《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》82. 笑顔

※バルナバ視點

「特別だからなっ!」

監獄の中庭にあるルーク様のお墓の前でウキウキ気分のカリーヌに僕は強気で言い放った。でも彼は全く意に介さない様子。

「あーー、お外だあーー! うーん、空気が味しいよお!」

びして深呼吸する彼を見てると思わずアニエス様を彷彿させてしまう。

いやっ、違う違う! 彼は正真正銘の悪役令嬢、カリーヌだ。アニエス様では斷じてない!

頭を橫に振り妙な妄想を全否定し我に返る。

「いいか、カリーヌ! お前を連れ出したのは、ここで運させるためだ。分かってるよな!?」

僕は警護の者二人とともに厳しく監視するつもり。獨房の囚人を獨斷で外へ出すという、後めたい気持ちもある。なのでさっさと終わらせたい。

「て言うか、このお墓って偽だったんだよね」

墓石をペタペタと軽々しくるカリーヌに苛立ちを覚えた。

「今はそんな話してない! ほら、中庭をジョギングするんだろ!」

「はいはい。そういう約束だったよね、バルナバ」

「む……」

呼び捨てにされるのはこの際我慢してやる。何て呼ばれようが僕は彼の健康を維持しココロのケアをする責務があるんだ。

「よし、やるわよ!」

そう彼は自で気合をれた。でもその割にはトボトボ歩いて、その姿はとてもジョギングとは言い難くまるでお散歩してるかの様だった。

「結構、広いのねえ。うふふ」

久しぶりの屋外で気分が良いのか初めて彼の笑顔を見た。

アニエス様が居る……。今度はその気持ちを否定しなかった。

まあ、最初だから大目に見よう。

この中庭は四方を建で囲まれてるが木々や花壇などあって小さな公園っぽく思ってるのかな?

でも彼は二周、三周と歩いてくうちに息が上がってしまう。そして、花壇の側にあるベンチに座り込んでしまった。

「あーー、疲れたあ! バルナバ、ワインちょーだい!」

なっ、何なんだ? この娘は!? 僕のこと使用人とでも思っているのか?

「もうへばったのか、全然力ないじゃないか! 食っちゃ寢ばかりしてるからそうなるんだよ!」

「だってええ……」

「ワインは無いが湧水を煮沸したのならある。飲みたければ、ついて來たまえ!」

「えーー? お水う? やだあ! ワインがいいよお、せめてビールで……バルナバ。あ、ちょっと待ってよ」

ぷいっと彼に背を向け建屋の中へって行くと渋々カリーヌはついて來た。

「ほら!」

タンっと暴にテーブルの上へグラスを差し出す。彼は余程が渇いていたのかゴクゴクと一気に飲み干した。

「あーー、冷水がこんなに味いとは!」

「自然かな島の水だ。王都では味わえないよ」

「……ふーん。態々、冷やしてくれてたんだ」

「え? い、いや、たまたまだが……」

「バルナバって意外と優しいのね!」

とびっきりの笑顔でカリーヌから見つめられた。

か、可い……。いやいや、違う!

「毎日、付き合ってくれる?」

「明日はちゃんと走るんだぞ」

「うん、分かった。うふふ」

おいいいっ、そんな素敵な笑顔を僕に見せるな。ったく、調子狂うだろ。

だけど、その笑顔にわされるとは……。

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