《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》79. ヒステリック
※バルナバ視點
獨房の中でもかなり待遇の良い部屋にカリーヌは収監されている。そこから暗くてジメジメした通路を歩くとビルニー様の特別室があり、僕はこの界隈へ行くのが億劫となっていた。
カリーヌは僕が見回りに來ると、いつも扉の柵越しからヒステリックにわめき出す。
「バルナバああっ、退屈だよおおお!」
……何故、彼は呼び捨てにするのだろうか? 何故、タメ口なのだろうか? 一応、僕はここの責任者なんだけどな。
「カリーヌ、運でもしてろよ! でないと醜く太るぞ!」
「あのね、運って、こんな狹くて汚い部屋で出來るわけないじゃん! ったく気が利かないな! そんなんだからモテないんだよ、バルナバは!」
僕がモテるかモテないかは全く彼に関係ないし言われる筋合いもない。更に言えば、僕にはコリンヌという人も居る。
「お前は何をしでかすか分からないから出られないんだよ。でもそこで食っちゃ寢、食っちゃ寢してるとカラダを壊すから心配してるんだ」
外見はアニエス様とそっくりなので僕も遠慮がちなのがいけないと思いつつも、我儘なカリーヌには手を焼いていた。
「もっと上手いもん食わしてよねー。こんなクソ不味いメシ食っても太らないよ! つか、最近のメシってほんと不味いよね? 料理人が変わったの?」
鋭い指摘だ。ビルニー様とカリーヌには特別にベルティーユが調理してたんだ。彼の作った料理はそりゃあ味しいよ。でも、王都へ行っちゃったんだから仕方ないだろ。
「とにかく、そこで足踏みでもしてろ!」
しい彼が太っていく姿を見たくはない。格が最悪なんだから外見も悪くなったら良いとこなしじゃないか。
「あ、足踏みって! 馬鹿にしてんの!? バルナバああっ!」
彼がわー、わー、うるさく「外へ出せー!」とぶと、決まって特別室の看守が気まずそうにやって來る。
「あの……特別室の主が呼んでますが……」
「だから言わんこっちゃない。カリーヌの大聲で僕が居るって分かるんだよ」
「如何しましょう?」
「ビルニー様はビソン殿しか対応しない。日に一回生存確認してるから用があるなら明日にでもと、伝えてくれ」
「それが、バルナバ様に用があると……」
これだよ。また無理難題押し付けるに決まってる。僕は政局とか興味ないし巻き込まれるのはゴメンなんだ。
「急用があって帰る……と伝えてくれ。ビソン殿からも會うなと言われてるし」
あ~~、面倒くさい。やっぱり、この界隈はベルティーユに任せた方が良いな。早く帰って來ないかなあ……。
「おーい、バルナバああっ!」
……まだんでるし。
部屋の前で溜息吐ついてると、ある策が頭に浮かんだ。
ん? そうだ。
厳重に警備した上で彼を中庭へ連れ出し強制的に運させてはどうだろう? そうすれば彼のイライラもしはマシになるんじゃないかな?
い、いや、それでは獨房の意味がないか……。ここで辛い思いをさせて反省を促すのが目的だからな。
でもなー、このままだとヒステリックに磨きがかかるだけだ。彼は公爵令嬢。いずれは出獄するだろう。その時、反省した風で実はより兇暴になってたらアニエス様に申し訳ないよ。
むむ……ここは監獄の責任者として特別に計らっても良いんじゃないか?
そんな思いが僕の中で広がっていった。
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