《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》12話

ダンジョンまでの徒歩2時間の間に飯も済ませてしまおうと市場で食べを買って出発したはいいが、徒歩2時間はやっぱり遠いな。

最初の30分もしないうちに飯は食べ終わって、あとはただただ無言で歩いている。

普通に考えたら元の世界にいた頃は2時間も歩いた記憶がない。

なんで徒歩で2時間くらいかななんて軽く考えていたのだろう。

だいぶこの世界に染まってるな。

まぁこれからはこの世界で生きるのだろうからそれでいいのか。

なんとかダンジョンにたどり著くと、り口らへんで地図や薬類を売ってるやつらがチラホラいる。

なるほど、そうやって稼ぐのも1つの手だな。

地図は初心者、中級者、上級者とかいってるが、よくわからんから買わなくていいや。

薬類もあるしな。

「アリア。これからダンジョンにるが、疲れてないか?」

「…大丈夫です。」

「ちょっとその前髪邪魔そうだから切っていいか?」

「…はい。」

遠慮なく腰につけてる短剣でバッサリ切る。

この短剣けっこう切れ味いいな。

髪のもわりとすんなり切れた。まぁ若干抵抗あったから痛かったかもだけど。

前髪が短くなったから顔が見えるようになったが、ボロボロだったは綺麗になり、痩せこけてたのがし痩せてるレベルになっていた。

けっこう整った顔をしてるじゃねぇか。

買ったときはホラーそのものってじだったのに。

「じゃあるぞ。裝備をしておけよ。」

俺はガントレットを嵌め、アリアはロッドをベルトから外して、手にした。

一応ローブも著せてからダンジョンにった。

ダンジョンの中は薄暗いが、眼で十分見れるくらいには量がある。

壁そのものが淡くっているようだ。

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さすが初心者向けというべきか、あっという間に一周してしまった。

まだ魔に出くわしてすらいない。

一階だからか?

途中で見つけた階段のところに行き、下に降りる。

今度はチラホラ魔を見つけるが、どの魔も他のパーティーと戦闘中だからスルーするしかない。

さっきよりは広かったが、魔と戦うことなく一周してしまった。

またさっき見つけた階段から下に降りる。

地下2階をしばらく進むと、壁に違和を覚えた。

観察眼の勘だから何かがあるのだろうとれてみるとズブっと腕が埋まって、手が先の空間に出たみたいだ。

隠し通路?もしくは隠し部屋か?

「アリア。この先に空間がある。行くぞ。」

「………………はい。」

何かいいたげだったが気づかないフリをする。

だってせっかくダンジョンまで來たのにまだ魔と戦えていない。

フラストレーションが溜まりまくりなんだよ。

せめて隠し部屋で寶箱でも見つけなきゃやってらんねぇよ。

ズブズブと壁の中にっていく。

どうやら中はけっこう広い部屋になっているようだ。

部屋の様子を一目見て、俺は戻ろうとするが、壁を通り抜けることが出來なかった。

後からアリアもってきた。

アリアはるなり泣きそうな顔になった。

まぁしゃーないわな。スケルトンっていうんだったか?

骨の戦士っぽいやつがうじゃうじゃいるからな。

ぱっと見で100はいそうだ。

さっきまで俺らと反対側を向いて何かをしていたが、一斉にこちらを見た。

戻れないならやるしかねえわな。

「アリア。マジックシェアを使ったあとは俺に支援魔法をかけられるだけかけろ。敵は全部俺が引きつける。」

『ダズルアトラクト』

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俺のが淡くる。

『マジックシェア』

『マジックドレイン』

『ステアス』

『ステアミ』

『ステアラ』

『アルムレンフォート』

MPをシェアしているにもかかわらず一気に半分くらい減った。

支援魔法はけっこうMPを食うんだな。

あくまで覚だが、ステータスアップの魔法はちゃんと重複するみたいだ。

冗談じゃなく力が漲る。

スケルトンどもが走って向かってくる。

マッドブリードみたいなきを予想していたからちょっと出遅れた。

俺も走ってやつらに応戦する。

よくよく考えると武を持った相手と戦うのは初めてだ。

あんなんで首や頭を攻撃されたら一撃だろ。

いつも通り観察眼に頼る形だが、敵の攻撃を回避しながら相手の顔面を毆る。

うまく當たれば一発で頭蓋が背骨から外れて吹っ飛んでくれる。

そうすると崩れてかなくなる。

當たりが悪いと制を崩したまま武を振り回してくる。

どうやら魔法を使ってくるやつはいないようで、なんとか戦えている。

気づいたら360度囲まれているが、もう半分以上は倒せてるみたいだ。

マッドブリードと違って終わりが見えてるから頑張れる。

『パワーリカバリー』

けっこう疲れたと思ったら、ジャストタイミングでアリアがPPを回復してくれた。

相手は武を持ってるから一撃でやられる可能もあって油斷は出來ないが、マッドブリードよりはだいぶ楽だ。

観察眼が違和を告げる。

何する気だ?…こいつらかなわないからって量で押しつぶす気だ。

スケルトンがなだれ込んでくるタイミングに合わせ、足にけっこうな力を込めて上に跳ぶ。

スケルトンどもは崩れてちょっとした山となった。

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あれに埋もれてたらいくら骨だけとはいえ圧死してたかもな。

ただ上に跳んだだけだから、頂點に達したらあとは落ちるだけだ。

その落ちる速度を利用してスケルトンの山を毆ったら、漫畫みたいに吹っ飛んだ。

その風圧でが裏返り、背中から地面に著地した。

いくら加護で軽くなっているとはいえ、けっこうな痛みがあり、肺から空気が強制的に抜けて苦しい。

起き上がると部屋中に骨が散らばっている。

集まって復活なんてことはないようだ。

大丈夫そうだからダズルアトラクトを解除する。

とりあえず近場にあったスケルトンの骨の一部をアイテムボックスにれる。

人骨

アイテムボックスから取り出して捨てた。

素材かもしれないが、持ち運びたくない。

周りを見渡すとまだ一殘っているようだ。

復活したわけじゃねぇよな?

だけなら余裕があるから解説を発する。

スケルトンソルジャー…冒険者のれの果て。

やっぱり冒険者が死んで骨だけになるとスケルトン化するのかもな。

かわいそうとは思ってやるつもりはねぇけどな。

走って向かってくるスケルトンにカウンターをあわせ、一撃で屠る。

じゃあこいつらが持ってる武とかは生前に使ってたやつなのか。

や防だけ回収しとくか。

回収作業を行っていると、またスケルトンソルジャーが一いた。

ん?やっぱり復活してるのか?

そう思っていたら、地面からぬるぬると骨が出てきた。

もしかしてどっかで死んだ冒険者がここに集められるのか?

なら早く武類を回収して出口を探さなきゃ面倒なことになりそうだ。

そういやアリアはどこにいるんだ?

周りを見渡すと、1ヶ所が小さな骨の山となっていた。

あそこって俺らがってきた壁じゃねえのか?

向かってきたスケルトン2を毆り倒し、山になってる骨をどかした。

中ではアリアが涙目になっていた。

怪我はおってなさそうだ。

「大丈夫か?」

「…はい。」

若干強がっているが、突っ込むべきではないだろう。

アリアには壁をりながら部屋を回って出口を探させ、俺は部屋の武類を急いでアイテムボックスにれていく。

中には観察眼が反応するようなものもあった。

あとでおっさんに見てもらおう。

「…リキ様。」

どうやら出口を見つけたようだ。

殘りの武類を集めて、アリアのところに向かう。

なんの躊躇もなく足を踏みれた俺を見て、アリアが口をポカーンとあけていた。

いや、立ち止まってたって仕方がないだろ?

壁を抜けると降りる階段があった。

どうやら元の通路に戻れたようだ。

遅れてアリアが出てきた。

けっこうスケルトンソルジャーを倒したから、レベルが上がったかの確認をする。

冒険者LV30人族LV46調教師LV20

けっこう上がったな。

やっぱり人族の方がレベルの上がりがいいから、ファーストジョブだからじゃなくてジョブによって上がり方が違うのか。

新しいスキルも出てるみたいだ。

ダンジョンマップ…ダンジョンで一度通った場所をマッピングする。ジョブ固有スキル。

試しに使ってみると1階と地下1階は完全なマップになっていて、地下2階だけ中途半端になっている。

自分がいる場所もわかるみたいだ。

これは使えるな。

ダンジョンに行くつもりなら冒険者のレベルを上げるべきってのはこういうことか。

もっとハッキリ教えてくれりゃあいいのに。

あとは新しい加護があるな。

敬慕…想いある者より與えられる加護

うん、意味がわからん。

いきなり現れたが、どういうことだ?

一応アリアのも見ておくか。

人族LV39巫LV15冒険者LV19

アリアもけっこうレベル上がってるな。今回は支援魔法で參戦したしな。

それよりなんでアリアのがスキルを覚えてんだ?

プラレティックミスト…指定範囲に敵を麻痺させる霧を発生させる魔法。

オーバーコート…指定した相手に特定量のダメージ無効効果を付與する魔法。

夢見る力…乙にのみ許されたスキル。常時発

想う心…想う相手がいることによりステータスが上がるスキル。常時発

慕う心…慕う相手がいることによりステータスが上がるスキル。常時発

アイテムボックス…レベルに応じた容量のものを空間に収納できる、ジョブ固有スキル。

PP消費軽減…PPの消費を抑えるスキル。常時発

また魔法を自然に覚えやがった。

それに意味わかんないスキルと似たようなスキルを覚えたな。

アイテムボックスはアリアも持ってると助かるな。俺のはそろそろいっぱいになりそうなじがするし。

あとは加護もか

理抵抗…理攻撃を軽減する加護

なんかこいつどんどん強くなっていくな。

どこぞの話で聞いた勇者みたいだ。

でも戦い方は知らないから、このままいくと勇者みたいに死ぬんだろうな。

そろそろ一緒に前衛で戦うべきか?

「アリア。今度からは一緒に前衛で戦うぞ。まずは相手の攻撃を頑張って避けろ。攻撃は二の次だ。わかったか?」

「…はい。」

アリアが強くロッドを握りしめた。

やる気があるのか怖がっているのかいまいちわからない。

まぁさっきみたいな隠し部屋とかでもなければ初心者向けのダンジョンなんだし、アリアでも戦えるだろう。

マップをうめるために一周するが、この階も人が多すぎるから下に降りる。

マップを埋めながらどんどん下に降りて、やっと人がない階まで降りてきた。

現在は地下15階だ。

地下2階以外は隠し部屋もなかったな。

歩き回ること數分、やっと魔を見つけた。

前にあった緑の化けより二回りは小さいけど、俺よりは余裕でデカイ。

見た目はちょっと緑の化けに似ていて、兜をかぶって剣を持っている。

いっちょまえにネックレスなんてしてやがるな。

見たじアリアよりちょっと弱いくらいか。

「じゃあ行ってこい。回避にだけ専念すれば十分避けられる。心配なら自分にステアラだけかけておけ。」

「…はい。」

『ステアラ』

かけるのね。

別にステータスアップさせなくても勝てる相手だけど、まぁ初戦闘だしな。

一応解説しておくか。

ゴブリンソルジャー…ゴブリンの進化系。剣を使うのが特徴。

ゴブリンシリーズか。

まぁ初心者向けだからな。

「ギーーャーーーーッ!」

ゴブリンソルジャーが雄びを上げて走って向かってきた。

…さっきのスケルトンより遅くねぇか?

ドスドスと音を立てて走ってきて、アリアに向かって剣を振りかぶる。

アリアは微かに震えながらロッドを構えた。

振り下ろされた剣の橫にロッドを叩き込み、軌道をズラして避ける。

いや、そんな高度なことは要求したつもりはないんだが…ただ避ければいいんでない?

砂埃がまって視界が悪くなっている間にゴブリンソルジャーは剣を引いていたようでアリアに突き出してくる。

突き出された剣に左手を添え、自分の右側に流し、半回転させた遠心力を使って右手に持ったロッドをゴブリンソルジャーの右こめかみに叩き込む。

兜に當たって鐘が鳴ったような音が空間に響く。

ゴブリンソルジャーはバランスを崩しながら右手でアリアを摑もうとするが、アリアは屈みながらさっきとは逆回転でゴブリンソルジャーの右手の下をくぐり、両手で持ったロッドをゴブリンソルジャーの鼻先に叩き込む。

もともとバランスを崩していたゴブリンソルジャーは鼻を吹きながら後ろに倒れた。

その勢いで兜が外れた。

そのあとはゴブリンソルジャーのの上にアリアが膝立ちで乗り、ロッドで顔面を毆りまくった。

ゴブリンソルジャーが両手でアリアを摑もうとしていたから手助けしようといたが、ゴブリンソルジャーの手がアリアに屆く前に事切れたようだ。

アリアはまだゴブリンソルジャーを毆っている。

近づいてみるともう顔とは呼べないくらいにグチャグチャだ。

「アリア。もう終わってるぞ。」

俺の聲に気づいて、肩をビクッとさせた。

そのあとゴブリンソルジャーのグチャグチャの顔を見て吐いた。

自分でやったのに吐くのかよ。

アリアを抱えてゴブリンソルジャーから離し、適當な段差に座らせて背中をさする。

今朝買った水をアリアに渡すとチビチビと飲み始めた。

どうやら落ち著いたようだ。

「…ごめんなさい。」

珍しい。謝罪が一回だ。

「ん?謝ることじゃないだろ?むしろ初戦闘の勝利おめでとうだ。さっきは十分戦えてたから、この調子で頑張れ。」

思った以上にきが良かった。

正直ビックリしている。

「…リキ様の戦い方を真似しようとしたのですが、途中からいっぱいいっぱいになってしまいました…。」

俺のを真似ても武格も違うんだからダメだろ。

まぁ初戦闘だからダメ出しをするつもりはないがな。

アリアの手を見ると右手にが滲んでいる。

よっぽど強く握ってたんだろうな。

「今見てわかったが、アリアは強い。だからそんなに力むな。もうちょいリラックスして戦っても十分勝てる。もっと戦って戦闘に慣れろ。」

「…はい。」

遠くからさっきのゴブリンソルジャーと似たようなび聲が聞こえた。

「ちょうどよくもう一いるみたいだ。アリアいけるか?」

「…はい。」

ゴブリンソルジャーが裝備していた兜と剣とネックレスをアイテムボックスにしまって、次に向かった。

著いた場所には傷を負ったゴブリンソルジャーと疲れてそうなかない人間5人がいた。まるでのようだ。

まぁ死んでるんだろうな。

奧の方には死んでるっぽいゴブリンソルジャーが一いるな。

倒して油斷しているところをやられでもしたのかね。

「アリア。」

「…はい。」

名前を呼んだだけで通じたようで走っていく。

ゴブリンソルジャーがアリアの足音に気づいて振り返ろうとした隙をついてが斬りかかる。

だが、ゴブリンソルジャーは剣を持った右手だけをかして力任せににぶつけた。

虛をつかれたは吹っ飛んで壁にぶつかる。

斬られてはいないが、痛そうだな。

臓が潰れたのかを吹き出している。

あれじゃ呼吸もまともにできないだろう。

アリアに視線を戻すと、ちょうど戦闘にったようだ。

『マジックドレイン』

今度はステータスアップはしないんだな。

ゴブリンソルジャーが剣を橫薙ぎにする。

かなりの低位置だ。

アリアはそれを最低限のジャンプで飛び越え、隙のうまれたゴブリンソルジャーの首筋にロッドの反対側を突き刺した。

…え?ロッドの使い方がおかしいよね?

元まで刺したロッドを即座に引き抜き、吹き出るすらも避けながら兜にロッドをぶつけて吹っ飛ばす。

緑のハゲ頭が曬された。

ゴブリンソルジャーは咄嗟にアリアの方に振り向いたが、アリアはそれを予測していたように跳んで全重を乗せたロッドを額に叩きつけた。

額が割れてが噴き出す。

アリアは足をゴブリンソルジャーの顔面に起き、それを踏み臺にして後ろに跳ぶ。

イメージとしてはバク宙して綺麗に著地しようとしたんだろうが、あの回転だと頭から落ちると予測できたから、途中でキャッチしてやる。

それにしてもきが良すぎるだろ。

一昨日まで瀕死だったんだぞ?

ゴブリンソルジャーはしばらく痙攣したあと靜かになった。

さっきのはまだ新しいを吐きながらピクピクしている。

あれじゃポーションも飲めなさそうだな。

に近づく。

「生きたいか?」

ゴフッとを吹き出す。答えようとしたのだろうができなかったようで頷いた。

「アリア。ポーションをくれ。」

「…はい。」

アリアからポーションをけ取り、の前にかざす。

「このポーションを金貨1枚で売ってやってもいいぞ?しければ頷け。」

は即座に頷いた。

「ほらよ。」

の手に握らせるが、腕の骨も折れているのか、持ち上げられないようだ。

まぁ持ち上げられても飲めないだろうがな。

「もう1つ商談があるんだが、俺の奴隷は回復魔法が使えるんだ。ヒーリングを一回金貨1枚でかけてやるがどうする?かけてしければ頷け。」

アリアにジト目で見られている気がするが、金がないから仕方がないんだ。

俺の観察眼が間違ってなければこのはあと5分は平気なはずだからそんな目を向けるな。

は虛ろな目になってきた。

たぶん金貨2枚は持ってなかったのだろう。

だから即答できずに悩んでいるんだろうな。

「ヒーリング代は分割払いにしてやってもいいぞ?」

もう脳に酸素もまともに屆いていないだろうが、判斷はまだできるようだ。

俺の質問に頷いた。

「アリア。」

「…はい。」

『ステアラ』

『ヒーリング』

特に指示をしていないのにステアラまで使いやがった。

まぁMPはまだあるからいいが、ただヒーリングをしても治せないレベルだったってことか?

が淡い緑のに包まれて、変な方向を向いていた腕や曲がったが戻っていく。

治っていってるのに気持ち悪い。

そういや治癒魔法は初めて見るな。

に殘ってたをゴフッと吐き出した。

「…ありがとう。」

素直に禮をいいたくないって気持ちが溢れていやがる。

それでもちゃんとお禮をいうのは偉いな。

「対価はもらうから無理に禮はしなくていいぞ。とりあえず最初のポーション代はもらおうか?」

はアイテムボックスを開き、中から銀貨100枚を取り出した。

それをけ取って數える。

うん、間違いない。

アイテムボックスってそのまま金もれられるんだな。

「殘りのヒーリング代はどうやって払う予定だ?」

「くっ…村に帰ったら魔の素材を売る。あとは所持金と足りない分は親から借りる。」

ずいぶん悔しそうだな。

「じゃあとりあえず所持金をよこせ。殘りは後で村に取りに行く。その村は1番近いところで間違いないか?」

渋々殘りの所持金をアイテムボックスから出して俺に渡す。

銀貨50枚と銅貨80枚かけっこう持ってるな?

「いや、ミヤスフ村だ。ここからはし距離がある。」

名前をいわれてもわからないな。

地図を広げてアリアに見せる。

「…ここです。」

近場の村を超えた次の村か。

まぁ徒歩で行けなくはない距離だな。

俺らが來た街よりは近そうだ。

け取った銀貨をアイテムボックスにしまい、銅貨を帰す。

「銅貨はいらん。そしたら後日取りに行く。」

気が向いたらな。べつにもともとポーション代しかかかってないのに銀貨150枚も手にったから十分だしな。

「アリアはゴブリンソルジャーの裝備品を取って、新しく手にれたスキルにアイテムボックスがあるからそれにれとけ。俺はこの死から裝備品を回収する。」

「……………はい。」

何を悩む?

死者は裝備を使えないんだぞ?

「なっ!?」

理解が追いついたのかが驚いて聲を上げる。

「なんか文句あんのか?」

「アインズたちは私の仲間なのよ!その裝備品を剝ぐなんて冒涜を許すと思うの!?」

「べつにお前の許しなんか求めていない。それにこのまま放置してたらこいつらはとある部屋でスケルトンソルジャーになって他の冒険者を殺す。せめてその討伐が楽になるように先に裝備品を剝ぐ。一石二鳥じゃないか。何か問題が?」

「助けてもらったのは謝する。だけどそんなことはさせない。」

は立ち上がって俺に剣を向けた。

「俺に剣を向けたな?敵は殺す。」

なぜかは怯んで一歩下がった。

その隙に攻撃しようとしたらアリアが間に立った。

「邪魔するのか?」

「…この人は私が黙らせます。なので早く裝備品を回収して先に進みましょう。」

まぁこんなやつに構ってる時間がもったいねぇわな。

この世界での殺人がどの程度の罪かもわからないから、余計なことはしない方がいいか。

「お嬢ちゃん。退いてくれないと怪我するよ?」

「…ゴブリンソルジャーより弱いあなたには負けないです。」

アリアもいうようになったな。

たった2の討伐で自信でもついたのかね。

2人で戦闘をしている間に俺は死から裝備を剝いでいく。

5人の裝備を剝ぎ終わってアリアを見ると、まだ戦闘中だった。

というかは完全にアリアに遊ばれてるな。

アリアは真剣に回避の練習をしてるんだろうけど、はたから見ると相手を馬鹿にしてるようにしか見えないな。

「アリア。行くぞ。」

俺が終わったことに気づくと、アリアはロッドでの脇腹を毆った。

の上からなのには苦しそうにしている。

「…はい。」

まだマップをうめていない方向に向かって歩くと後ろからが走ってくる。

「待ちなさい!」

「んだよ?ついてくんじゃねえよ。」

「こんなとこに1人にしないでよ。ここであたしが死んだら殘りの銀貨50枚が手にらないわよ?」

どんな脅しだよ。

「死んだらしょーがねぇから諦めるわ。だから勝手に帰れ。ついてくんな。」

「お願いします。パーティーにれてください。」

今度はお願いかよ…

「悪いが俺は奴隷以外はパーティーにしない主義だ。それとも俺の奴隷になるか?」

黙りやがった。さすがに自ら奴隷になるやつなんてそうそういないだろう。

まぁなるっていわれてもここで契約できるわけじゃねぇから困るがな。

「それに俺らはまだ帰るつもりはねぇ。だから帰りたいなら勝手に帰れ。」

…泣き始めやがった。

ウザ過ぎるだろ。

「…リキ様。」

アリアも勘違いしてるがべつにこいつはかわいそうでもなんでもねぇぞ?

命が助かったんだから幸せもんだろ?

上に上がれば他にもパーティーはいるだろうし、そもそもここは初心者向けダンジョンなんだからそんなに魔に會わねぇだろ。

「あーもう、わかったよ。アリア。そのの裝備も服も全部がしてアリアのアイテムボックスにしまえ。もちろん下著もアクセサリーもだ。全て対価として沒収する。代わりにアリアのローブを貸してやれ。出口に出たら返してもらう。アイテムボックスに著替えくらいってるだろうからそれに著替えて帰れ。いいな?」

「グスッ…うん。」

うんじゃねぇよ。

イラッとくるな。

俺がに背中を向けるとアリアがの裝備や服を沒収し始めた。

「…終わりました。」

ローブのサイズがちょうどいいようで、ちゃんと全部隠れている。

「いっとくが、外に出る前にアイテムボックスを開いたり魔法やスキルを使ったのがわかったらぶん毆るからな。」

はコクリと頷いた。

返事くらいしろや。

仕方がないから來た道を戻っていくと、さっき倒したゴブリンソルジャーの周りにうじゃうじゃと違うゴブリンソルジャーが集まっていた。

全部で12か。

はガタガタと震えてへたり込んでしまった。

まぁ裝備がなかったら怖いわな。

「アリア。ちょっと今はストレスが溜まっててイライラしてっから俺が1人で行く。支援だけしてくれ。あと、後ろからの敵には気をつけろ。」

「…はい。」

さて、こののせいで溜まったストレス発散に付き合ってくれよ。

『ダズルアトラクト』

一斉にこちらを振り向いたゴブリンソルジャーの方に走って毆りかかった。

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