《婚活アプリで出會う馴染との再會で赤い糸を見失いました~》ほどけない糸(4)

「わざわざ來てもらって……話なら、週明けでもよかったのでは?」

そう伝えると、小田さんは私のことを熱い視線で見つめてきた。

「実は、里穂ちゃんが仕事終わるのをずっと待ってたんだ」

「えっ!? どこにいたんですか?」

「近くにネットカフェがあるから、そこにいたんだよ。連絡もらったら、すぐに會えると思って」

まさか、わざわざ待っててくれていたなんて。いつも以上に熱的な行に驚く。

「どうしても今日會いたかった」

そう言われても素直に喜べない。

私は話があるっていうから、ここへ來たのに……。

「あの……話があるって。それに、私も聞きたいことが……」

「まずはゆっくり飲もうよ」

小田さんはカクテルを追加で注文した。

仕事疲れとからの解放で、アルコールは意外と早く効いてくる。

「今日の里穂ちゃんはよく頑張ったよ。仕事している姿も凜々りりしくて、好きだな」

お酒の勢いがあるのか、小田さんはいつも以上に褒め言葉を連発してきた。

どう答えていいのか困し、思い切って話を切り出す。

「ステージのことなんですけど、どうしてあんなことを言ったんですか? 私、小田さんの家で料理なんてしてないのに……」

「あぁ、ごめん。あれはさ、アプリ宣伝の意味もあって、なるべくエピソードを大きく演出しろって頼まれたんだ」

「でも、みんなの前で噓を言うなんて……」

仕事とはいえ、噓のエピソードを平然と人前で話せるなんて。

小田さんにとっては、何よりも外へ発信することの方が重要なのだろうか?

「里穂ちゃんのことが好きだから、つい理想を話したんだ。これで周りにも僕たちのことを理解してもらえたから、もう堂々と付き合えるよね」

「あの……私、まだ小田さんのことがよく理解できなくて。このまま付き合っていけるかどうか、自信が……」

「大丈夫だよ。それに、僕だってまだ里穂ちゃんのことをししか知らない。だから、これからはお互いもっと深くわかり合えばいい」

小田さんのことをこのまま信じていいのか、わからなくなってきた。

「それで、話したいことってなんですか?」

急に小田さんが真剣な表で私の目を見つめてくる。

「これからは、里穂ちゃんがむことはどんなことでもしてあげたいし、ずっと見守ってあげたい。だから、何があっても僕だけを見てしいんだ」

これって、もしかして遙斗のことを遠回しで言っているのだろうか……。

「あの……私、小田さんが思っているほど可くないですし、理想としてるようなでもないです。だから……あまり私に期待しないで下さい」

小田さんはびっくりしたような様子で私の顔を見つめ、引きつったような笑顔を作った。

「そんなことないよ。里穂ちゃんは何もしなくても、今のままで充分可い。

だから、お願いだ。これからは、僕以外の人と親しくしないでしい」

「それって……」

遙斗のことを言いかけて、言葉に詰まる。

誤解されてはいても、遙斗と付き合っているわけではないし、どんな関係と伝えたらいいのか……。

「――――そうだ。3日後のクリスマスイブは、ディナーを予約してあるんだ。一緒においしいものでも食べよう」

「イブ……ですか?」

小田さんに対する気持ちはすでに消えかかり、これからどう斷ればいいのか、よくわからなくなっていた。

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