《婚約破棄されたら高嶺の皇子様に囲い込まれています!?》23.なんだか盛りだくさんな一日でした
セドリックは荒事が片付くと、を麻袋から救出し、縄を解いてあげたようだ。
失神しているようだが、十代後半から二十代前半の町娘さんと思われる。
そこで鏡がふっと消えた。
「二人と合流しようか」
殿下がそうおっしゃり、歩き出す。
クリスタ連れて行かないと……! と振り返ったら、児を乗せたままクッションがふわりと浮き、ふよふよ殿下の後をついていく。
本當あなた一何種類魔法使えるんですか。多才ってレベルじゃないと思うんですけど。
「お、來た來た」
無事二人の居場所まで辿り著くと、ロジェが片手を上げてくる。
火だるまを作ってすっきりしたのか、戦闘時の殺気は引っ込められていた。
今は寢かせられたの橫に座り込んでいる。
セドリックは奧の方で、ならずもの達を縛り上げていたようだ。ちょうど作業が終わると、大でクッションに歩み寄っていき、クリスタの確認をしてほっと息を吐いている。人命救助もお兄ちゃん業も両方こなせる男……。
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「警備騎士に通報は?」
「さっきやってきた。待ってれば來るだろ。この人、息とか脈は大丈夫そうなんだけど、起きねーんだよなあ」
「ちょっと見てみようか」
殿下はしばしをのぞき込んでいたが、ふむ、と納得したような聲を上げ、手をかざす。
「生命の主、存在の源たるに願い奉る。この者に癒やしを與えたまえ」
さらっと詠唱が唱えられると、寢ていたがうっすらと目を開け、ぼんやりした視界に殿下をとらえて首を傾げる。
「天使様……あたし、死んだのかな……?」
「違うよ」
わたくし知ってる。こういうの、デジャビューって言うんです。そして二度目だからか、殿下のお答えもシンプルイズベスト。
でもこれ逆に、あのときのわたくしは無罪ってことになりませんかね。やっぱり皆同じこと考えるんだって、わたくし一人がハイパー見間違えじゃなかったんだって!
「見た目だけはな。あれで中は大魔王だから割と詐欺だよな」
「……そうなのか?」
「俺とあいつの馴れそめ、俺のトレーをひっくり返した奴を、なんでかあいつが勝手にってきてとっちめたのがきっかけだから。あの顔しといての気多いぞ。第一皇子の名前は伊達じゃねえってことだろうな」
「なるほど……」
そしてと殿下のやりとりを見たロジェとセドリックがヒソヒソし合っている。
いやでも、今回は素早くロジェを送り出してご自分は靜観なされていたし、別に喧嘩好きってことはないと思いますよ? ただこう、異様にフットワークが軽いだけで……。
「ロジェ、セドリック。ちょっと任せる。ぼく、彼らの方も見ないと」
殿下はの相手を他の男陣に任せ、自らはなんか々とボロボロな犯行グループの方に赴いたようだ。
「犯罪者まで回復してあげるなんて、お優しい殿下……!」とするより先に、「今度は一何をするつもりなのです。せめて手加減してあげてください」と思ってしまう不思議。
だって殿下、右の頬を叩かれたら、皇子スマイルを保ったまま、高速往復ビンタで返すような所ある人だよなって、だんだんわかってきているから……。
さて近くでは、バトンタッチされた本件実働二人組がから話を聞いている。
曰く、犯行グループは全く見知らぬ相手で、襲われるような怨恨の心當たりもないとのこと。完全に通りすがりの災難だったらしい。
「近頃、一人歩きのが行方不明になる事件が起きている、という話は聞いていたのですが……まさか自分が普段から使っている近道で當事者になるなんて、思わなくて」
「あー……まあ、ちょっと暗くて危ないかもって思っても、大はそんな変なこと起こらないし、なあ……」
「が一人で歩いているというだけで、襲いかかるような卑劣な奴らが悪い」
「そりゃそうだ。とは言え、あんたもこれからはなるべく明るい道を歩けよ。俺らが……というか皇――ごほん、ハインリヒがいたのは、ただの幸運だったんだからさ」
「は、はい……」
さてこの辺でようやく待っていた警備騎士が到著したようだ。しかしセドリックを見ると彼らの表が変わり、ピシリと敬禮姿勢になるではないか。
「ソブール卿! まさかあなたがいらっしゃっていたとは……!」
「買いで出てきたら巻き込まれた。詳しい話は――」
「にーさま……?」
セドリックが説明をしようとしてくれていたのだが、人の気配に眠気が覚めたらしいクリスタが目をりながら起き上がり、ふらふら歩いてきて兄の足にしがみつく。
「クリスタ、おうちかえるぅ……にーさまもいっしょ……」
「…………」
まだ寢ぼけ眼でうにゃうにゃ言っている五歳児と、真顔で立ち盡くす兄。
すると騎士達は目を丸くして顔を見合わせた後、笑いをこらえる顔で言った。
「妹君と遊びにいらしていたのですね! ではこれ以上の邪魔も野暮でしょうし、今日はもうこちらでなんとかしましょう」
「後日改めて、確認などさせていただいても?」
「構わない。助かる」
おお……つまりたぶん、顔パスおよび児パスで事聴取がカットされたということのようだ。
もう大分日も傾いてきているし、ここから詰め所で調書作りますって話になったら翌日げっそりしただろうから、ありがたい。
「あの……お名前をお聞きしても……?」
ちなみに帰り際、頬を染めたがもじもじとセドリック氏に聞いていた。
今日ご一緒させていただいた男陣は皆顔の整っている人達ですが、一番騎士っぽくてピシッとしているのはね。セドリックさんだしね。
殿下はなんかこうもっと恐れ多くて近づきがたいじの人だし、ロジェくんは……まあ……いえ、平均なんですけどね。平均だけど、他の二人がことさらに長だと……ね……?
「おい。俺を殘念なものを見る目で見るな。背はまだびる!」
本人にも等大系男子の自覚があったのか、怒られてしまった。
な、泣かないでロジェくん……わたくしはちゃんと、セドリックだけでなくあなたも活躍していたこと、見守っていましたからね……!
小説家の作詞
作者が歌の詩を書いてみました。 どんなのが自分に合うか まだよく分かってないので、 ジャンルもバラバラです。 毎月一日に更新してます。 ※もしこれを元に曲を創りたいと いう方がいらっしゃったら、 一言下されば使ってもらって大丈夫です。 ただ、何かの形で公表するなら 『作詞 青篝』と書いて下さい。 誰か曲つけてくれないかな… 小説も見てね!
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