《暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが》第78話 〜発〜
アメリアの魔力が殘った、明らかに致命傷と思われる量のを見たとき、俺の中の何かが千切れる音がした。
とは言っても、怒りにを任せて、その辺のものを力任せに壊したりしない。
ただ、アメリアを守れなかった自に対する怒りと、無力、悲しみがどっと襲ってきて軽く混した。
それからせたと思ったら魔は現れるし、本當に訳が分からない。
まるで目印がなくなって途方に暮れる子供だ。
「影魔法、起」
それでも、やはり自分ではなにかに八つ當たりをしたいと思っているのか、いつもよりも荒れた影魔法が出てきた。
正直言って制出來ない。
『主、殿。俺は今から、暴れる。終わったら、俺を、止めてくれ』
影魔法に気を取られているといつの間にか夜はケルベロスになっていた。
迷宮の時といい、俺でも知ってるような有名な魔ばかり出てくる。
ケルベロスとなった夜はそれだけ言うと、飛び出していった。
夜が飛びかかった魔の元からはが吹き出し、地面を濡らす。
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三つの頭が別々の魔に噛み付いて瞬く間に魔の死骸が積み上がった。
「……よし。掌握完了」
もちろん、俺もただ傍観していた訳ではない。
自の中で暴れたいと主張している影魔法を宥め、その力を自分のものとした。
影魔法の力は未だに未知數で、俺でも限界がどれくらいなのかわからない。
俺には強すぎる力だが、不思議と手放す気にはならなかった。
影魔法で足場を作って夜の近くまで、魔を飛び越えていく。
ケルベロスの夜は口から涎を垂らし、どうやら理がないらしい。
完全に破壊衝だけでいている。
俺は夜に労いの言葉をかけて戦闘に參加した。
どうせ今は何言っても分からないだろうから、後でもう一度言ってやらないとなと考えながら、影魔法を付與した短剣で魔の急所を的確に貫いた。
あまりの影は思い思いにいて、周りの魔を喰っている。
喰うと言っても丸呑みなので、呑むと言った方が正しいかもしれない。
「……あ、おい夜!」
気がつくと、夜が遠く離れた場所にいた。
離れたといってもお互いは見えているのだが、それでも助けに行くには遠い距離だ。
先程から魔が統率されたようにいているなとは思っていたが、もしかして俺たちを分斷するためにいていたのだろうか。
「……魔族か」
唯一、魔を使役することのできる種族。
その力故に他部族から嫌われ、大陸の中でも一番環境の厳しい“ヴォルケーノ”に追いやられた、哀れな種族。
彼らがく意味はただ一つ、魔王がき出したということ。
カンティネンのレイティスにいる王様たちの考えはまったくもって分からないが、俺たち二十八人が異世界召喚されたのは、あながちタイミングが悪いわけではないようだな。
「アウルム・トレース」
その名を呼んで、拳を握る。
影魔法が蠢いた。
「許さねぇ」
突然だが、俺はあちらの世界で、というものをしたことがなかった。
母親と妹の唯はもちろん大切だ。
だが、他の子となると俺を怖がるばかりで全く接點がなかったし、の馴染がいるわけではない。
というか、馴染がいない。
それ以上にバイトが忙し過ぎてなんかにカマかけている時間はなかった。
だから、アメリアが俺の初で、初めて好きになっただった。
王と分かってもこの思いは消えないし、死なせる気はないけど、例えアメリアが死んだとしても、俺はアメリア以外さないだろう。
大切にしたいと思ったし、守りたいと思った。
アメリアの前で無様なところを見せたときは、いつも以上に沈んだ。
そんな人が、俺の手の屆かないところにいる。
なのに、居場所がわからない。
もしかしたら、とても痛い思いをしているかもしれない。
助けを呼んでいるかもしれない。
なのに、俺は駆けつけてやることが出來ない。
目の前の魔をいくら倒しても、アメリアにはたどり著けない。
「ああああああああ!!!!」
そう思ったら、が発した。
黒く染まった空がさらに黒く、闇に染まる。
影魔法が、容量を突破してもなお広がり続けた。
「影魔法、影地獄」
魔が黒く染まった地面に徐々に沈んでいった。
まるで蟻地獄のように、魔たちは影から抜け出すことが出來ない。
全ての魔が影に沈んだとき、魔力はもうほぼなかった。
全ての影が俺に戻ってきたとき、黒かった空も元の青に戻った。
そう認識したとき、から力が抜け、地面が近くなる。
『……っ主殿!!』
何故か、元の巨大黒貓の姿に戻っている夜が地面と接する寸前で俺を支える。
『主殿の影魔法には……いや、先程見せたタイプの影魔法にらどうやら魔法を解除する力があるようだ。俺の変も、主殿の影魔法にれた途端に解けた』
俺を支える夜が俺の疑問に答えてくれた。
流石は相棒だ。
『そんなことより!なぜこんな無茶を!!別に各個撃破でも良かったではないか!』
そう思っていたら、夜は急に目を釣り上げて俺に怒鳴る。
夜の聲が元々頭に響く聲な為に、魔力切れの目眩と相まって、とてつもなくグラグラする。
「……悪い、夜。説教は、後で聞くから。寢る」
あ、おい主殿!とぶ夜を無視して、俺は目を閉じた。
流石に限界だ。
夜の言う通り、無茶しすぎたな。
俺には珍しく、がいうことを聞かなかったのだから。
今も、魔力がまだ殘っていたのならそこら辺の、魔の被害を免れた奇跡的な家でさえも破壊していただろう。
八つ當たりは疲れるからしない主義だったのにな。
アメリアと出會ってから、俺が俺でないみたいに変えられている。
でも不思議と、自分以外の人間に微塵も興味を持たなかった向こうの世界のときより、こうやってを表に出せることに喜びをじていた。
「アメリア、必ず、助ける」
そう呟いて、俺は今度こそ気を失った。
《……マスターの魔力が限界値を超えました。許容値を大幅にオーバー。このままでは命に関わるため、影魔法を強制起します。モード、“治癒”。影魔法に保存された魔力から必要量を徴収します。……治癒完了。影魔法、起停止》
意識を失った晶の口から、機械のような聲がれ、しったと思うと、無傷の晶がすやすやと寢ていた。
魔力切れのせいで悪かった顔もすっかり元通りとなっている。
それは、アメリアとも夜とも出會う前に一度だけ、晶がキメラとの戦いでついた傷で死にかけていたときに出てきたものだった。
主が無事どころか完全に回復したのを確認して、夜は急いでいた歩を緩めた。
「…………主殿」
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