《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》91. 大巣窟

※バルナバ視點

カツンコツン! と、じめじめした通路を力強く歩く。その足音は獨房の前で止めた。三日ぶりだ。あのうるさい囚人は大人しく過ごしていただろうか?

「おい、カリーヌ!」

僕はジェラール様から授かった作戦を実行しようとしていた。その準備や調整にし時間が掛かったものの、実行するなら早い方が良いと判斷したのだ。

お前のことなど知らーーん!……と、タンカ切った手前、あまり會いたくないんだけど。

「くかー……」

扉の柵から彼のいびきが聞こえる。

「おいおい、寢てんのか!?」

カンカンカン! と、警棒で柵を叩く。まだ夕方だ。寢るのは早過ぎる。報告は聞いていたが看守の言うことも聞かず、相変わらず食・っ・ち・ゃ・寢・のだらけた生活を送ってる様だ。

「う、う~ん。うるさいなあ……」

「カリーヌ、起きろ!」

「ん? バルサバかよ。ふぁああああ……」

ぽりぽりとボサボサの髪を掻きながら、れた囚人服を直そうともせず虛な目を僕に向けた。

「支度をしろ!」

「あんん何よ? 私のことは知・ら・ー・ー・ん・……じゃないの?」

「方針を変えたんだ。この獨房から出してやる」

「ええっ! し、釈放なの!?」

「違う」

「やったーー! 私は自由だあ!」

「だから違ーーう!」

「んん? じゃあ、何なのよ?」

「囚人棟へ部屋を替えるのだ」

「囚人棟?」

「いいから支度しろ!」

作戦はこうだ。公爵令嬢だから配慮して特別な獨房へ収容してたけど返ってそれがいけなかった。外部との接もほぼなく、部屋に閉じ込めてるだけでは我儘な彼が反省するわけもなく、だらけた不健康な生活を送るだけだったのでは……と。

なので部屋替えをする。

囚人棟の大部屋は十人の共同生活だ。規律がある。ここで規則正しい生活をさせながら自分と向き合う時間を與えてやるのだ。

「ねえ、バルナバ。そこって部屋広いの?」

前後左右に警護の者を監視させながら、彼と囚人棟へ移する。僕は彼の質問を全て無視した。

馴れ馴れしいんだよ。まあ、行ってからのお楽しみだ。ふふふ……。

実は裏がある。囚人の中でも特に問題児が多い部屋へれるのだ。王都から送られて來たどうしようもない兇悪犯の巣窟。いくら彼が悪役令嬢でも通用しないだろう。

「ねえ、無視すんなよ!」

「……ふん……っだ」

「な、何なのよ、じわるーー!」

今のうちにせいぜい吠えてろ。そのうち僕に泣きつくのが目に浮かぶよ……。

やがて大部屋の前までたどり著いた。ここはオンナ専用の四階建ての囚人棟だ。彼は三階の一號室。因みに各階五號室まであり、オンナだけでざっと二百人の囚人が生活してる大巣窟なのだ。

部屋の前で人相の悪いシェリーが待ち構えていた。彼は一號室のサブリーダーだ。元殺人犯の。

「カリーヌ! ここがお前の部屋だ。シェリー、面倒見てやれ」

「……はい」

シェリーは顎をしゃくってカリーヌに部屋へる様促した。部屋には目がギラギラした囚人でいっぱいだ。気味が悪いったらありゃしない。

「おい、新りだ。カリーヌとか言うお嬢さんだ」

「へへへへへ……お嬢さんねえ……」

「ひひひひひ……」

「なっ、キモっ!」

流石にカリーヌは顔が引きっつていた。

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