《暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが》第13話 〜トラップ〜

「おい!そっちに行ったぞ!!!」

「きゃぁぁぁぁぁ!!」

「回復!回復してくれ!」

クラスメイト達の阿鼻喚の空間の中で、俺はため息をついた。

とりあえず右手を無造作に振って、近くの子を襲っていた巨大な鼠のような魔を殺す。

確か、今助けた子は一応戦闘系の職業だった気がする。

「完全にこいつら、足手纏いじゃねーか」

「……今日ばかりは否定できませんね」

の群れに囲まれた狀態でそう呟くと、隣でクラスメイトを助けていたジール副団長も賛してくれた。

俺達がこのような狀況になった迄のことを思い出して、俺は再び深いため息をつく。

それは、俺達が迷宮にって何度か戦闘をし、迷宮のレベルを実できだしたときだった。

一階層から三十階層まで、俺達はスムーズに進んだ。

まあ當然である。

こちらは異世界されてステータス強化されたチート集団だ。

これくらい出來なければこれからが困る。

そして、一人一匹ずつくらい魔を狩ることができ、そろそろ全的に警戒心が薄れているとき。

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いくら騎士団の騎士たちが守っていると言っても、クラスメイト達の人數の方が多い。

當然目が離れる隙があるわけで、勇者組がやってくれました。

先に説明しておくが、勇者組とはクラスメイト全員を指しているわけではない。

召喚された俺を含めたクラスメイト二十八人で七人一組、計四チーム作った。

そのうち勇者組とは、サラン団長が選んだ、俺以外の鋭チームだ。

俺はサラン団長と相談して外してもらって、ぱっとしないチームにっている。

訓練が面倒臭いのと、馬鹿勇者と顔を合わせるのが苦痛なのと、ステータス公開を恐れた為だ。

決して前二つがとても嫌だったからではない。

ともかく、その勇者組の勇者ではない馬鹿がやらかした。

心に余裕ができたからと言って迷宮でふざけるのは危険だ。

なのに、そいつはサラン団長の靜止も聞かずに勝手に進み、明らかに何かあるだろうという壁を押した。

どうやら迷宮に仕掛けられたトラップの一種らしく、俺も危機察知のスキルで危険であることは分かっていたが、まさか忠告も聞かずに死亡フラグを積極的に立てに行くやつがいるとは思わなくて、止めるのが間に合わなかった。

「っ!隊列を組め!!!」

サラン団長が剣を抜いて構えるのと同時に、壁にかかっていたランプが赤いに変わった。

そして、壁から次々と魔が溢れ出る。

どれもが今まで出てきた、初級レベルの魔だったが、いかんせん數が多かった。

ざっと一萬はいるだろうか。

「おいおい、初見殺しもいいとこだな」

すぐに戦闘態勢にる騎士団と俺、馬鹿勇者とは違い、わたわたと自分の武を構えるクラスメイト達は、目に見えて込みしていた。

特に子なんかそのままへたりこんでいる奴までいる。

そして、冒頭へ戻る。

「……サラン団長、ここは引くか?」

「そう、ですね。これだけの、戦意喪失者が、出るとは、思いませんでしたが、まあ、ここまで來れただけ、上等でしょう」

単語の句切れ句切れで、一振り十匹は殺している団長さんだったが、そろそろ疲れてくる頃だと思う。

……もちろん、手加減することをだが。

「勇者達よ、私がとっておきの一撃で退路を作ります。地上まで逃げなさい。腰が抜けたもの、負傷者には手を貸してあげなさい」

そう言うやいなや、サラン団長は剣を天に掲げた。

「主よ、我に力を與えたまえ……『天剣』」

り輝く剣を振り下ろせば、り輝くカーペットが敷かれたかのようにその空間のみポッカリと魔が消えた。

クラスメイト達は我先にと魔の囲いを抜け、上の階層に上がるための階段に駆け寄った。

俺はクラスメイト達を追いかけようとする魔を暗で倒す。

「私達も撤退しましょう。アキラ君、多対一は君には分が悪すぎる。引きますよ」

「ああ、分かってる」

暗殺者は一対一の場合ほぼ無敵だが、多対一となると途端分が悪くなる。

一応解決策はあるのだが、まだ試作中だった。

「炎よ、全てを焼き盡くせ……『火炎陣』」

「風よ、炎に力を……『ウィンドブレード』」

騎士団の人が広範囲に炎を起こし、ジール副団長の風魔法が魔を殺しつつ炎の勢いを強める。

風は火を強くする。

初代勇者の何代か後の勇者が伝えたとか。

ただ、制が難しいのでクラスメイト達がいる場所では使えなかった連攜の大技である。

なんて言ったって、ジール副団長の風のコントロールが素晴らしい。

炎を消さず、ただ強くしている。

並大抵の鍛錬では出來ないだろう。

達の斷末魔が響く中、サラン団長に促されて俺も離した。

ここから更に地獄が起こることも知らずに。

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