《婚活アプリで出會う馴染との再會で赤い糸を見失いました~》ほどけない糸(2)

「それでは、続いて男陣に意見を伺いましょう」

次は小田さんがステージで話す番だ。

このままステージの裏側で、耳を傾けることになった。

インタビューが始まり、二人の男社員が犬の被りをして登場し、アプリの経緯を語る。

「それでは、つき合ってる時のエピソードとかありましたら、教えてください!」

「はいっ。彼と公園でデートした時に、お弁當を作ってくれまして。料理上手なで良かったなぁって」

テンションの高い小田さんの聲が、私のお弁當エピソードを語っている。

いったいどこまで話すのだろう。心配でとても落ち著かない。

「えぇ~。お弁當を作ってもらったんですか? も〜、それって結婚まっしぐらじゃないですか! 彼さんは、よくお料理をされる方なんですか?」

「出かける時はいつもお弁當を作ってくれます。料理上手なので、よく手料理で、もてなしてもらってますよ」

「それは羨ましい! いいエピソードありがとうございました」

ちょ、ちょっと待って。いつ、どこで小田さんに料理を振る舞ったっていうの?

お弁當を作ったのは頼まれてだし、お互いの家を行き來したこともない。

すぐにでもマイクを奪って否定したくなった。

の人間には、小田さんの彼が私ってことはわかりきっているのに……。

インタビューが終了し、幕が下りたステージ上には、小田さんが一人殘っていた。

彼はキョロキョロして私を見つけると、嬉しそうにステージ裏へとやってきた。

「みんな周知してることだから、コソコソしないことにしたよ」

「でも、さっきの手料理の話って……。とりあえず控え室に行きましょうか。ここだと目立ちますから」

二人で控え室に戻ろうと廊下を出ると、向こうから背の高い男がこちらへ近づいてきた。

遙斗だ……。

會場スタッフに案されてこちらへ向かって歩いてくる。関係者なのだから、當然ここで遭遇してもおかしくはない。

だけど、まさか小田さんと一緒にいる、こんな時に現れるなんて……。

遙斗の視線は私と小田さんの互に向けられていた。

「あっ、そうだ。里穂ちゃん!! イベントの片付けが終了するのは何時くらい?」

遙斗が近づくタイミングで、小田さんが私の名前を呼んだ。

「えっ!? えっと……」

遙斗が目の前で立ち止まり、こちらへ冷ややかな視線を送っている。

どうしてこんな時に、私の名前を呼ぶの……?

が締め付けられるように痛み出す。

「鈴河さん。鈴河さん、ですよね!!」

今度は遙斗の方が、私を苗字で呼んだ。

なんだか頭が混して、狀況がよくのみ込めない。

「先日はお世話になりました。TSAグローバルの高城たかしろです」

「あ、あぁっ!! 高城専務。うっかりして申し訳ありません。まったく気付きません

でした」

私はわざとらしく謝ると、深々と頭を下げた。

「先程のステージ見ましたよ。アプリの験者インタビュー、素敵でした。生の気持ちが伝わって、いい宣伝になりそうですね」

その言葉に思わず立ち眩みがしそうになった。

まさか、インタビューをずっと遙斗に聞かれていたなんて……。

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