《暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが》第15話 〜呪い〜

を聞いたあと、チラリと勇者の傷を見ると、かなり酷かった。

中にできた大小様々な傷と、両腕の折れた部分は紫に膨らんでいる。

「……お前、よく気を失ってないな」

「ああ、自分でもビックリなんだが、俺が守らないと、クラスメイトを守る奴がいなくなるからな」

そうのたまう勇者を、俺は鼻で笑う。

明らかに隣でムッとする気配がした。

俺は、あえてこいつが考えないでいたであろう事を言ってやろうと思う。

きっと、言わなければこいつはもちろん、クラスメイト達もずっと気づかないままだろうから。

「それで、お前のことは誰が守るんだ?」

「……それは」

騎士団とミノタウロスの戦いを見ていた視線を勇者の瞳に移す。

久しぶりにちゃんと目を見た気がした。

「勇者は、みんなを守るためにいるんじゃない。お前の力は魔王を倒すために使うべきだ」

後ろで、俺の言葉をクラスメイトの奴らも靜かに聞いている。

ハッキリと言い放つ俺の言葉に、しざわめいたが、すぐに俺の次の言葉を待っているようだった。

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「お前はもっと自分を大事にしろ」

「……だったら、みんなを誰が守ればいいんだ?」

なかなか結論を言わない俺に、勇者がブスっとした聲を出した。

俺はニヤリと笑う。

「自分のは自分で守れ」

いたって當たり前のことだ。

そもそも、俺は自分のため以外にスキルを使っていない。

もし、スキルでクラスメイトを助けたとしても、それは俺が助けたかったから助けたにすぎない。

勇者は、今初めて思い至ったかのように目を見開いた。

そもそも、戦闘系の職業の奴まで守られてるってのはどうなんだ。

俺はサボっていたが、みんなはちゃんと訓練けていたんだろ?

こいつら、やっぱり馬鹿だ。

「俺のために?……いや、でも、俺は勇者で……。勇者の俺は皆を救うために……」

突然勇者の様子がおかしくなった。

頭を抑えて唸っている。

強い、違和じた。

何かおかしい。

いや、元々頭はおかしいと思っていたが。

「……おい、職業が治癒師か解呪師の奴はいるか」

ひとつだけ思い當たって、そう聲をかけると、クラスの中から子が二人、おずおずと進み出てきた。

「私が治癒師です」

「うちは解呪師やけど……司君どうなってしもたん?」

「それを今から確かめる」

確か治癒師は、クラスで學級委員をしていた細山栞ほそやま しおりさん。

関西弁の解呪師は、いつも元気いっぱいだった……と思う、上野悠希うえのゆうきさん。

……その人に関する報は覚えてないのに、顔と名前が一致している俺凄い。

と言っても、職業覚えるためにこのクラスだけ覚えたんだが……。

「まず、腕の骨折治せるか?」

「う、うん。時間はかかるけど」

俺は頷いて、すぐにとりかかるように言う。

すぐに薄いが腕を覆った。

雷が怖い人みたいに、うずくまって頭を覆っているが、痛くはないのだろうか?

「うちは?うちは何したらええん?」

自分で考えろよ、今の勇者の様子を見れば馬鹿でも分かるだろと思いつつ、懇切丁寧に教えてやる。

真実かどうか、確証はないけどな。

「こいつ、もしかしたら洗脳されてるかもしれない。だから『解呪』しろ」

「はぁ???」

後ろのクラスメイト達もざわめいた。

何がどうやっているのか上野さんも分かってはいないだろうが、とりあえず詠唱にる。

「……呪いよ、我が友を蝕む呪いよ、早急に立ち去り、我の前から消え去れ……『解呪』」

勇者から薄いが立ち上った。

細山さんの治癒のとはまた違う、黒いだ。

上野さんはそれを見て息を呑む。

「司君、ほんまに呪いけてるやん!」

俺はチラリと戦闘中の騎士団を見た。

なかなか高度な戦闘が繰り広げられている。

……混ざりたいなぁ。

ここは恐らく細山さんと上野さんに任せておけば大丈夫だろう。

だが、言いようのない不安がをよぎる。

すると、今まで沈黙を貫いていた男子が突然聲を上げた。

「晶、ここはいいから、サランさんたちの応援行ってこいよ。お前、俺らより強いだろ?」

「もう覚悟は決めた。いつまでも司に背負われてばかりなのもダメだしな」

「……お前ら」

その目には強い決意が浮かんでいる。

「ほら、行ってこいよ」

促されて、俺は渋々ミノタウロスの元へ向かう。

短剣のない今、スキルでどうにかするしかない。

それでも、膠著狀態のこの狀態を抜け出せる策はあるにはあった。

「サラン団長!」

「晶君、あちらはいいのですか?」

サラン団長に駆け寄ると、振り返らずにそう言われた。

何だかんだ言いつつも、クラスメイト達のことが心配なようだ。

「その事なんだが、勇者から呪い……呪詛が確認された。今解呪師が解呪してるが、正直かけたヤツを殺すのが一番早いだろうな」

上野さんの腕が悪いのではなく、呪いが強力すぎるのだと思う。

「……分かりました。心當たりをあらっておきましょう」

「頼んだ。……それで、俺のアレを試したい。」

「……アレ、ですか。」

呪いは団長さんに任せるとして、今はこの狀態を打破しなければならない。

団長さんは渋るが、俺はとても効果的な技だと思う。

「サラン団長が何を言おうがやるからな。……全ては、俺が生き殘るために」

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