《暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが》第68話 ~アメリアの頼み~
地面に敷き詰められた赤い葉がまるでレッドカーペットのようになっている道を、二人と一匹は無言で歩く。
最も、一匹は歩いているのではなく肩の上に乗っているのだが。
「・・・それで?どこまでついてくるつもりだ」
クロウは、勝手に自分の隣を歩いているアメリアを見ることなく言った。
「あなたが頷いてくれるまで」
アメリアもクロウの顔を見ずに返答する。
クロウは鼻で笑った。
「じゃあ諦めろ。私は弟子をとるつもりも、技を他に教えるつもりもない。そもそも、お姫様がんだところで習得できるような甘っちょろい技じゃないしな」
だが、見た目に似合わず頑固なところがあるアメリアはそれしきの事では引き下がらない。
夜はぴしりと尾を振った。
「それくらい覚悟の上。アキラに追いつくためにはそれ相応の努力は當然」
クロウは首を振って歩調を早めた。
もちろん、アメリアもそれに続く。
「・・・どうやったらこいつは諦めるんだ、魔」
しばらく歩いた後で、あまりのしつこさに遂にクロウは夜を見た。
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夜は先ほどのクロウのように鼻で笑って答える。
『諦めろ。アメリア嬢の諦めの悪さと胃袋の大きさは世界一だ』
その言葉のあと、ようやくクロウは立ち止まった。
「昔、私は他の奴らがしていたように弟子をとって私の技を教えようとした。一人殘らず神を壊して私から離れていったけどな」
アメリアはそれが?とでも言うように首を傾げる。
「私は強い。金ランク冒険者で、種族の代表に選ばれたあなたよりは弱いかもしれないけど」
つぶやくようにアメリアが淡々と言う。
クロウはその橫顔を睨みつけた。
「當たり前だろう。生まれた種族なんて関係ない。強いものが勝つんだよ」
風が吹き、アメリアの白髪と赤い葉が舞い踴る。
その幻想的な景を夜はただ傍観していた。
主である晶からの命令はアメリアについている事。
口を挾んだりするつもりはもとよりなかった。
「弱いものにだって起死回生のチャンスはある。そのチャンスを確実につかむために戦うの。アキラは自らの手でそれを摑んだ。今度は私の番」
ぐっと手を握り込む。
「私にあなたの技・・・いえ、初代勇者の技を教えてしい」
「・・・と、まぁこんなじですかね。」
マイルはギルドでのマナーという名の一般常識をつらつらと語ったあと、俺の顔を見た。
容は本當にありきたりなもので、自分が悪いと思った時にはきちんと謝る、無銭飲食止など當たり前なことも含まれている。
「決闘制度があるんですね」
俺は一番気になったことを言う。
マイルはし困った顔をして笑った。
「ええ。年々數が増えてきていまして、今ではの気の多い國民たちの娯楽ですよ。賭けもあるようですし」
獣人族は他の部族より圧倒的にの気が多いと聞くから、まあ決闘制度も頷ける。
もちろん、人族やエルフ族の冒険者ギルドに決闘制度なんてない。
獣人族の冒険者ギルドでは不當な賭けが行われないために、ギルドが率先しているとか。
「ついこの間なんかも、冒険者ギルド未登録の人族と黃ランクのパーティーが大通りで戦って、こてんぱんにやられた上にその人族はギルドマスターの客人で、ランク剝奪の上、その若者がかけた魔法がかかったまま街の外に放り出されたとか」
おや、どこかで聞いたことのあるような話だ。
きっとどこかの暗殺者が実力を示すためにダシに使ったって言うやつかな?
「そう言えば、そのマスターの客人もちょうど貴方のような暗殺者の格好で・・・」
俺をみて、マイルが固まる。
「大丈夫ですか?顔が悪いですよ」
俺を指さして口をパクパクさせる姿はとても面白かった。
「おい、冒険者指さしてどうした」
そのままかないマイルの奧から別の冒険者が出てくる。
その人は、俺の顔を見ておやと首を傾げた。
「君は確か・・・」
俺も彼の顔には覚えがあった。
どこでだろうと悩む前に向こうの方から答えが出される。
「大通りで黃ランクパーティーをメタメタにしていた暗殺者君」
それを聞いて俺も手を鳴らした。
「ああ、リンガに後片付け押し付けられたギルド職員」
そして互いにん?と顔を見る。
マイルはそんな二人をみて笑いをこらえてぷるぷると震えていた。
「まあとりあえず、俺はヤマトだ。よろしく」
こほんと咳払いをして右手を差し出すヤマト。
俺はしっかりとその手を握った。
こいつはどこか京介を思い出させるな。
「俺は織田晶。こちらこそよろしく頼む」
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