《婚活アプリで出會う馴染との再會で赤い糸を見失いました~》揺れる心(7)

後ろから響く足音が同じ速度で聞こえ、小田さんが迫ってくることが伝わり、ますます恐怖が募った。

數メートル先にコンビニの明かりが見えてくる。明るいにホッとして、中へ飛び込んだ。

店員や客が買いをしている姿にし安心できた。

窓際から外を見ると、小田さんがコンビニの駐車場まで近づき、こちらの様子を伺っている。どうしたらいいのか迷っているうちに、彼が店って來てしまった。逃げ出そうにも、足が竦すくんでくことができない。

「里穂ちゃん、怖がらないでよ。今日は、きちんと僕がアパートへ送ってあげるから」

「……でも…………」

その後の言葉が続かない。

すると、いきなり手首を摑まれ、強引に外へ連れ出そうと引っ張られた。聲を上げようにも、恐怖で言葉が出ない。

店のり口を出た瞬間、目の前に人影が立ち塞がった。

「里穂をどこへ連れて行く気だ?」

見上げると、遙斗がもの凄い形相ぎょうそうでこちらを睨んでいた。

「ど、どこって……。以前紹介したはずですよ。これは僕の彼で、部屋まで送り屆けようかと……」

遙斗は話も聞かず、小田さんから摑まれている腕とは反対の手首をつかみ、強引に引きはがした。

「悪いが、今は俺のものなんだ。覚えといてもらおうか」

凄みを聞かせた低音でそう伝えると、私を連れてコンビニを離れた。

無言のまま、強い力で引っ張られ続ける。

手首がし痛かったけど、心の中では安堵と、謝の気持ちで一杯だった。

遙斗の放った『俺のもの』というセリフが頭の中で反響する。

近くに止めてある車の助手席に座らされ、暴にドアを閉めた。遙斗は無言のまま運転席に乗り込むと、すぐに車を走らせる。

「ありがとう……。とても助かった。でも、どうしてここにいるって……?」

問いには何も答えず、憤慨ふんがいした様子で、いつもより苛いらついた運転をしている。

「初めに俺が言っただろ! 安易に男を信じるから、こういうことになる」

「なっ!? 遙斗だって最初の頃、私を騙して強引に連れて行ったじゃない」

「何度も言わせるな。俺の傍そばから離れるんじゃない!」

「……うん」

何も返せず、ただコクンと頷うなずく。

気が付くと、膝の上にある自分の手が小刻みに震えていた。今になって、が恐怖をじているようだ。

それに気付いたのか、遙斗の片手が、冷えきった手の上にそっと重ねられる。溫かなが心を溶かし、やっと安心することができた。

レジデンスに到著し、私を車から降ろすと、遙斗は手を繋ぎ、部屋まで連れて來てくれた。

玄関にり、ドアを閉める彼の背中を見ていたら、急に切ない気持ちが湧き上がり、思わずギュッと抱きついてしまった。

「里穂。もし、この手を離さないなら、何をするかわからないぞ。今はとても……我慢できそうにないから」

背中を向け、微だにしない遙斗が、ポツリと呟く。

私はしがみついたまま、手を離さないでいた。

今だけは、心もも遙斗の中に包み込まれたい。

「わかった。今夜は俺のことだけしか考えられないようにしてやる」

そう言って振り返ると、正面から力強く抱き寄せられ、を重ねてきた。

口の中を這うように舌で舐め上げると、足元がふらついた私を抱き上げ、ベッドへと運んでくれた。その間にも休むことなく舌が絡みつく。

「あふっ……」

息もつかせないくらい激しく舌を吸われ、服をがされた。

次第に幸せな気持ちで満たされ、さっきまであった恐怖や心細さは、靄もやが晴れるように消えていく。

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