気分良く帰宅して浴した後、リビングでテレビを見ていると、背後に気配をじた。

「ずいぶんと子會が楽しかったようだな」

低い聲と質問の容にドキッとする。

「うん。久しぶりに弾はじけてきた」

目が合うと噓がバレそうなので、軽く返事をしておく。

すると、遙斗の左手が私の首筋にそっとれてきた。また毒牙にかかりそうな予がして、大きな聲を上げる。

「あっ、あの、明日は早く出ないとなの。だから、もう寢よっかな」

「そうか。朝が早いのなら……仕方がないか」

なぜかあっさりと返され、それ以上何もせず自分の部屋へと戻っていった。

はぁ～……今日は何もしてこなかった……。

ホッとしている心の奧で、なぜかちょっぴり淋しくじている。毎日遙斗にちょっかい出されて、私おかしくなってるのかもしれない。

自分の心に疑問をじつつ、ベッドへ向かった。

＊ ＊ ＊

翌朝はよく晴れて心地良い天気。

今日はゆっくり出社なのか、遙斗はまだ出掛けていないようだ。

私はそれに構わず支度を済ませ、先に家を出ることにした。

遅刻しないよう、早めにホテルへ到著。

會食はホテルの53階にある展レストランの個室で行われる。

先方から重役が來ると聞いて、多服裝に気をつけた。グレーのパンツスーツをに纏まとい、張の面持ちで會食のある個室へと向かう。

景が一できる室には、向かい合わせのテーブルが並び、広報宣伝部の部長、システム開発部の部長やスタッフが座る。アプリ験者の代表は、営業部の男と私の二人だけだった。

張から食事がを通りそうにない。

開始時間の5分前にTSAグローバルの重役たちが５名室してきた。

その顔ぶれを見て、心臓が止まりかける。

中心にいるひときわ背の高い男。それは紛れもなく遙斗本人だった。

思わず息を吸い込んだまま、吐くことを忘れそうになる。

どうしてここに？

完全に仕事モードでこちらを見ようともせず、冷靜にうちの部長たちと挨拶をわし、席に著いた。

TSAグローバルは今、流れに乗っている會社の1つで、不産取引やホテルのコンサルタント業にM＆Aまで、多岐たきにわたって経営をしている。

近年はアプリ開発にも積極的に資金を提供していた。

予定通り、食事會がスタートする。

メニューは、スモークサーモンサラダと、エッグベネディクトにフルーツプレート。

こんな狀況だと、おいしそうな朝食も、ますますを通りそうにない。

ラングル側の進行役が、始まりの挨拶を簡単に済ませ、遙斗が口を開いた。

「今回は新しいAIプログラムでスタートした『Mマリッジプロミス』の験談をお聞きしたいと思い、參加者を呼んでいただきました。初めてアプリを使った時の想はどうでしたか？　まずは、鈴河さん」

資料を見つめながら、平然と苗字で私の名を呼ぶ。すると、參加者の視線が一斉にこちらへ向けられた。

「……はい。アプリの登録項目が多く、力にはし手間取って時間が掛かりました。AIの婚率が表示されていて、相などがわかりやすかったのと、プロフィール畫面のスクロールがとてもスムーズで使いやすかったです」

こんな狀況で答えるなんて……。

普段以上に張して、聲が震えてくる。