王太子が弔問すれば、疑いを持たれる貴族に真実味が増します」

「ああ、それと正式発表ではジェラールに狀況説明して貰おう。あいつが喋れば更に説得力が増す。お前は直ぐに戻ってジェラールに伝えろ」

「ははっ……」

これは想定外の展開だ。まあ仕方ない。ルーク様が死んだと陛下に「噓」をついたのだ。ジェラール様にもその一翼を擔って貰う。

そして、俺は全ての責任を取るつもりだ。

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