《島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪》99. 千載一遇

※ジェラール視點

執務室で殘務処理をこなしていたらノックと同時に扉が開いて、顔が隠れるくらいの大きな花束を持った男が現れた。

「殿下、ご婚約おめでとうございます!」

「バ、バルナバか……まあ確かにプロポーズして承諾得たのは事実だが、まだ詳細は何も決まってないぞ。々早いと思うが?」

「いえいえ、もうウエディングは決まった様なものですよ。これはお祝いの花です。ベルティーユが持って行けって!」

「う、うむ。ライラックか……」

懐かしい。私がアニエスに贈った紫花だな。大切に育ててたのか。

「あ、ついでに僕もコリンヌと結婚することになりまして」

「え? そうなのか?……それはおめでとう」

「いやー、殿下に発されて、どさくさにプロポーズしたんですよ。そしたらオッケー貰っちゃって良かったですう!」

相変わらず軽いやつだな。まあいい。それよりカリーヌの報告を聞かねば。

「……で、監獄の様子はどうだ?」

「あ、思い出しました。それどころじゃなかった」

「リンダが上手く演じなかったのか?」

「それが、あっさり倒れて……」

「カリーヌが?」

「いえ、リンダです」

「……は?」

「カリーヌの正拳が見事にヒットしちゃいまして」

「……は?」

「一発でやられました」

「……は?……は?」

な、何をまた軽いじで言ってるんだ?

「殿下、困りましたよう。もう囚人棟は戦闘モードです。どうしたらいいのですか!?」

いかん。そんなに強いとは!? これは監獄始まって以來の騒になる。いや、正確には二度目だ。その昔、私が赴任する前にグレースが囚人棟を掌握した時と狀況は同じだ。

「厳重な警戒制を敷いてるのだろうな?」

「はい。でも三階の連中と一階、二階は一発発の雰囲気で……ヤバいです。カリーヌを強制的に獨房へれた方がよいかと思ったのですが……」

「早まるな。それこそ暴が起こるぞ」

最早、囚人を止めることは難しい。三階の連中は天下を取りたいのだ。我々には分かりづらいが彼らは一階、二階の囚人にこれまで散々辛酸を舐めさせられてきたに違いない。リンダに加えカリーヌと言う強烈なボスが誕生した今、千載一遇のチャンスと捉えているのだ。

「バルナバ、総ボスのグレースに面會だ!」

「グレース? 僕は會ったことないですが……? ホントに実在してるのですか?」

「ああ、特別な部屋で隔離してあるからな」

ここは何としてでも騒を避けて解決する道を探るしかないだろう。

私はバルナバを連れて監獄へ向かった。彼に會うのは半年ぶりだ。あまり會いたくはないが……。

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