《暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが》第168話 〜ロケットパンチ(仮)〜 七瀬麟太郎目線
俺の目が覚めたのは一時間後のことだったらしい。
心配そうな顔で寢ていることを薦めてくるジールさんをなだめて起き上がった。
しが怠いようにじる。
やはり初めての補助魔法を、しかも種類の違う補助魔法を二つも功させるために俺の短い人生史上最高に集中したからか、頭もし痛い。
ゲームをしているときでもここまで集中したことはなかった。
「おそらく普段使わない回路の魔力を使ったせいでしょう。すいません。無理をさせるべきではなかった」
後悔したような顔をするジールさんに慌てる。
補助魔法は本人以外の魔法師にかけてもらわなければ効果がない魔法である。
そして、攻撃魔法とは使う魔力の質が違うため、補助魔法が使えない魔法師もいるらしい。
攻撃魔法しか知らなかった俺にとっては青天の霹靂のようなものだった。
ゲームでもパワーアップ系やスピードアップ系の魔法があるのが普通だ。
この世界でないわけがないんだよな。
盲點だった。
そもそも、俺は攻撃のみ重視のゴリラプレイヤーだったから補助魔法の類がすっぽりと頭から抜け落ちていたのだ。
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「さっきの奴は群れを作って攻撃してきていましたよね。もしかすると他にも似たような群れがいる可能もあるんじゃないですか?」
ジールさんがわざわざ俺に教えてまで補助魔法をかけさせたのは、俺の選択肢を増やすという目的もあるが、本當は自分の力と魔力を削らないようにするためだと思う。
一番強いキャラクターを生かすためにその他を捨て駒にするのは俺もよくやっていた。
先ほどのトレントは群れだった。
例えるとするなら、大きな家族がまとまっていていたようなじだ。
他にもトレントの群れがいるというより、ここがトレントの住処だと考えるのが妥當である。
俺たちがばらけるまで待っていたのなら狩場だろうか。
どちらにせよ、俺たちはやつらの思い通りにいてしまったらしい。
ジールさんはし目を見開いて苦笑する。
「さすがは勇者パーティーというところですか?アキラ君といい、君たちの知識はどこか歪だ」
今度は俺が苦笑する番だった。
「俺と晶は興味をもっていたジャンルがほぼ一緒ですからね。向こうでは娯楽の一種なんで、専門というには知識が足りなく、かといって全く知識がないわけじゃない。俺と晶の立ち位置なんてそんなもんです。だから、例えば京介に聞いても同じ答えは返ってきませんよ」
娯楽……とジールさんが唸る。
きっと戦になるようなことが娯楽になっているというのが理解できないのだろう。
きっと、この世界も數百年もすれば爭いのない平和な世界になると思うけどな。
ジールさんのような人がいるのならなおさら。
そういえば司はゲームとかするのだろうか。
ゲームはともかく、アニメを見ているような顔をしていないが、人は見かけによらないというし、今度話してみよう。
「ともかく、君の考えは當たっているでしょう。ここはトレントたちの住処です。おそらく他のグループも襲われているとみて間違いない。それに、このトレントたちには厄介な質があるんですよ」
ともかく、移しながら話しますと言ったジールさんに促されて、戦闘のためにそこら中に散らばっていた荷をまとめる。
「トレントには相手の実力を測ることができます。癖や技ではなく実力のみですが、だからこそ倒しにくい。その理由が分かりますか?」
「……トレントの方も対策をしてくる。俺がトレントなら、実力を測ったあとで敵の実力と同等かそれ以上の仲間をあてるようにします」
走りながらの俺の回答にジールさんは頷く。
その顔は険しく、じっと前を見據えていた。
「私たちは八人のグループを三つに分けました。ここからは私の主観ですが、一番強いトレントと當たるのはおそらく私たちではなく……」
その瞬間、俺たちが向かっている方向で大きなの柱が立った。
轟音が遅れて響き、森全がざわめく。
「私たちではなく、勇者である佐藤司君がいるグループであると思われます」
ジールさんが顔を青ざめさせる。
すこしばかり走るスピードが上がった。
「でも、今のは司の技ですよね?」
「ええ、そうでしょうね。だが、このまま戦闘を続けてしまうと森の主を起こしてしまう可能があります」
ジールさんが言うには、かの先代勇者たちも起こしてしまい、大変な目にあったとか。
先代の勇者たちが手こずったという森の主に俺たちが敵うわけがない。
ジールさんが顔を青ざめた意味がようやく分かった。
「おっと、まだいたのか」
先ほどの柱が立った元へと走っている途中、トレントの群れと遭遇した。
うまいこと木に擬態してはいるが、焦っていた先ほどならともかく、よく見ると見破ることができる。
「おそらく余ったトレントたちでしょう」
トレントたちを見てジールさんが冷靜に分析する。
だとすれば、先ほど思いついて、試したいことができるかもしれない。
「ジールさん、俺が倒してもいいですか?」
し考えた後、ジールさんは頷く。
萬が一のために、ジールさんがすぐ後ろにいることを條件に俺はトレントたちの前にでた。
ジールさんが興味津々といったじで俺の一挙手一投足を見つめている。
「んじゃま、なんちゃってロケットパーンチッ!!」
拳に風魔法を纏わせて、そのまま手を突き出す。
カンティネン迷宮で見たサラン団長の技のように、拳の延長線上にいたトレントたちが吹き飛び消える。
さすがにあの技のように消滅するまではいかないから、細切れになって消えていく瞬間をみてしまい大変気持ちが悪い。
ぶっつけ本番にしてはうまくいったけど、絶対に人型の魔や赤いが出るような魔相手にはしたくないな。
「七瀬君、今のは?“ろけっとぱんち”と言ったかな?」
俺の手元をジールさんがのぞき込む。
サラン団長の変人ぶりは俺の指導を擔當していた騎士さんから聞いていたが、ジールさんもたいがいだとおもう。
知りたいことがあると何もかもを放り出すタイプだ。
今のロケットパンチ(仮)はそのまんま、自分の風魔法を拳に纏わせて放つ技なのだが、その風がみそなのだ。
とある忍者の漫畫から得た知識をもとに作ってみたのだが、この風の中には極小の風の刃がっていて、細胞レベルで相手を切ることができる……というじの技だったと思う。
何しろ二十年近く続き、ようやく完結したご長壽漫畫だ。
記憶はだいぶあやふやであるが、このまま毆り掛かると俺の手の神経がボロボロになってしまうことを覚えていてよかったと思う。
主人公も手裏剣の形に変えて投げていた覚えがある。
俺が生まれた年くらいに連載が開始し、完結した時には思わず涙したものだ。
閑話休題、ロケットパンチ(仮)の話に戻ろう。
そのことを、もとになった漫畫――といっても通じないため、“娯楽”としてまとめた――をさらっと説明しながら走る。
もしジールさんも俺たちの世界に來ることができたなら、ぜひとも読ませてあげたいと思う。
「そろそろ著くでしょう。準備をしてください!」
その言葉の通り、しして焦げ臭いにおいと共によく見知った三人の顔が見えた。
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