「気をつけて。ある意味一人のしかせない、ストーカーみたいな人なの」

ニコニコしながら私に畳みかけてくる。

その言葉がまるで『私たちの邪魔をしないで』と警告されているようにじた。

もしかして、私が遙斗のレジデンスに住んでいることを知っているのだろうか？

間違いなく今日のことで、桂木さんと遙斗が親しい関係にあることは確信に変わった。

「あの……そろそろ失禮します」

「そうなの？　じゃあ、下までご一緒するわ」

「いえっ。ここで大丈夫です」

「気にしないで。下に用事があるから」

話を終え、桂木さんがり口まで見送ると聞かないので、仕方なく一緒にエレベーターに乗り込んだ。

早く一人になって落ち著きたかったのに。狹い空間の中で、沈黙が息苦しい。

1階に到著し、扉が開いた瞬間、目の前に遙斗が現れた。

「…………っ！！」

驚きのあまり、聲が出そうになるのを必死で堪こらえる。

遙斗も、一瞬ギョッとした表を浮かべていた。

「たっ、高城専務！！　今日の午後は、他社と打ち合わせのはずでは？」

桂木さんが慌てた様子で遙斗に尋ねた。

「先方の社長が急に調を崩して延期になったんだ。ところで桂木君が鈴河さんに何の用だ？」

「資料を屆けてもらったので。それと、先日のアプリについて、個人的な意見がしくて、お呼びしました」

桂木さんはあちこち視線をかしながら、なぜがバツが悪そうにしている。

遙斗とその彼が目の前でバッティングだなんて。

私だって、この場にいることは、とても気まずい。

「鈴河さんは、もう用件が済んだのかな？」

「彼は今帰るところです。エントランスまで見送るつもりで……」

「せっかくいらしたのだから、こちらも今後の企畫について話を伺おうかな」

――なっ、何を言ってるの！？

思わず遙斗の顔を睨みつける。

こちらが戸っている間、勝手にエレベーターへ乗り込んできた。

「それでは、私は外に用事があるのでここで失禮します。」

桂木さんは遙斗の顔をチラチラ見ながら、エレベーターを降りた。

遙斗も、私を呼び止めるなんて、いったいどういうつもり？

もしかしてこの狀況は、つき合ってる男と、そのセフレっていう構図なのかな……。

複雑すぎる狀況の中、遙斗と二人きりで乗るエレベーターの扉が閉まった。

最上階のボタンを押すと、エレベーターは靜かに上昇していく。

背中を向けたまま、何も話さない遙斗。

到著音が鳴り、扉が開いた。

目の前にある長い廊下へ出ると、１０ｍくらい離れた場所から、黒のベストとタイトスカート姿の、いかにも書のようなが、こちらへ向かって近づいてくる。

「専務、打ち合わせが変更になったということで、15時からのミーティングを設定したいと営業部の方から連絡が……」

遙斗は歩きながら、手の平を向けると、書らしいの話を止めた。

「今から1時間はラングルの擔當者と懇談する。営業部の方には16時と連絡してくれ」

強引に懇談なんて言ってるけど、まさか私と話すためにムリヤリ変更しているんじゃないでしょうね？

呆れながらも後を追って行くと、専務室と表記されたドアを開け、私にるよう促した。

「失禮します」

中へると、遙斗はすぐ後ろにいる書のに聲を掛けた。

「飲みは必要ない。事項の話もあるから、しばらくは人をれないでくれ」

そう言うと、ドアを閉めた。