《暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが》第157話 〜プロローグ〜その2

「これで終わりだ!!――『轟雷』!!!」

必殺技を放つときの決まり文句のようなことを言って、魔族の男は天に掲げた腕を振り下ろした。

強いに目が眩み、前に出した手に衝撃が走る。

視界が白く染まり、そして元に戻った。

パラパラと砂ぼこりが舞い、

「……はぁ」

視界を遮る砂煙が晴れた後、魔族たちの中で誰かが息を呑んだような音がした。

當たり前だ。

人が一人吹っ飛ぶどころか、何十メートルの魔でさえ破片すら殘さずに消滅するような攻撃が直撃して無傷の人族を見て、魔族たちは自分たちが何に挑んでいるのか、ようやく理解した。

魔族たちが注目するさがまだし殘るその顔に失が浮かんだ。

その瞳は黒く濁っており、この世の闇をその一け止めたようなをしている。

男はため息をついて、し痺れている右腕を下した。

「これは俺を嘗めているということか?」

「まさか。普通の人間ならもうこの世に存在していない」

目の前に広がるのは地平線や水平線ならぬ魔線。

これでもかというほど、視界を覆いつくすほどの魔が並んでいる。

長の數倍はある、迷宮の最下層にいるような魔だらけだ。

人間は魔たちの前に並んでいる魔族と男だけ。

普通の人間ならば命乞いをするどころか、恥も外聞も捨てて逃げ出しても笑われることがないような狀況だ。

だというのに、男の口からは失笑がれ出た。

先ほどの景を見たあとだからか、魔族のうち何人かは數歩後ずさる。

「お前、狂ってるよ。もはや人間ともいえない化けだ」

こんな狀況だというのにくつくつと笑みをこぼす男を見ながら魔族の男が額に汗を浮かべてそう言った。

男は怒るでもなく、ただその言葉をれる。

「ああ。お前が言うならそうなんだろうよ。だが、俺がこの世界に來たあの時から俺を狂わせたのはお前だ。なあ、阿部真尋」

男は魔族の名前を、わざとこの世界とは違う呼び方で呼んだ。

余裕のない顔をした魔族の眉がピクリと上がる。

男は下げた腕を再びのあたりまで上げて、魔法の一言を放った。

「『影魔法』――起

かつてないほどの大きく、深い闇が世界を覆った。

すぐ隣にいる同胞の顔すら見えないほどの闇にそこかしこから困の聲が上がる。

「俺を化けにしたお前に謝を。おかげで俺はあの男を殺すことが出來る。そして後悔しろ。俺はお前を許すつもりはない」

男はすべてを迎えれるように空に向けて両手を広げる。

「主よ、我はこの世すべての悪を現する者なり――『天罰』」

その言葉が口から出た瞬間、闇が様々なものに姿かたちを変える。

そこかしこから悲鳴が上がった。

「自らが恐怖するものに喰われて死ね」

一瞬のうちに、その場に立っているのは魔族の男だけになった。

殘った言わぬ片さえも喰われて消える。

戦爭だったはずの、一方的に魔族が有利だったはずの戦いは、たった一人の化けによって一対一に変えられた。

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