《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》8話 存在値1200のバケモノが隠れていました

8話

六代目魔王リーンは、魔法が使えない。

使えないというより、

『魔法を使わない』というルールを自分に課す事で、剣の腕を上昇させた。

それは、『アリア・ギアス』という、この世界のシステムの一部で、

『~~をしない』

かわりに

『~~が出來るようになる』

というもの。

(まあ、それも異世界システムあるあるだな。異世界あるあるっつぅか、異能あるあるか? まあ、なんでもいいけど)

王の間に向かう途中、ラムドに化けているセンは、

ラムドの脳から、この世界の報を回収していた。

(この世界の基本システムは……アリア・ギアスに、一般的なランク魔法……後は、グリムアーツか……)

グリムアーツは、自分でカスタムできる系スキル。

相応の努力をすれば、ただのパンチで海を割ったりできるようになる。

ようはオリジナル必殺技。

(中級世界エックスのテンプレだねぇ……ご多分にれず、使用できる魔法の最高ランクは9。それ以上は『神の領域』でひとくくりか……はっ。おおざっぱだねぇ)

王の間につくと、すでに、勇者と魔王は死闘を繰り広げていた。

側近や下僕の高位モンスター達は、二人から離れた場所から魔王を応援している。

どうやら、魔王から一騎討ちを申し出たらしく、手出しはじられているらしい。

數多の魔法を使いこなす勇者と、剣一本で対応している魔王。

「話には聞いていたが、マジで剣しか使わねぇのか、だっせぇ! つぅか、その見た目、どうにかなんないもんかねぇ! これじゃあ、まるで、お遊戯に付き合ってるみてぇじゃねぇか」

魔王リーンは、見た目だけなら、先ほど、センが助けた子供よりもく見える。

八歳前後ので、長い金髪が特徴的。

「くっ……まさか、ワシの剣がここまで通用せんとは……勇者、聞きしに勝る強さ。中が腐ってさえいなければ、最高の友となれたものを、惜しい」

「くせぇモンスターのダチとか、死ぬよりキツイ罰ゲームだっつぅの! ナメたゲロを散らしてねぇで、とっとと死ねや」

「……本當に酷いな、この勇者」

リーンは心の底からしんどそうに顔を歪ませながら、

の丈の倍はある大きな剣を振り続ける。

そんな彼の闘い様を見ていたセンは、

(はいはい、魔王ね。テンプレ、テンプレっと)

アクビをしながら心の中でそう呟きつつ、周囲を見渡す。

(配下の連中は……側近連中が、端から、存在値50、57、61、55、70、72と。で、周囲を囲んでいる大量の下僕モンスターは、種類こそ多いが、十把一絡げ……まあ、エックスの魔王軍戦力なんざこんなもんだろうな……ん?)

そこで、センは、大量に並んでいる魔の群れの中に一つ、

妙な輝きを放っている魔がいるのに気付く。

ライトメイルを纏い、フルーレを腰に攜えた、小柄で細の、龍人。

しっぽも翼もウロコもなく、見た目、ほぼ人間だが、

左右の額角髪際(こめかみの上くらい)から龍特有のツノが生えている、糸のように目が細い龍人。

(なかなか練度の高いフェイクオーラだ。一瞬、気付かなかったぜ。この俺のプロパティアイを、一瞬とはいえ欺くとはアッパレ。どれどれ……存在値…………は? せ、1200ぅ? ……おいおい、なんだ、あいつ。1200って、超最上級世界アルファでも目にかかれない究極を超えた域だぞ。こんなエックスに居ていい存在じゃねぇ!!)

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