《婚活アプリで出會う馴染との再會で赤い糸を見失いました~》揺れる心(2)

新年早々の仕事は、2月のバレンタインイベントの準備と、アプリの人気狀況をまとめる仕事だった。

久しぶりのパソコン畫面に、目が疲れてチカチカしてくる。

結局退社できたのは、いつもの終業時間を1時間は過ぎていた。

エレベーターを降り、エントランスの自ドアを出ようとしたその瞬間、後ろから聲が掛かる。

「里穂ちゃん!」

びっくりして振り返ると、小田さんが目の前に立っていた。

「今日、一緒に帰ってもいい?」

「えっ!? あ、はい……」

嫌とは言えず、仕方なく従うことにした。駅までなら人通りも多いから多安全だ。

それに、周囲に會社関係者がいなくて安心した。こんなところを見られてしまうと、明日また何を言われるかわからない。やっと噂が収まりかけたところなのに……。

二人で駅へ向かい、歩き始める。

調はどう? 年末はゆっくりできた?」

「はい……」

「僕も、1年ぶりに実家へ戻ったんだ。海の近くでね、魚ばかり食べたよ」

「そうですか」

話がすぐに終わり、沈黙が訪れた。歩く靴音だけが、やけに響いて聞こえる。

「あのさ……。実家で々考えたんだ。僕の周りにも、を固める奴が増えて、やっぱり家族がしいなって。

そう考えたら、一緒に隣で歩くのは里穂ちゃんしか考えられない。

だから……結婚を前提にして付き合ってくれないか?」

小田さんのセリフに驚く。自分勝手に進めていく彼の言葉には、もはや違和しかじない。

友達として付き合うことすら難しいのに、結婚相手だなんて……。

どう説明すれば諦めてもらえるのだろうか。

「小田さん。私なんかにそう言ってもらえて、とても栄です。でも結婚となると、やっぱり……本當に好きな人と――」

「ちょっと待って!! 今、君の答えは聞きたくない。今日は自分の気持ちを伝えられれば、それだけで満足なんだ。

だから、お願いだよ。返事は時間をかけて、ゆっくり考えてからにしてしい」

まるでこちらの返答を遮るかのように、自分の意見だけを述べてくる。

「でも……」

「とりあえず、今日はここで別れるよ。またね」

こちらに手を振ると、そのまま行ってしまった。

どう言えばこちらの意見を聞いてくれるのだろうか。一方的すぎる小田さんの態度に、ただ困するしかなかった。

* * *

遙斗の仕事は年始から忙しいようで、夕食を作って待っていても帰宅が遅く、最近はすれ違い生活が続いていた。

そんな寒さも厳しくなった1月の中旬、朝から課長に呼び出された。

「急ぎで悪いんだが、今日の午後、TSAグローバルに資料を屆けてしい」

「わっ、私がですか?」

広報宣伝部では、課長クラスまでのやり取りはあっても、私たち役職の無い者には、あまり直接接點がない。

「それが、先方から鈴河さんに來てもらいたいとの申し出があって。クリスマスのステージを見て、擔當者が今後のアプリのアップデートについて參考にしたいと言ってる」

「あの、でも課長。確か、アプリの開発者は主に自社の者では?」

「そうなんだが、向こうにアプリのAIを擔當しているSEがいて、君をご指名だ」

何やら複雑な社に翻弄ほんろうされている気分。理由はともかくとして、私が呼び出されているらしい。

「わかりました。午後に行けばいいんですね」

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