《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》3話
「おっちゃん、串1本と特上2本くれ。」
串屋のおっちゃんに注文して、銀貨を1枚渡す。
「毎度!ってさっきのあんちゃんじゃねぇか!もう稼いできたのか ︎」
串を焼きながら銅貨75枚を返金してきた。
ってことはやっぱり銅貨100枚で銀貨1枚なんだな。
「さすがにまだ登録しただけだよ。」
「じゃあこの金は誰から奪ったんだ?」
確かにちょっと前まで無一文のやつが金なんて持ってたらおかしいわな。
おっちゃんには今持ってないじゃなくてこの國の金がないっていっちまったし。
「持ってたアクセサリーを売って金にしたんだよ。」
「おいおい、それでせっかく手にれた金を無駄遣いしないほうがいいぜ。」
自分の店の商品を買おうとしてる客に無駄遣いとは凄いこというやつだな。
きっと顔に似合わずいいやつなんだろうな。
「これから稼ぐから大丈夫だ。それにまだ多の金はあるし。」
おっちゃんが最初に焼けた串を渡してくる。
「ほらよ。まずは普通の串からだ。」
「あんがと。」
禮をいって齧り付く。
若干かたくて臭みもあるが食べれなくはない。
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噛み応えがあって空腹の今にはちょうどいいかな。
「多の金があるっていってもこれから裝備とか薬とか買うんだろう?金は足りんのか?」
「…そうだな。」
全く考えていなかった。
そもそも裝備品っていくらくらいするんだ?
「考えてなかったのかよあんちゃん。はぁ…しょうがねぇな。ここで會ったのも何かの縁だ。こっから冒険者ギルド側に歩いて最初にある武と防の総合店でカザエルの紹介だって伝えろ。多は安くしてくれるかもしれねぇ。なくともぼったくられはしねぇはずだ。ちなみにカザエルってのは俺の名前だ。」
なんて親切なやつなんだ。
今日初めて會ってちょっと話しただけなのにこんなに優しくするなんて、普通は詐欺を疑うな。この顔だし。
でも、識別スキルによると『味方』と表記された。
顔の印象で疑ってすまなかった!
「何から何まで恩にきる。」
これからは何かあるたびにここで串を買おう。
おっちゃんが特上の串を1本渡してきた。
「いいってことよ!ほらよ。特上1本目だ。」
さっきの串はとっくに食べ終わっていたので、特上に齧り付く。
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「何これ ︎うめぇな!」
「だろ?がいいってのもあるけど、俺の焼き加減が絶妙だからな!」
本當に味くて、もう食べ終わってしまった。
「おっちゃん、顔に似合わずやるな!」
「顔は関係ねぇだろう!」
上機嫌だった親父がビックリした顔で怒鳴ってきた。
なかなかの迫力だ。
「悪い悪い、失言だ。ってかこれって何の?」
「最初のがラビケルので、特上がカウブルのだ。」
聞いといてなんだが全くわからんな。
牛とか豚とかいわれることを期待した俺がバカだったわ。
そんな雑談をわしながら最後の串を食べて、おっちゃんとは別れた。
おっちゃんがいってた武防の総合店に著いたのだが、ここでいいのか不安になる小ささだ。
らなければどうにもらないし、とりあえずっていく。
「いらっしゃい。」
聲のする方を見ると、レジっぽいところに座るおっさんがいた。
おっちゃんよりもし年上っぽいおっさんだ。
元気がなさそうだからおっさんにじてしまうがさすがに本人を前におっさんとは呼べないな。
おっさんに近づいて、確認のためにまずは挨拶をしてみるか。
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「どうも!カザエルさんの紹介できたんだけど、この店であってる?」
「敬語も使えねぇガキなんか紹介しやがって。おい、坊主。金はあんのか?」
なんだ?ずいぶん口の悪いおっさんだな。
俺も人のことはいえないけど。
「なくはないがあまりない!そもそも武や防の値段の基準を知らんから所持金が足りるかわかんねぇ。」
「値段の基準ったってピンキリだからな。店見回ってしいの持ってこいや。値引きできるやつなら値引いてやっからよぉ。銅貨しか持ってねぇならその樽の中から探せや。サービスでどれでも1つ銅貨20枚で売ってやらぁ。」
口は悪いけど一応紹介サービス的なのはしてくれるつもりなのか。
店を見て回るが、狹いからすぐに一周してしまった。
気になったのはいくつかあったが、大剣とか斧とか盾なんて使ったことないし、最初から持ってても使えなさそうだから除外した。
普通の剣や槍なら使えるかもと思ったが、しっくりくるのがなかった。
殘りの気になったのはまずはガントレットだ。
毆り合いなら今までやってきているから1番しっくりきそうな気がするし、観察眼のスキルなのか、このガントレットは良いな気がする。
次は短剣だ。
確かに刃はしいなと思う。
短剣なら持ち運びに便利そうだし、扱いやすそうでもある。
それにこれも良いな気がする。
あとはチェインメイルとかブーツとか指にピアスにハチマキ…これらは後回しでいいだろう。
武を買って、金に余裕があれば買えばいいか。
「まずはこのガントレットとこの短剣がしい。」
親父は商品を見てから俺を舐めるように見る。
「坊主は目利きができるのか?」
観察眼のことか?
でも良いの気がするだけで、どう良いのかはわからないんだよな。
「まぁ、なんとなく良いな気がする程度にってじだがな。」
「その通り、この2つは加護付きだ。だからこれ以上は安くできねぇんだ。そん代わりにベルトをサービスしてやるよ。合わせて銀貨50枚だ。」
2つで銀貨50枚 ︎
これは買いだろ!
「ベルト?」
「武を付けるベルトだ。もしかして坊主は武を手に持ったまま街を歩くつもりってぇのか?」
なるほど。あまり周りは見てなかったが、さすがに武を持ち歩いてるやつはいなかったな。
「じゃあお言葉に甘えておくわ。ちなみにこれらはなんの加護なんだ?」
「ガントレットは軽量の加護だ。素材が鋼だからけっこう重てぇんだが、加護のおかげで重さをあんまじねぇ。短剣は避けの加護だ。所持者が意図的にらねぇ限りにれねぇってものだ。武が錆びねぇから使わなくても持ってた方がいいぞ。つっても短剣も鋼だから壊れねぇ限りはずっと使ってても問題ねぇがな。」
なかなか優秀じゃねぇか。
銀貨50枚ならまだ余裕があるし、チェインメイルとブーツも聞いておくか。
「ちなみにこの2つはいくらだ?」
「坊主はうちから良いだけ持ってくつもりか?このチェインメイルは銀貨50枚でブーツが銀貨10枚だ。悪いがこれらも値引きは出來ねぇわ。」
他のに比べてチェインメイル高いな ︎
「なんでチェインメイルは他の倍額くらいするんだ?」
「こいつは魔鉄を使った鎖でできてんだ。だから防として優秀なうえに炎耐の加護まで付いていやがる。完全耐じゃあねぇんだけど、よっぽどじゃなきゎあ炎によるダメージはけねぇ優れもんだ。」
マジか。買えなくはないがどうするか。
この後薬とかも揃えなきゃならないからな。
とりあえずチェインメイルは保留にしよう。
「このブーツもなんかあんの?」
「こいつぁ駿足の加護だな。わかりやすくいゃあ足が速くなる。」
なんかこれだけ微妙な加護な気がするが、その分安いし買っとくか。
「じゃあこのブーツもくれ。」
「あいよ。紹介で來たのにたいしたサービスも出來ねぇから、中古で悪いがマジックバックをつけてやらぁ。」
「マジックバック?」
「知らねぇのか?決まった容量までなら荷をれても重さの増さねぇバックだよ。」
四次元ポケットの肩掛けバック版かな?
「ありがとな。」
「いいってことよ。金ねぇとかいいながらけっこうな買いをしてくれた上客だからな。」
親父に銀貨60枚を渡して、ブーツに履き替え、ベルトに武類を取り付けて、いだスニーカーはバックにしまい、店を出た。
空を見るとさっきよりも日が傾いている気がする。
早くしないと魔狩りにいけないな。
急いで薬屋っぽいところを探すがわからない。
仕方がない…
「おっちゃん、特上1つ!」
「毎度!ってあんちゃんじゃねぇか!また食うのか?」
「小腹が空いてな。それと薬屋の場所を聞きたくてさ。」
おっちゃんに銅貨10枚を渡す。
「冒険者なら薬はギルドで買った方が安いって聞くぞ?薬の調合の本とか高級品の薬を買うつもりなら、城門通りにデカい薬屋があったはずだ。あと、あそこにも小さいけど薬屋があったな。」
おっちゃんが指差す方を見ると駅中にあるコンビニくらい小さいお店があった。
「おっちゃんマジで助かる!」
「いいってことよ。それより早くしないと夜になっちまうぞ。」
確かに夜になると視界が悪くなって危険だもんな。
「わかってはいるんだけど、準備に時間がかかっちまってさ。」
おっちゃんが焼けた串を渡してくる。
「ほらよ。まぁ準備をしっかりやるのに越したこたぁねぇからな。」
串をけ取り一気に食べる。
噛まずとも溶けるようならかさ。
越しがたまらねぇ。
「あんがと。」
あっという間に完食して、薬屋に向かう。
「気をつけてな!」
まずは小さいところから覗いてみた。
扉を開けると草の匂いがした。
それにしても暗過ぎないか?
「いらっしゃいませ〜。」
奧から黒いワンピースを著たの子が出てきた。
前髪で隠れて顔がよく見れないが、歳は俺よりし下くらいか?
頭にリボンを著けて箒を持ったら宅急便とかできそうだ。
自分で見て回ろうと思ったが、文字が読めないから店員に聞いた方が早いだろう。
「冒険に最低限必要そうな薬と薬草の本があったらしい。本は絵付きのがあれば絵付きにしてしい。」
「冒険者さんが必要なものですね〜。」
店員がふらふらと店を歩き回る。
覚束ない足取りに々不安だ。
いくつか商品を持ってレジのような所に戻ってきた。
「まずはポーションと塗り薬ですね〜。ポーションの品質は普通で十分だと思います〜。ポーションは〜戦闘中の外傷や全の外傷の回復には適していますが〜1度に全量飲まなければ効果が薄くなっちゃうので〜1本で1回分なんです〜。それにたいして塗り薬は〜ポーションほどの即効はありませんが〜怪我にたいして適量塗るだけなので〜1つあれば何度か使えるんですよ〜。だから塗り薬は高品質がオススメですね〜。あとは〜どんな魔と戦うかによりますが〜毒消しと麻痺を治す薬はあった方がいいと思います〜。お金があるなら萬能薬にするのが楽ですけど〜。初めは毒消しと抗麻痺丸だけで十分かと思います〜。この2つは念のため高品質で揃えるべきですね〜。どちらも命にかかわるので〜。品質普通で完治しないほどの敵に會ったら終わりですからね〜。高品質で治らないほどの敵だったら〜そもそも萬全の狀態だろうが〜なったばかりの冒険者さんじゃ逃げることすら出來ませんから〜高品質で十分かと思います〜。それと薬草の絵が付いた図鑑はこちらです〜。」
ヤバい…なんだこのトロい喋り方は?
ちゃんと説明してくれたのは助かるが、馬鹿にしてんのか?
「全部でいくらだ?」
「えっと〜。全部で銀貨10枚です〜。」
銀貨10枚か。
冒険者ギルドで買った方が安いって話だったけど、こいつのトロさのせいで時間もなくなったし、銀貨10枚くらいならいいか。
そう思って財布を出そうとしたら、払ってはいけないと直が告げている。
もしかしてと思い、商品を全て識別スキルで見てみるが、本のようだ。
品質が違うのか?
だが品質が違うのなら俺には調べようがない。
品質を聞いたうえで識別をして本となっているのだから信じるしかないだろう。
あと他に違うとしたらなんだ?
「會計の訳を教えてくれないか?」
「チッ」
「は?」
「えっと〜品質普通のポーションが〜1本銅貨20枚で5本と〜高品質の塗り薬が〜大きめサイズで1つ銅貨30枚で〜高品質の毒消し丸が〜1つ銅貨50枚で3つと〜高品質の抗麻痺丸が〜1つ銅貨30枚で3つと〜絵付きの薬草図鑑が〜銀貨1枚なので〜合計銀貨10枚です〜。」
今こいつ舌打ちしなかったか?
っていうか…
「ボッタクリじゃねぇか!」
「ビックリするので〜大聲はやめてくださ〜い。」
「ちゃんと計算しろよ!合計銀貨4枚と銅貨70枚だろ ︎」
「えっと〜。う〜んと〜。本當ですね〜。計算間違えてました〜。ごめんなさ〜い。」
馬鹿すぎるだろと思ったが、なんか違和があるぞ?
すると勝手にスキル畫面が開いて、識別の部分が點滅していたので選んでみた。
『ダウト』
噓まで見抜けるのかよ!
「ってか演技かよ!」
「え〜。何いってるのかわかんないし〜。」
天然系のトロい喋り方からギャルみたいな喋り方に変わってるし、ぼったくろうとしたときだけじゃなくて、そもそものキャラが演技なのかもな。
「噓ついてんのはバレてんだよ。まぁちゃんとしたの売ってくれりゃもういいわ。」
銀貨5枚を渡して銅貨30枚を返してもらう。
カウンターの上に置かれている薬類をマジックバックにれていく。
「あーあ。冒険者のくせにわざわざ薬屋で薬を買う馬鹿だから騙されてくれると思ったのに、算できるなんて予想外だったな〜。」
ぶっちゃけ過ぎだろ。
というか冒険者ってこんな計算も出來ないとか思われてんのか?
それともほとんどの冒険者が本當に計算出來ないような脳筋どもなのか?
「というか客に向かってその態度はないだろう。」
「だって私は店員じゃないし。」
「は?」
「ここはおばあちゃんの店だけど、今出かけてるから店を閉めてたのに、閉店の看板を無視してってきた奴がいるから、文字も読めない馬鹿ならぼったくってやろうと思ってさ。」
確かに文字は読めないし、閉まってる店にった俺も悪いな…
ってかあんなに長ったらしく説明したのは馬鹿だから知らないかもと思って説明してくれたのかもな。
だとしたら案外優しいのかもしれない。
どうでもいいけど。
「それはすまんかったな。でもボッタクリはやめとけ。いつか痛い目見るぞ。」
カバンを背負い直して出口に向かう。
「心配どーも。騙そうとしたお詫びに1つアドバイスをしてあげるね。ダンジョンにるときは抗麻痺丸は口に含んだままにしておくのをオススメするよ。うちのはコーティングしてあるから唾じゃ溶けないし、麻痺になったらすぐに噛み砕けばほぼノータイムで復活できるから。あとは麻痺を使ってくる強敵と戦うときは飲んでおいた方が良いよ。麻痺になる前に飲むと効果は薄まるけど、しばらくの間は麻痺になっても完全にけなくなるのに時間がかかるようになるから、その間に別の抗麻痺丸を齧れば治せるから。」
これは助かる報だな。
「あんがと。あと、質問なんだが、薬草でも食べれば効果はあるのか?」
「あるにはあるけど、必要量を食べるのはけっこう辛いよ?」
「そうか。いろいろありがと。じゃあな。」
「武運を〜。」
薄暗い店から外に出ると、オレンジの綺麗な夕日がやけに眩しくじる。
ってもう夕方じゃねぇか!
せっかく準備を整えたんだから意地でも魔退治に行ってやる。
夜になる前に終わらせるため、急いで街の外へ向かった。
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8 161ひざまずけ、禮
「ひざまずけ、禮」 理不盡な死を遂げた者たちが、その運命に抗うため、化け物を退治する。どこまでも平凡な少年と文學少女が織りなす、學園ストーリー。・・・になるといいな!(白目)
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