《売れ殘り同士、結婚します!》10話 帰省①
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「冬馬は帰省何年ぶり?」
「どうだろうな……五年ぶりくらいじゃねぇかな」
「だいぶ帰ってないね。お母さん心配してるんじゃない?」
「まぁ、よくメールやら食料と一緒に手紙は送られてくる」
「やっぱり」
「しずくは?よく帰省してるのか?」
「私は休みの兼ね合いもあるけど、毎年お盆と年末年始には帰るようにしてるよ」
「そうか」
世間ではクリスマスも終わり、一晩で街の景はキラキラとしたクリスマス仕様から一転、落ち著いたお正月仕様に変わった。
ツリーは來年の干支の人形やお正月飾りに、ケーキはお節のお知らせやお餅に。
そんな中、私と冬馬は新幹線に乗り地元を目指して移していた。
今日は十二月三十日。明日で今年も終わる。
私も冬馬も昨日まで仕事をしており、ようやく仕事納めをすることができた。
年始はお互い四日から仕事と、初めてぴったりとお休みが合った年末年始。
東京駅で買った駅弁を車で食べ、移ろいゆく景を眺めながら莉子とふみくんとの思い出話に花を咲かせる。
「でも、ふみくんも地元に殘ってたんだね?」
「あぁ。アイツ地方の大學に行ってさ、卒業したらUターンで戻ってきて就職したんだよ」
「そうだったんだ」
それで莉子と再會してヨリを戻すことになったのか。
なるほどなるほど、と頷きながら、冬馬が駅弁と一緒に買っておいてくれた可らしいカップケーキを頬張る。
「ん、おいしい」
「そうか、良かった。駅で見つけて、しずくが好きそうだと思ったんだよ」
「うん、見た目もカラフルで可いし、こういうの大好き」
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「お互いの実家の土産用にも買ってきたからこれも持って行こう」
「うん」
どのお土産を誰に渡すかで話し合っているうちに眠くなり、冬馬の肩を借りてし仮眠をとる。
しかししの仮眠のつもりが睡してしまい、気が付いた時にはもう降りる駅のすぐ手前まで來ていた。
冬馬も寢てしまっていたらしく、肩を揺すって起こして目的の駅で下車。
そこから在來線に乗り換えて電車に揺られること一時間ほど。
雪がしんしんと降る、私たちが生まれ育った土地に帰ってきた。
「やっぱり東京に住むようになると、いつ來ても寒いね。マフラー巻いてきて良かった」
「そうだな。俺も久々だから寒さがに染みる」
「薄著で來るからだよ」
「いいよ、しずくに溫めてもらうから」
そう言って冬馬は私の手を取り繋ぐ。
ひんやりとした手に私の溫が移って、次第に同じくらいの溫かさになる。
「ふふっ、あったかいね」
「あぁ」
笑いながら改札を抜けると、懐かしい顔が並んでいた。
「──しずく!冬馬!」
「二人とも久しぶりだなあ」
「……莉子!ふみくん!」
「なに、二人で俺らのこと待ってたわけ?暇人かよ」
「うるせぇよ初拗らせ野郎が」
ふんわりとしたパーマがかかったロングヘアを揺らす莉子と、暗く落ち著いた短髪が昔より爽やかに見える、ふみくん。
「二人とも久しぶり」
「冬馬とはたまに連絡とってたけど、しずくは本當に久しぶりだな」
ふみくんの言葉に頷く。
あの頃と変わらない笑顔の二人が、私たちを出迎えてくれた。
*****
「それにしても、このメンツ本當に懐かしいな」
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「だよね、高一の時なんて毎日ずっと一緒にいたのにねー」
場所を移して、駅前のカフェで四人でお茶をする。
お店の中は暖房のおかげでとても暖かく、コートをぐと冬馬が椅子にかけてくれた。
四人で向かい合うと、一瞬にしてあの頃に時間が巻き戻ったような錯覚がするから不思議だ。
セーラー服と學ラン姿で毎日馬鹿みたいに騒いで笑っていたのがつい昨日のことのよう。
それがもう十年以上経過しているなんて、全然信じられなかった。
「でもまさか、今さらお前らがくっつくとは思わなかったな」
ふみくんのしみじみとした聲に、莉子が頷く。
「本當。十年以上だよ?」
それは莉子とふみくんにも言えることなのだが、二人はそんなことは気にならないのか心底不思議そうな聲を上げた。
「まぁ二人とも々あったから敢えて何も言わなかったけど、あの頃から見ててもどかしかったもんね」
「え……もしかして、私の気持ち知ってた?」
「もちろん知ってたよ。ていうか見てればわかる。バレバレだったもん。冬馬は冬馬でずーっとしずくのこと見てるからわかりやすいし。ね?ふみくん」
「うん。冬馬に告れって散々言ったのに頑なに言わないし、しずくも見てたら似たようなもんだってわかってもう頭抱えたよ」
ケラケラ笑う莉子とふみくんに、私と冬馬は顔を見合わせる。
「……私、そんなにわかりやすかった……?」
「いや、俺は全然気付かなかったけど」
「お互い頑固すぎて周り見えてなかったんでしょ。二年の頃なんて関わりあった人は皆知ってたんじゃない?」
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「うっそ……」
冬馬以外のほとんどにはバレていただなんて、恥ずかしすぎる。
「で?あんなに頑固だった二人が、どうして今付き合うことになったの?」
「それは……」
「偶然東京で再會して、その日に俺がプロポーズした」
「……はぁ!?」
「むしろ高校の時に結婚の約束した」
「待って!?何、どういうこと!?」
「ちょっと冬馬、いろいろ端折りすぎじゃない?」
「でも要約すればそういうことだろ?」
「いやまぁそうだけどさあ」
「ちょっとちょっとしずく、詳しく聞かせなさい!?」
「え、私ー?」
「當たり前でしょ!ほら早く!」
冬馬は冬馬でふみくんにあの約束のことを言っていなかったのか、尋問のように問い詰められており、鼻息荒い莉子に苦笑いをしながら高校の卒業式の話からする。
ざっくりと話し終わった時、
「……そんなに偶然が重なることある!?」
と驚きながらも嬉しそうに笑う。
「いや、もうそこまでいったらもう運命だよね」
由紀乃と同じ反応に、思わず笑ってしまう。
「三十歳になったらーなんて、そんな約束提案する冬馬も冬馬だし、頷くしずくもしずくだわ」
「自分でも呆れてるよ」
「ていうかなんでそういうこと相談してくれなかったの?冬馬のことも私相談してくれるのずっと待ってたのにー」
「ごめん。バレてるなんて全然気付いてなかったし、そもそも家のことがあったから告白する気もなかったしあの頃は付き合いたいとかもなかったの」
「……まぁ、それがしずくだよね」
呆れたように笑った莉子は、すぐに優しく笑う。
「でも安心した。あの時二人とも毎日必死に頑張ってたの知ってるから。ふみくんとも話してたんだけど、私たちのせいで二人が疎遠になっちゃったの本當はすごく気にしてて。後悔してたの。でもしずくも何も言わないし、私も変に意地張っちゃってたから言えなくて。ごめんねしずく」
「ううん、気にしないで。私が全部自分で決めたことだもん。莉子が謝る必要無いよ」
「……ありがとうしずく。私、今すごく嬉しい。なんか泣きそうなくらい嬉しい。……しずく、おめでとう」
「……ありがとう莉子」
本當に涙ぐみ始めた莉子に慌てていると、気が付いたふみくんが笑ってハンカチで莉子の涙を拭く。
それを見ながら、「で、二人は?」と今度は冬馬と二人で莉子とふみくんに寄りを戻した経緯を問いただした。
「それが、高校の時に私たちが別れた原因って、喧嘩別れだったでしょ?あれ、実は本當どうでもいいくだらないことで」
「そうだったの?」
「あぁ。だから後から本當は謝ろうと思ってたんだけどお互い意地張っちゃってたから言えなかったんだよな」
「うん。本當子どもだったよね私たち」
あの頃、莉子に何度喧嘩の原因を聞いても教えてくれなかったのはそのせいか。
どうやら喧嘩別れした高校時代からずっと二人は未練があったらしく、どうしても諦められなかったふみくんがダメ元で人伝いに莉子に連絡を取ったらしい。
「いきなり連絡が來てびっくりしたの。でも會いたいって何度も言われて、嬉しくて」
「どうにかして會おうって必死だったからな」
「それで実際に會って久しぶりに話した時に、お互いずっと未練タラタラだったことを知って。じゃあまた付き合おうかってなったの」
そう話してくれた莉子もふみくんも幸せそうで。
「やっぱり私はふみくんじゃなきゃダメだったみたい」
「俺も。莉子のこと忘れようって思って他のと付き合ったこともあったけど、やっぱ忘れられなくて」
「ちょっと待ってその話私聞いてないよ?」
「え、いや、それはもう過去のことだし本當一回きりだから」
「ふーん?」
「信じてくれよ。今も昔も俺には莉子だけだから!」
「……ふふっ、ごめんごめん。過去のことなんて気にしてないし、ちゃんとふみくんのこと信じてるから大丈夫だよ」
「もー……心臓に悪い。まぁ、そんなわけでより戻すことになったんだ。あの時勇気出して連絡とって良かったよ」
「ありがとうふみくん」
見つめ合って微笑む二人。私も冬馬も本當に嬉しい。
その後もしばらく思い出話やそれぞれの仕事の話、今後の話をしているうちに二時間ほど経過しており、おひらきにすることになった。
「年明けもこっちにいる?」
「二日まではこっちにいるよ」
「じゃあ帰る前にもう一回會お!」
「うん、あとで連絡するね」
「うん!じゃあまたね!」
ふみくんと一緒に帰っていく莉子を見送り、私も冬馬と並んで実家に向けて歩き出す。
「しずく、手」
「うん」
お店の中ですっかり溫かくなった手を繋ぐ。
「史明が教師やってるなんて、俺未だに実が無い」
「私もイメージないから意外だった。中學校の先生かあ、々話聞いてみたいかも」
「子どもに攜わることに関しては同じだしな」
「うん」
「俺は莉子が実家継いだってのも意外だったわ。アイツこそ都會に出ていくタイプだと思ってたから」
「莉子は家族大好きだからね。都會はたまに旅行で行くから楽しんだって言ってた。それに昔からお花屋さん継ぐって張り切ってたもん」
ふみくんは教育學部に進學して教員免許を取得。
數學の教科擔任として、今は二年ごとに県の中學校を異しながら日々子どもたちに全力で向き合っているのだとか。
莉子の実家は地元では昔からある有名なお花屋さん。
中學の頃から將來は家を継ぐと言っていたから、大學を卒業した後に寫真付きで正式に継いだと連絡が來た時は嬉しかった。
大學在學中にカラーコーディネーターとグリーンアドバイザーの資格を取り、今後はネットショップも開設しようとその勉強をしているよう。
お花が大好きで、いつもお店のこととお花のことを一番に考えている。
皆が頑張っているのを知ると、私ももっと頑張ろうと思えた。
私の実家に著いたのは夕方。
街の外れにあるレンガ調の壁が目印の小さな戸建て。
事前に冬馬を連れていくと宣言していたからか、玄関先でお父さんと雅彌が出迎えてくれた。
「おかえりしずく」
「姉ちゃんおかえり」
「ただいま。……雅彌、また背びた?」
「そりゃあ長期ですから」
一段とぐんと背がびたように見える雅彌は、オシャレに目覚めたのかなんだか髪のを遊ばせている。
私を見て犬みたいに笑ってくれる雅彌の頭をし背びしながらでていると、隣の冬馬に気が付いたのか大きな聲を上げた。
「あれ……!?冬馬くんじゃん!え、姉ちゃんの彼氏って冬馬くん!?」
と驚きをわにする。
「雅彌、彼と知り合いか?」
「姉ちゃんが高校の時の友達だよ。俺も何回か會ったことあるんだ」
「そうだったのか」
「うん。……お父さん、こちらが私の彼氏の冬馬。雅彌が言った通り、高校の頃の同級生なの」
「初めまして。茅ヶ崎 冬馬と申します」
「しずくの父です、初めまして。よく來てくれたね。寒かっただろう、二人とも早くりなさい」
「はーい」
「お邪魔します」
雅彌は冬馬を覚えていたらしく、拉致する勢いで「冬馬くんって!」と嬉しそうに連れていく。
その姿はまるで私がお世話していた頃のい雅彌を見ているみたいで、なんだか懐かしくてたまらない。
冬馬も困しながらも二人の歓迎の雰囲気に安心したのか、ホッとしたように時折笑顔を見せながらっていった。
リビングでたくさんのお土産を渡すと、早速雅彌が嬉しそうに袋の中を覗き込んでいる。
「しずく、母さんにも挨拶しておいで。ついでにこれもお供えしてあげて。冬馬くんも一緒に」
「あ、はい」
「うん。冬馬、こっち」
リビングの奧にある仏間。そこにある仏壇では、まだ元気だった頃の弾けるような笑顔のお母さんの寫真が飾られている。
座布団に座り、お土産をお供えしてからおりんを一度鳴らす。
「お母さん、ただいま。冬馬連れてきたよ。私の彼氏」
昔、病院のお見舞いに行った時にお母さんに冬馬の話をしたことがあった。
相談に乗ってくれる優しい友達ができたんだ!って。
お母さん、口では"良かったね"って言ってくれたけど、表は"ごめんね"って言ってるようにしか見えなかったっけ。
改めて寫真を見ると、鏡で見る自分の顔がなんだかお母さんに似てきている気がする。
末広二重と鼻は完全にお母さん似かもしれない。
私も笑った時、こんな顔してるのかな。
そんなことを考えながら、そっと手を合わせた。
お母さんへの報告を終え、顔を上げて立ち上がると今度は冬馬がそっと膝を曲げる。
「……初めまして。しずくさんと際させていただいております。茅ヶ崎 冬馬と申します。突然の訪問をお許しください」
そう言って、同じように両手を合わせて目を瞑る冬馬。
お父さんと雅彌が、夕食の用意をしながらその景を優しい眼差しで見つめていた。
「改めまして、しずくさんと際させていただいております、茅ヶ崎 冬馬と申します。今日は將來のことを見據えて、ご挨拶に伺いました」
「固い固い。冬馬くん固いって。うちの父さんそんな厳格なタイプじゃないからそこまでかしこまる必要ないよ。ね?父さん」
「あぁ。冬馬くんと言ったね。しずくとはいつから付き合ってるんだい?」
「先月からです」
「そうか。しずくとは高校の同級生か」
「はい。中學も一緒でしたが、その時はクラスが違ったので特に関わりは無くて。仲良くなったのは高校からです。卒業してからは全く會うこともなかったんですけど、つい最近再會して」
「へぇー……それで今付き合ってるんだ。すげぇ」
お母さんへの挨拶が終わった後、ダイニングで向かい合わせに座って簡単な自己紹介と今日の目的である親への挨拶をおこなっていた。
普段から人前で話したりすることが多いからか、張している様子もなくすらすらとスムーズにお父さんと會話していて。
「近い將來しずくさんと結婚したいと思っていて、その前提でのお付き合いをさせていただいております」
堂々と言い切った姿が、凜としていて本當にかっこよかった。
「え、冬馬くんって今弁護士してんの?すっげぇ」
しゃぶしゃぶのお鍋を囲みながら、冬馬の職業を聞いたお父さんと雅彌が目を丸くする。
「今は都にある崎総合法律事務所というところに勤務してます。最近は主に刑事事件を取り扱うことが多いです」
冬馬は名刺を持ってきていたらしく、け取った二人はまじまじとそれを見つめていた。
その反応が私とそっくりな辺り、同じDNAをじてし恥ずかしい。
冬馬も同じことを思ったのか、私の顔を見て小さく笑う。
「ここって、俺でも聞いたことある事務所だ……CMで見たことある」
「大手中の大手だろう。すごいな……」
「え、そうなの?」
「姉ちゃん知らねぇの?」
「私、ニュースと子ども向けの番組以外は全部聞き流してるから……」
「いやCM見たら絶対わかるって!」
私に力説してくれた雅彌は何を思ったか、きらきらした目でご飯中ずっと冬馬に質問攻めをしていた。
現在高校二年生の雅彌は、そろそろ本格的に進路を考え始める頃だ。
いろいろなことに興味があるのだろう。
お父さんも気になることがあるのか、合間で口を挾みながらも男三人で仲良く會話が弾んでいた。
二週間ほど前、"年末に彼氏を連れていく"と言った時に突然だったからかお父さんが電話の向こうで固まっていたのを思い出す。
どうなることかと思ったけど、上手くやっていけそうでよかった。
結局途中でお父さんのテンションが上がってしまい日本酒の一升瓶と三人分のお豬口、雅彌の分の炭酸飲料を持ってきてしまったため夜遅くまで冬馬は解放してもらえず。
どっぷりと夜も更けた頃、泊まっていけばいいというお父さんの聲に冬馬は何度も遠慮して、帰る準備をする。
「ごめんね、こんなに遅くまで盛り上がると思ってなくて。お母さん大丈夫?」
「大丈夫。元々今日は遅くなるって連絡れてるから」
「そっか。気を付けてね」
「あぁ。ありがとう」
玄関まで見送ろうとすると、
「冬馬くん」
とお父さんが後ろから呼び止める。
「はい」
「今日は何度も引き留めて申し訳なかった。つい楽しくてね。ありがとう」
「こちらこそありがとうございました」
「……冬馬くん。しずくは頑固で強がりで責任の塊みたいで意地っ張りなところもありますが、人一倍優しくて家族想いで、大切な可い娘です。どうか、幸せにしてやってください。しずくのこと、末長くよろしくお願いいたします」
「俺からも。冬馬くん、姉ちゃんこう見えて結構抜けてるから心配かけると思うけど。姉ちゃんのことよろしくお願いします」
二人が冬馬に頭を下げるもんだから、冬馬と二人で必死に止めた。
「ありがとうございます」
何度もそう言って、冬馬は実家へ帰って行った。
──リビングに戻った後、お父さんと雅彌がダイニングの上を靜かに片付け始め、私もそれに加わる。
「お父さん、雅彌、ありがとう」
「……父さんはしずくが見定めた人なら最初から反対するつもりはなかったよ。でもしずく、いい人を選んだな」
私の獨り言のようなお禮に返ってきたお父さんの呟き。それに雅彌も
「俺も冬馬くんになら安心して大事な姉ちゃん任せられる」
とどこか得意気。
「姉ちゃんには幸せになってもらわないと困るからな」
「そうだな。しずく、今まで苦労をかけて本當にすまなかった。冬馬くんのような誠実な青年なら大丈夫だろう。仲良くやりなさい。母さんも喜んでると思うから」
「……うん。二人ともありがとう」
お父さんが私の頭をわしゃわしゃとでてくれた。
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