《売れ殘り同士、結婚します!》エピローグ
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初夏の爽やかな空気が気持ち良い、六月上旬。
例年の梅雨りを目前に控えた今日、私と冬馬は結婚式を挙げる。
真っ白なプリンセスラインのウエディングドレスに、ブルースターとかすみ草で仕立ててもらったウエディングブーケ。
この日のためにばして手れを欠かさなかった髪のにも同じ花を編み込んでもらい、ネイルにも同じ花のデザインを描いてもらった。
「……お父さん」
「……しずく。綺麗だよ」
「ありがとう」
「母さんも見たかっただろうなあ」
「……うん」
教會の扉の前。新婦の場の前に、お父さんが私の姿を見て涙ぐむ。
「ほら、まだ式は始まってないんだよ?泣かないでよ」
「すまん。極まってな。……しずくには本當に今まで苦労をかけたから、その幸せそうな顔が見られて本當に嬉しいんだ。ありがとう。幸せになれよ」
「うん。ありがとうお父さん」
頷いて、お父さんの腕に手を添える。
「新婦が場します」
アナウンスが聞こえ、スタッフの合図で扉が開いた。
「うわぁ……綺麗」
どこかから聞こえてきた聲に張が増す。
お父さんと一緒に一禮して、顔を上げる。
真っ白な花たちで埋め盡くされた教會は、ガラス張りの窓から差し込む日差しでキラキラと輝いていた。
眩しいくらいの煌めきの中、たくさんの拍手と共に一歩一歩歩いていく。
その向こうで笑顔で待つ、ライトグレーのタキシードにを包んだ冬馬が、本當にかっこよくて。
「冬馬くん。しずくのことよろしくお願いします」
「はい」
力強い返事に頷いたお父さんから、冬馬の腕に手を添え直した。
讃歌を歌い、誓いの言葉を経て、そして指の換をする。
「それでは、誓いのキスを」
神父の言葉に、冬馬の方を向いてし下を向いて膝を曲げた。
そっとあげられたヴェール。
優しさとに満ち溢れた表に視線を奪われていると、そっと肩に手が添えられた。
ゆっくりと角度を変えて近付く冬馬の顔。
そして、誓いのキスをわす瞬間。
冬馬のが薄く開いて、言葉を殘す。
「……しずく。してるよ」
聞こえた言葉と共に、そっとキスをわした。
たくさんの拍手に包まれて、心がぶわりと熱を持つ。
苦労の多かった人生だった。悩んだことも苦しくて泣いたこともたくさんあった。
周りを妬んだり、羨んだりしたこともあった。
けれどもうそれは全部忘れてしまおう。
今この瞬間、こんなにも幸せなんだから。
一緒にいられるだけで、こんなにも幸せなんだから。
これから先の人生がどんなに大変でも、冬馬と一緒ならきっと乗り越えられる。
そう、思わずにはいられない。
「……私も。してるよ」
冬馬にだけ聞こえる聲で笑顔を返すと、幸せそうに微笑んでくれて。
溫かくておしくて、溢れるほどの幸せが私たちをぎゅっと包み込んでくれていた。
end
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