《夜明けを何度でもきみと 〜整形外科醫の甘やかな〜》2
――時は三ヶ月前の、三月下旬に遡る。
一日立ちっぱなしの怠い足で、手すりの無い階段を上がる。部屋のある三階にやっと著いたところで耳障りな聲が聞こえてきた。
「やぁん、先生ったらぁ……」
――まただ。
石竹いしだけ菜胡なこは、東京は下町にある病院の整形外科外來に勤務している看護師で、仕事を終え寮に戻ってきたところだった。四階建の三階に部屋があり、重たい足で階段を上がった途端、聞こえてきた聲。
それは今回が初めてではなかった。かれこれニ年はこの聲を聞かされていて、その度に菜胡は足音を忍ばせた。何故なら、その聲の出所である部屋は、菜胡の部屋へ行く廊下の曲がり角にあり、どうやったってその部屋の前を通らないとならないからだ。靜かに歩いてと頼まれたわけでも、足音がうるさいと文句を言われたわけでもない。ただ菜胡が、そうした方がいいと考えて、そーっと歩いている。
聲の主は淺川恭子。菜胡の三つ上の先輩で、現在は病棟勤務だが、菜胡が來るまでは整形外科外來にいた。菜胡への引き継ぎと研修も兼ねて一週間だけ共に行して仕事を教えてくれただけで、それ以外での関わりはほとんど無く、ここ寮でたまに顔を合わせるのと、ああいう聲を聞く、その程度の関係でしかなかった。
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眉の辺りで前髪をきっちり切り揃え、キリッとした目つき、自信に満ちた態度は菜胡と正反対。菜胡は彼が苦手だった。ズバズバとものを言う格はいいのだが、デリカシーの無さがどうにもけれられない。マウントを取りたいのかわからないが、他人のを簡単に聲に出す。わざわざ人前でそうする必要はないはずで、何度言ってもやめてくれない。
目立ってイジワルをしてくるわけでは無いが、菜胡に対して何らかのを抱いてる事はじ取っていて、だから彼に対して心を開く事はしなかった。そのが何なのかは淺川にしか分からない。直接何かを言われたわけでも無いため、たとえ嫌われていたとしても菜胡に対策することはできず、今に至る。もともと人づきあいが苦手でうまくない菜胡にとって、淺川の勢いは強過ぎるのだ。
その淺川は、研修として行を共にした頃は明るくて當たりがらかい人だった。それがいつからか、ああして男を連れ込むようになった。壁はコンクリートだが扉は薄い。丸聞こえというわけでは無いが、だからそういう事をしたいなら聲を抑えるか外で済ませばいいのに、と、菜胡は思う。いかんせん菜胡には経験がないから淺川の行がわからない。
菜胡が知っているだけで淺川の部屋を訪れる男は二人いる。たまたま目にした二人はそれぞれ白を著ており、別れ際に決まってこう言っていた。「當直がんばってね」 當直のバイトに來ている醫師なのだろうが、菜胡とは一切関わりが無いから名前までは知らないし、知りたくも無い。自分の人生に必要のない報だからどうでもよく、ただ、當直前によくやるなあと思うだけだ。
――ま、私には関係ないけど。
足音を忍ばせて淺川の部屋の前を通り過ぎ、音を立てないよう自室の鍵を開けたら素早く部屋へをり込ませる。
「まだ夕方じゃん……」
部屋へ帰り著いたのは良いが、この寮の部屋にはトイレも風呂もない。キッチンだって共同で使うようになっていて、それらを使うにはまたあの部屋の前を通らなければならない。
――淺川さんみたいな人こそ、寮を出ればいいのに。
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