※ビソン視點

ブリスの尾行として二人を殘し、私は他の部下と街へ出掛けていた。目的は殿下の命である「アニエス嬢の無実」を調査するためだ。

その鍵となるターゲットが、よく出りしてるサロンで待ち伏せしていたら、それらしきが現れた。伯爵令嬢のコーム、シリル、ディオンだ。「アニエス嬢にめられた」と陛下の前で証言した三人は噂通り隨分と著飾り、ド派手な化粧だったので直ぐに分かった。

「ちょっと宜しいですか？」

いきなり四人の役人に囲まれた彼らは、驚くと言うより怖がっている。

「な、何なの！？」

「怪しい者ではありません。王室の使いです」

「王室ですって？」

三人は金持ちの令嬢らしく優雅な生活をしつつ、退屈しのぎに流行りのモデルをしていた。王室と聞いて何らかの味しい話と勘違いした様だ。

「ビジネスの話です。同席しても？」

「はい。そういうお話なら、どうぞ、どうぞ！」

三人は恐怖心から期待へ変わっている。

「ある事象を調査しています。協力してくだされば謝禮を出しますよ」

目の前のテーブルに金貨を並べた。

「す、凄い。……あ、でも調査って？」

「既に々調べてましてね。貴族院の職員や當時の同級生など。まあ、最終確認ですよ」

雲行きが怪しいとじた三人は、互いに顔を見合わせ戸っている。

「あ、あの、どう言った容ですか？」

「二年前、陛下の前で証言なさったでしょう？」

「はっ……！」

らの顔がみるみるうちに青ざめていく。

「貴方はアニエス・オードラン公爵令嬢にめられたと証言しましたが、実はカリーヌ嬢から頼まれたのではないですか？」

「い、いえ……それは……」

「ほぼ証拠は固まってます。正直にお答え頂ければ謝禮も出しますし罰することもしません」

三人は完全に沈黙した。

表から見て、もう黒と斷定してよい。こんな素人など吐かせるのは楽勝だ。全てハッタリなのに見事に引っかかっている。先日殿下から指示されたばかりで調査などしてる訳がない。まあ、時間がないからトドメを刺そうか。

「ここだけの話ですが、カリーヌ嬢は王太子妃候補から外される様です。恐らく追放でしょう。なので、もう彼に遠慮する必要はありませんよ」

「ええっ！？　そ、それは本當ですか！　とても信じられませんわ！」

「そうですわよ！　そんな話、聞いたことがございません！」

「極ですからね。追放する理由は々ありますが要は王族に相応しくないのです」

相応しくない……そう聞いて、なからず納得した彼らは不安に苛まれる。

「……本當に、追放されるのですか？」

「ああ、間違いないでしょう。だから教えてくれませんか？　決して悪い様にはしません。だって、貴方も被害者なんだから」

「……」

暫く考え込んでいたが、やがて意を決したかの様に話を始めた。

「実は……」

ポツリポツリと話した容はこうだ。元々、三人はアニエスと仲が良かったらしい。だがカリーヌがかに自分と王太子との関係を話し、アニエスを追放するのに協力すれば、將來の王太子妃として何でも願いを葉えてやると唆したのだ。カリーヌがアニエスに扮してめたことも彼らがめられたことも全て演技だった。

そして実際、彼らはカリーヌの斡旋でモデルをしている。つまり、恩恵をけていたのだ。

「なるほど。よく分かった。では、來るべき時期に改めて証言して貰おう。さもないと、お前ら全員監・獄・行・き・だ！」

「ひっ、ひぃぃ！」

私は凍りついた表を浮かべる三人の目の前に並べている金貨を鷲摑みにして、その場を立ち去った。