《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》4話
街の外に出るのにこんなに時間がかかるとは…
空は既に薄暗くなってきている。
腕時計は3時10分を指していた。
たぶん18時くらいだろうと思い、時間を調整する。
でもよくよく考えたらこの世界が24時間とは限らないのか。
まぁいいや、せっかく外に出れたのだから、早く魔を見つけなくては。
まさかあんなデカい壁に囲まれた街なのに出口が4ヶ所しかないとはな。
とりあえず壁に向かって歩いて、その後は壁沿いに歩いて來たらこんな時間だよ。
ちなみに門を出るときの審査はギルドカードを提示するだけで終わった。
門番の人にもう夜になるから急ぎじゃないならやめといた方がいいっていわれたけど、急ぎなんだと無理やり出てきた。
とりあえずガントレットを裝著してみたが、腕時計や指をしたままでも違和なくピッタリフィットするとかすげぇとしかいえないわ。
裝備の高能に驚きつつも整備された道を歩いてるけど、魔がいない。
道の左側は100メートルほど草原で、その先が森だか林だか山だかになってる。近すぎてよくわからん。とりあえず木々が生い茂ってる。
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右側は地平線まで草原だ。
とりあえず森の方が魔がいそうだな。
なんかあればすぐ道に戻れるしな。
そんな淺はかな考えで森の中に足を踏みれた。
まだ微かに太のがあるはずなのに、森の中にはほとんど屆いてない。
かなり暗い。
目が慣れてきているおかげでかろうじて見えてはいるが、これは危ないな。
うん、戻ろう。
諦めて踵を返したところ、危険だと直が告げる。
何事かと止まって耳を澄ませる。
何かがけっこうな速度で近づいてくる音がする。
飛びかかってきた音に反応して、振り向きざまに裏拳を決める。
加護のおかげなのか毆ったときの衝撃がほとんどなかった。
衝撃も重さととらえられるのか?
毆ったせいで吹っ飛んだ生に目を向ける。
犬のような生きだ。
ドーベルマンの犬歯をトドみたいにして、悪魔みたいなツノと小悪魔みたいな羽をつけた生きだ。
右目は潰れてフラついている。
それは俺のせいか。
識別を発。
「敵」
魔とは出ないのか。
でも敵ならたぶん魔ってことだろ。
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ならやってやろうじゃねぇかと喧嘩スタイルで構える。
確かにこいつは軽いな。
裝備だけじゃなくてまで軽い気がする。
それでも毆った相手にあれだけのダメージを與えられるってことは軽くじてるのは自分だけで、ちゃんと重さは存在しているのだろう。
元の世界じゃあり得ない不思議パワーだ。
「かかってこいやー!」
聲を出して気合をれる。
犬もどきは俺の気合のせいか痛みのせいかわからないが一瞬怯んだ。
その隙に駆け出す。
ってか思った以上に速くける!
これはブーツの加護のおかげか?
それともガントレットの加護と重複してるのか?
なんて考えていたらもう犬もどきの目の前だった。
犬もどきはまだ逃げの作も攻撃の作も行えていないようだ。
「オラッ!」
移の勢いそのままに右拳で毆りつけた。
自分で思っている以上の力が加わったようで、犬もどきの左頬が抉れてが噴き出した。
目の前で飛沫を浴びたが、不思議なことに服にすらはつかなかった。
「加護って凄えな。腰のベルトに付けてるだけなのに全くを浴びないわ。」
というか自分でやっといていうのもなんだが、グロいな。
護団とかに訴えられそうだな。
まぁこの世界では魔は悪だから関係ないか。
そんなくだらないことを考えている間に犬もどきはかなくなった。
死んだようだ。
俺の方が強いだろうってのはわかっていたが、まさか2発で終わるとはな。
初獲の素材を集めるかなと短剣を取り出して気づいた。
「どの部位を取ればいいんだ?」
小學生の頃にやってた化け狩りのゲームだと倒した化けに近づいて採取をすれば勝手に素材を取ってくれたけど、いざやろうと思うとどうすればいいかわからん。
「とりあえず牙とツノと羽と皮を取ればいいか。」
なんとなく金になりそうなを選んだが、ダメなら捨てればいいか。
は食えるかわからないからちゃんと埋めてやるか。
まずは牙を取ろうとするがうまく取れない。
短剣で歯を抉るが、けっこう深いところから生えてるみたいで上手く取れない。
気合でなんとか右牙を取った。
思いの外疲れるなと思って一息つきながらバックに牙を仕舞ったところ、犬もどきに囲まれていることに気づいた。
「噓だろ…」
どんだけ集中してたんだよ。
全く気がつかなかった。
1.2.3.4.5.6...12匹か。
いくら1匹を2発でKO出來たといっても12匹をいっぺんにとか勝てる気がしない。
確か俺が來た道はあっちだから、そこを一気に駆け抜ける。
道を塞いでる3匹は殺すよりも攻撃をいなすこと重視で、あとは後ろからの攻撃をくらわないように神経を研ぎ澄ませ。
「ラァ!」
気合をれて來た道を全速力で走ろうとした瞬間6匹が一斉に飛びついてきた。
進行方向の1匹の下をくぐるために腹を毆ろうとしたらまた危険だと直が告げた。
周りに意識を向けると、2匹が時間差で俺が狙った1匹の下を走ってきていた。
噛みつこうとする2匹の口の中にそれぞれの手を拳を握らず勢いよく突っ込む。
最後の力を振り絞って噛み付いたようだが、肘まである鋼のガントレットのおかげで腕は千切れずに済んだ。
指が犬もどきの後頭部から突き抜けたせいで、犬の牙はガントレットの端ギリギリで危なかったがな。
だが上を飛び越えていた犬もどきの後ろ足を避けきれずに額をし切ってしまった。
額から流れてきたが左目にり、視界が一部塞がる。
自分のは加護の範囲外のようだ。
だが今はそれどころではない。
両腕に付いている犬もどきを振り払う。
頬の部分で辛うじてくっついていた上顎と下顎が千切れて簡単に外れる。
あとは1匹をどうにかすれば前には魔がいなくなる。
だが後ろにはまだ7匹、斜め前には左右で2匹いる。
立ち止まっていたら死ぬ。
だから走った。
犬もどきは仲間がグロい殺され方をしても怯んでいないようだ。
近づく俺に対して出方を伺うように構える犬もどき。
避けるのは難しそうだ。
だが攻撃の作をしたら後ろの犬もどきに追いつかれる。
殘り1メートルを切ったところで犬もどきは口を開けた。
その口を左手で押さえ右に抜ける。
なんとかギリギリで避けられたと思ったが、違った。
またしても危険だと直が告げ、が無意識に防姿勢を取った。
その直後、犬もどきが破裂した。
その衝撃で2メートルほど吹っ飛んだ。
けっこうな衝撃だったが、まだける。
咄嗟に跳ね起きて避ける。
先ほどまで俺がいた所に2匹の犬もどきが飛びついていた。
は痛いが邪魔な犬はいなくなった。
これならなんとかなる。
俺は必死に走った。
後ろを振り返らずひたすらに。
もともとそこまで森の奧に來ていたわけではなかったから、しばらくしたら整備された道が見えた。
なんとかなったと安堵した瞬間に視界の端に何かが映り、危険だと直が告げた。
なんとか立ち止まることができたと思ったら、目の前を巖が勢いよく通り過ぎた。
石というにはデカすぎる。
あんなのが當たってたら死んでたぞ。
巖が飛んできた方向を見ると緑の二足歩行をしている化けがモゴモゴいいながら地面から巖を作り出していた。
1匹だけならと思い向かおうとしたが、立ち止まる。
ダメだ、あいつは俺よりはるかに強い。
森の外に出たら障害が何もないから恰好の的だ。
だからといっていつまでも森の中にいたら、今はもう犬もどきが追ってきていないといってもまた狙われるだろう。
挾まれたら終わりだ。
なら次の1発を避けたら全速力で逃げる。
そう決めて、喧嘩スタイルで構える。
意識を集中させる。
緑の化けは作り終えた巖を持ち上げる。
まだ投げる作にっていないのに直が避けろと促してくる。
まだだ。
緑の化けが変なきをした。
それにつられて思いっきり橫に跳んだ。
もし今のがフェイントなら死んだ。
だが、フェイントではなく、先ほど俺がいた場所を巖が通り抜けた。
障害になるはずの木々をぶち抜きながら。
下投げであの威力とかまさに化けだろ。
俺はすぐに起き上がり、倒れてくる木を避けながら全速力で森の外へ出た。
そのまま街に向かう。
そのあとはよく覚えていない。
気づいたら門の前にいて、門番の人に大丈夫か?と聲をかけられていた。
大丈夫じゃねぇよ。
無理ゲー過ぎるだろ。
だけど門番の人の制止を振り切って外に出たのだから何もいえない。
今日はもう寢よう。
「大丈夫だ。それよりこの辺りに宿があったら教えてしい。」
「それならそこの建の2階が宿になってるよ。安いとこがいいなら冒険者ギルドの隣が1番安い宿だと思うよ。」
門番が指差した建を見る。
1階が酒屋だか食堂だかになっているわりと綺麗な建だ。
「ありがとう。」
門番に禮を告げ、近い方の宿に泊まることにした。
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ーーこれは復習だ、手段を選ぶ理由は無い。ーー ○概要 "骸街SS(ムクロマチエスエス)"、略して"むくえす"は、歪められた近未來の日本を舞臺として、終わらない少年青年達の悲劇と戦いと成長、それの原動力である苦悩と決斷と復讐心、そしてその向こうにある虛構と現実、それら描かれた作者オリジナル世界観ダークファンタジーです。 ※小説としては処女作なので、もしも設定の矛盾や面白さの不足などを発見しても、どうか溫かい目で見てください。設定の矛盾やアドバイスなどがあれば、コメント欄で教えていただけると嬉しいです。 ※なろう・アルファポリスでも投稿しています! ○あらすじ それは日本から三権分立が廃止された2005年から150年後の話。政府や日本國軍に対する復讐を「生きる意味」と考える少年・隅川孤白や、人身売買サイトに売られていた記憶喪失の少年・松江織、スラム街に1人彷徨っていたステルス少女・谷川獨歌などの人生を中心としてストーリーが進んでいく、長編パラレルワールドダークファンタジー!
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