《暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが》第54話 〜お供〜

「アメリア様、お水はいかがですか?」

「アメリア様、お気分は・・・」

「アメリア様、・・・」

「アメリア様・・・」

「アメリア・・・」

「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!うるせぇよ!散れ!!!」

アメリアの周りに群がるエルフ族の野郎どもを手で追い払う。

そして、どうしてこうなったと天仰いだ。

──

「今日出るぅ!?」

「それは・・・また急ですわね」

俺の言葉に王とキリカが目を見開いた。

王はその場に立ち上がり、椅子が大きな音を立てて倒れた。

王は豪華そうな椅子を気にもせず俺のぐらを摑んだ。

アメリア、大丈夫だから自分の父親を殺しそうな目で見てやるなよ。

珍しく王はアメリアの視線を気にせずに俺をそのままガクガクと揺さぶった。

が、ステータスの差によって俺にはつんつんとつつかれたような覚しかない。

「急にも程があるだろう!君のような子供には分からないかもしれないが、事には順序というものがある!」

「知ってる」

サラリと返すと、王は絶句し、今度は自分の頭を抱えた。

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しだけ可哀想に思った。

実は何故王がここまで揺しているかを、俺は知っているのだ。

「・・・せっかくアメリアが帰ってきたからエルフ族総出のパーティーを企畫していたのに」

そう、王とキリカ主催でアメリアのために大規模なパーティーを企畫していたのを、知っていた。

知っていて、あえて今すぐに出るという選択をしたのだ。

「丁度いい機會だろ?キリカ、アメリアがいつもどんな狀態なのか験してこいよ」

「わ、私がお姉様を験?まさかとは思いますが、この私にお姉様の変裝をしてパーティーに出席しろと?」

「他に何がある?」

呆れたような顔をするキリカに、俺は心外なとばかりに顔を顰める。

確かに、キリカとアメリアは仲直りと言うか、これまでの全てのことを水に流そうとしている。

が、また何かの拍子に憎しみが湧き出してくるかわからない。

キリカを信用していないわけではないのだが、エルフ族は長くの時を生きる種族だ。

保険は掛けておきたい。

アメリアのために。

「なるほど、それは良い提案だね」

「お、お父様まで!」

「私、そんなに大変なことしてないから。大丈夫、キリカなら出來るよ」

「お姉様・・・」

アメリアがぽんぽんと頭をでると、キリカはうっとりとして頷いた。

アメリアの笑顔と頭でのコンボにはきっと誰も勝つことは出來ないだろう。

かく言う俺も、これとお願いのうる目に勝ったことがない。

ステータスの差さえも無視する神攻撃。

、反撃は不可能である。

アメリア最強説浮上。

「分かりましたわ。私、お姉様に変裝してパーティーに出席いたします!」

「頑張って、ね。」

「はい!」

はい、いっちょあがり。

わざわざ、招待狀を送ったのを確認してから怒られるのを覚悟で言いに來た甲斐があったよ。

招待狀を送ったあとなら、王家の名にかけて主催者側のキャンセルはもう効かないからな。

下衆?

策士と言ってくれ。

「君たちは魔王の城へ向かうのか?」

「いや、とりあえず俺の剣を整備してもらうために獣人族領へ向かう」

そう言うと、王はし顔を顰めた。

たしか、エルフ族と獣人族は仲が悪いのだったか。

いや、獣人族は他族を軽蔑せずにどの種族でも平等に接するから、正しくはエルフ族が一方的に嫌っているという所か。

伝統だ、誇りだなんだを気にするエルフ族と大雑把な獣人族は元々相容れない存在なのだ。

「ふむ。ならば、大陸ギリギリまで送ろう」

「いらない」

「遠慮するんじゃない」

「いや、普通に嫌な予しかしないから斷る」

「素直にならない奴め」

素直じゃなくて結構。

わざわざ嫌っている獣人族領ギリギリまで送ると言ってくるあたり、とても怪しい。

何を企んでいるのだと思うのは當然のことだと思う。

「獣人族へ渡る船はほとんど出ていない上に王族の許可がないと渡ることは許されていない。まあ、君たちが正規の手続きをせずに大陸を渡り、あちらでどうなるかなんて知ったことではないが?我が娘は別として」

「・・・ちっ」

「そうそう、正規の手続きといえば、君たちはどうやってエルフ族領にったのかな?」

忘れていたと思っていたのに、しっかり覚えていたようだ。

魔法陣による強制転移をさせられたと答えれば、掘り葉掘り聞かれるのは目に見えている。

それだけは勘弁願いたいな。

俺は苦笑いではぐらかした。

「いいだろう。正規の手続きで渡ってやるよ」

「とりあえず、その上から目線を治してきたまえ」

「無理ですね」

いたって普通にお願いしたのに、失禮なやつだ。

俺は腕を組んだ。

「では、荷をまとめてあの広場に集合だ」

「はい」

一杯威厳を見せようと威張る王を、アメリアはスルー。

と言ってもこの大陸で手にれたものくらいしかない。

元々荷ないからな。

の數を確かめて、アメリアの荷を選別してやっていると、約束の時間はすぐに訪れた。

「さて、行くか!」

「待てコラ、馬鹿王」

広場には百はいるであろう甲冑。

もといエルフ族の騎士が整列していた。

誰も私語をせず、全くきをしないために最初は本當に甲冑だけが置いてあるのかと思ったほどだ。

「お父様、これはし多すぎる気がしますわ」

キリカも呆れた顔でそう言うが、格好は騎士である。

そう言えば、こいつはエルフ族唯一の剣の使い手。

足手まといにはならないだろう。

他九十九の騎士はハッキリ言って邪魔だ。

「道中は危険が沢山あるんだよ。お供は多い方がいいからな」

そう言って王は自分が騎士の格好をしているのを誤魔化した。

誤魔化しきれていないけどな。

それに、単純に數が多ければいいという訳でもないのだが。

「まあまあ、しくらいいいじゃないじゃないか」

し?しなのか、これは」

結局キリカの説得もあって、騎士の數は四分の一程度に減り、王も防を外した。

──

そして、今に至る。

四分の一とは言っても二十人程はいるのだ。

多い上に、全員男である。

むさ苦しい。

で、早速変裝していたのにアメリアだということに気づかれ、冒頭へ戻る。

されているね。

羨ましい限りだ。

俺が追い払った後でも、チラチラとアメリアを見ている。

懲りない奴らだな。

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