《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》11話 神はいた。ひくほど無能な神が(笑)
11話。
アダムは瞠目した。
異常をじ取った時にはもう遅かった。
(なんだ……どうなっている……これは……いったい……)
時間が止まっていた。
気付いた時には、『自分以外の全てが停止した世界』に迷い込んでいた。
つい一瞬前まで、大きな剣を振り回していた魔王が、
『歯をむき出しにしたまま空中で止まって』いて、
下品な勇者の周囲では、
『魔法陣が生途中で止まって』いる。
「まさか、時間停止……いや、ありえない。……そんな事――」
「なんだ、初経験か? 存在値1000を超えているなら、時間系の魔法くらい使えるはずだが……もしかして、魔法は苦手か?」
アダムは、即座に無數のジオメトリを展開する。
迷いない速手。
神々しい輝きに照らされて、しさにグっと磨きがかかる。
チラりと見える谷間はどこまでも深い。
高速無詠唱で、自にありったけのバフをかける。
同時に、反応。
知覚。
背後。
ニっと微笑んでいる『ザコ』がいた。
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そいつは、多マシな召喚が使えるだけの、存在値80を切っているクソッカス。
「ラムド……様」
「ん? ああ、擬態、解いてなかった。……まあ、いいや。一々、擬態し直すのもタルいし。このままでいこう」
(擬態? ……ラムドじゃない? 何者かがラムドに化け……いや、ありえない。神霧すら見通せる私のセブンスアイをごまかせる擬態などある訳がない。こいつは、間違いなくラムド)
だが、とアダムは思う。
(なんだ……違う。間違いなくラムド……こいつは間違いなくラムドだが……私の本能が……魂が……『これは違う』とんでいる……)
違うと気付けたのは、センが遊んだから。
センが、戯れに、威嚇の圧を出していなければ、
アダム如きでは絶対に気付けない。
ランク1000の擬態魔法は、
神でも見抜けない。
――センは、スっと指先をアダムに向けて、
「模倣、ランク30」
ステータスをコピーする魔法を使う。
これで、センの能力は、アダムと全く同じになる。スキルも、力も、敏捷も、魔力も、何もかも全て同じ。
唯一違うのは『戦闘力(ステータス関係ない強さ。格ゲーでの強さ的なじ)』。
「ランク……30……だと……」
超最上級世界アルファの中でも、ぶっちぎり最上位の超々位生命であるアダムでも、使える魔法の最高ランクは27。
もちろん、ランク27は、ありえないほど高位の魔法。
仮に、ベータやシータの魔法使いが、ランク27の魔法などを目の當たりにすれば、そのあまりの凄まじさに、最低でも失は免れない。
アダムを越える魔法の使い手など、『現世』に存在するはずがない。
現世の生では、絶対にありえない。
――つまり、
「そうか……なるほど…………………『いた』のか」
當然だが、アダムは己の能力を完璧に把握している。
アダムの戦闘タイプは、魔法だとバフ系以外はほとんど使わない、グリムアーツ特化。
ゆえに、神が存在して、魔法を得意としていれば、
自分よりも高位の魔法を使えても、なんらおかしくはない。
アダムは急速に冷靜さを取りもどす。
と同時に嘲笑。
妖艶に笑う。
ムンムンとエロさが漂う、そのぷっくりとしたが三日月になる。
「得意技はコピー……なるほど、なるほど。しかし、まあ、なんとも狡猾ではないですか。とても神とは思えない。流石は下賤な中級世界エックスの神……くく」
アダムは想う。
やはり、自分は生としての格が違う。
生まれて初めて神と邂逅していながら、アダムの心拍數は既に平常時まで戻っていた。
アダムは、より嗤う。
神力も神の領域に至っている自分を誇りに思う。
「敵がどれだけ強かろうと、その力をそのまま寫してしまえば敗北はなくなる。くはは、バカの考えですね……」
偉大なる自分と比べ、目の前に立つ神の、なんとちっぽけな事か。
愚か。
ぁあ、愚か。
神とは、なんと愚かな下等種なのか。
――いや、違うな。
おそらく、高尚になりすぎたのだ。
アダムという個が、しばかり高みに登りすぎただけ。
きっと、それだけの話。
「しかし、一応、流石と褒めておきましょう。まさか、ランク30の魔法が使えるとは思っていませんでしたよ。龍の神ですら、使える魔法の最高ランクは20を切っていた……神か……なるほど、多は……ふふっ」
アダムは、そこで、恭しく右手をにあててお辭儀をする。
「挨拶が遅れて申し訳ございません。私はアダム。かつて超最上級世界アルファを奪った者。究極の魔。つまりは、本の神です。どうぞ、お見知りおきを」
「不遜がエグいねぇ」
「事実ですゆえ」
「そっすか」
言いながら、センはゆったりと戦闘態勢にる。
頭の中で、アダムの能力を味する。
すぐに戦闘プランが浮かぶ。
(……うん。隙のないビルド(能力構)だ。素晴らしい)
稱賛する。
諸手を挙げて絶賛とまでは行かないが、充分、合格點はあげられる。
「能力が同じならば負けはない……その勘違い諸共、殺してさしあげましょう」
死でも構わない。
直後であれば、魂を吸収するのに支障はない。
アダムは両の拳を握りしめる。
センと全く同じ構え。
アダムが最も得意としている、天と地を奪う構え。
「愚かな神。真実を目の當たりにして絶するがいい。私は、戦闘力も神の領域にある」
剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)【書籍化&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】
※書籍版全五巻発売中(完結しました) シリーズ累計15萬部ありがとうございます! ※コミカライズの原作はMノベルス様から発売されている書籍版となっております。WEB版とは展開が違いますのでお間違えないように。 ※コミカライズ、マンガがうがう様、がうがうモンスター様、ニコニコ靜畫で配信開始いたしました。 ※コミカライズ第3巻モンスターコミックス様より発売中です。 ※本編・外伝完結しました。 ※WEB版と書籍版はけっこう內容が違いますのでよろしくお願いします。 同じ年で一緒に育って、一緒に冒険者になった、戀人で幼馴染であるアルフィーネからのパワハラがつらい。 絶世の美女であり、剣聖の稱號を持つ彼女は剣の女神と言われるほどの有名人であり、その功績が認められ王國から騎士として認められ貴族になったできる女であった。 一方、俺はそのできる女アルフィーネの付屬物として扱われ、彼女から浴びせられる罵詈雑言、パワハラ発言の數々で冒険者として、男として、人としての尊厳を失い、戀人とは名ばかりの世話係の地位に甘んじて日々を過ごしていた。 けれど、そんな日々も変化が訪れる。 王國の騎士として忙しくなったアルフィーネが冒険に出られなくなることが多くなり、俺は一人で依頼を受けることが増え、失っていた尊厳を取り戻していったのだ。 それでやっと自分の置かれている狀況が異常であると自覚できた。 そして、俺は自分を取り戻すため、パワハラを繰り返す彼女を捨てる決意をした。 それまでにもらった裝備一式のほか、冒険者になった時にお互いに贈った剣を彼女に突き返すと別れを告げ、足早にその場を立ち去った 俺の人生これからは辺境で名も容姿も変え自由気ままに生きよう。 そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の人々から賞賛を浴びて、辺境一の大冒険者になっていた。 しかも、辺境伯の令嬢で冒険者をしていた女の人からの求婚もされる始末。 ※カクヨム様、ハーメルン様にも転載してます。 ※舊題 剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で出直すことにした。
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