《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》16話

街の壁が見えてきたときにミノタウルスの生首を捕食していたスライムが登ってきた。

もう終わったのかと左手を見て、言葉を失った。

俺が握っているより先のツノ以外がなくなっていた。

振り返っても落ちてないってことはイーラが全部食ったのか?骨まで?

俺はを食うようにいったはずなんだが、やっぱり言葉が通じてないのか?

「おい、イーラ。俺はを食べろといったはずだ。なんで骨まで食ってんだ?」

肩まで登っていたイーラが怒られて落ち込んだ。

やっぱり言葉が通じてるんじゃねぇか?

ってかそもそもなんで俺はわかるんだ?妄想か?

「俺は理由が聞きたいんだが?いっておくが、俺の仲間に無能はいらないぞ?」

なんかワタワタし始めた。

まぁ仲間初日だからおおめに見てやるか。

「今回は許すが、これからはちゃんと俺のいうことを聞け。わかったな?」

プルプル震えてるようにしか見えないが、めっちゃ頷いてる気がする。

意外と可らしいじゃねぇか。

「こんなツノのかけらだけじゃ持ってても意味がないだろうから、これも食え。」

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左手に殘ってたツノの欠片をイーラに押し付けると、プルンというじでった。

小さな泡がツノの欠片の周りにでき、徐々に溶かしているようだ。

接地面だけじゃなく、小さいものならでも捕食ができるのか。

そう思ってたら、もう半分くらいのサイズになった。

消化早くねぇか?

あっという間にツノの欠片がなくなった。

どういうことだ?

『使い魔が進化しようとしています。許可しますか?』

いきなり脳に許可申請が屆いた。

進化だと!?

まだ魔と戦ってすらいないぞ?

イーラのステータス畫面を見るとレベルが10になっていて、スキルに『會心の一撃』が増えていた。

ステータスも地味に上がっている。

捕食でステータスが上がるのか?

だとしたらこれからは倒した魔を素材だけ取って全部食わせよう。

そういや進化だったな。

もちろん許可だ。

イーラが淡くった。

スライムって進化したら何になるんだ?

某RPGみたいにいろんな種類のスライムがいるのか?

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が収まったので、ステータス畫面を見るとレベルが1になっていたのとスキルに『再生』が加わっていたのとステータスがまた地味に上がっている以外に違いがなかった。

見た目も違いがよくわからない。

進化失敗か?

まぁ期待を裏切られたは半端ないがいいや。

とりあえず解説を使う。

會心の一撃…通常攻撃よりも強い攻撃ができるスキル。

再生…失った部位を徐々に復元させるスキル。

こいつはスキルだけはいいの持ってんな。

気づくとアリアが隣にいた。

ミノタウルスの生首がなくなったとたん隣にくるとか、あからさますぎて清々しいわ。

そんなことがあって、今回の2時間はそこまで長くじなかった。

門を通り市場に向かう。

も使い魔であれば通れるようだ。

スライムが使い魔だといったときに門番に微妙な顔をされた。

まぁ純粋に雑魚だからな。

「まずは武屋のおっさんのところに行くぞ。」

「…はい。」

まずは大量に手にった武でいらないやつは売らなきゃだからな。

「いらっ…おう、坊主か。」

そこまでいったら最後までいおうぜ?

俺は客だぞ?まぁ実際は気にもしないがな。

「おう。今日は武を売りたいんだが、ここって買取してる?」

「もちろんしてるさ。とりあえず見してみろや。」

「じゃあまずは大剣から出すけど、床に置いちゃっていい?」

「大剣じゃカウンターにゃおけねぇ場合もあるからしゃーねぇな。」

許可を得て床に大剣を13本置く。

「おい坊主。1本じゃねぇのか?」

「ん?武だけで191個と盾が16個に兜が23個と防が20著、ガントレットが32個なんだが、うち26個は片手だけだ。あとはアクセサリー類が102個と靴が8足だ。」

スケルトンソルジャーはほとんどのやつが防につけてなかった。靴も履いてなかったり片足だけだったりしかいなくて、ガントレットも武を持つ側の手しかつけてなかったりだった。

は必ず持っていて、アクセサリーも所持してるやつが多かったから、この2つは多くゲットできた。

たまに盾持ちもいたな。

靴は片方じゃさすがに意味がないだろうと思い、回収しなかった。

は死んだ冒険者から剝いだのがほとんどだ。けっこう重ね著してるやつが多かったから、全部で20著にもなった。

娘の下著は防に含まれなさそうだからいわないでおこう。

「ずいぶん手にれたみたいだけどよぉ、さすがにうちじゃあ全部は買い取れねぇや。こっから冒険者ギルド方向にちょっと行ったとこのデケェとこに行ってくれや。」

「殘った分はそうするよ。ただ、ここでは世話になったから、良さげなのだけ買い取ってくれ。あと、加護付きもいくらかあるから、なんの加護かを教えてほしい。」

「嬉しいこといってくれるじゃねぇか。じゃあ、まずは加護付きから見せてくれや。」

「…悪い。スキルのアイテムボックスはそこまで使い勝手のいいもんじゃないんだ。せいぜい種類分けしかしてない。加護付きがどの武かも覚えてないからさ。」

「しゃーねぇ。じゃあ全部見してみ。」

全部見せ終わるのに1時間くらいかかった。

おっさんが買い取るものを選ぶのはかなり早かったのに、終わってみればこんなにも時間がかかっていた。

加護付きが全部で30ちょっとあったが、いまいちパッとしなかったから12個以外は売った。

アクセサリーはほとんどが加護なしなので、ここでは買取していないそうだ。

は加護付き含めて50個と兜が冒険者から剝いだ2個、他はアクセサリー以外全てを買い取ってくれた。

ゴブリンソルジャーの剣は1本だけ買い取ってくれたが、何本もあってもデカくて邪魔なだけだからと買ってくれなかった。まぁ剣じゃなくて実際は大剣だから場所を食うしな。

同じ理由でミノタウルスの斧はダメだった。

ゴブリンソルジャーの兜21個は冒険者ギルドに持って行けといわれた。

殘りの141個の武とアクセサリー102個から加護付きを抜いた殘りは他で売るしかない。

これでも思った以上に買い取ってくれたがな。

ちなみに加護付きは剣が1つ、短剣が3つ、弓が1つ、杖が2つ、ロッドが1つ、スリングが1つ、鞭が1つ、あとはアクセサリーに2つだった。

上から順に

ダメージ貫通…防を無視してダメージを與える加護。

投擲…投擲時の命中率と與えるダメージが上がる加護。

軽量…重さを軽減させる加護。

消音…音を消す加護。

必中…必ず命中する加護。

魔法補強…魔法の効果をし上げる加護。

MP消費軽減…MPの消費を抑える加護。

理麻痺…理攻撃時に相手を麻痺にする加護。

威力増強…攻撃時の威力が大きく増加する加護。

作…手に持つものを思うままにれる加護。

…想い強き者より與えられた加護。

以心伝心…対になる相手と念話ができるようになる加護。

弓の必中の加護とスリングの威力増強の加護、鞭の作の加護はその武にしか作用しない加護らしい。

アクセサリーは寵の加護が指で以心伝心がブレスレットだ。

以心伝心は対になるブレスレットを持つ者としか念話ができないそうだが、ダンジョン探索してればそのうち見つかるだろうと思い、売らずににつけた。

これだけの裝備を売っても金貨4枚にしかならなかった。しかもけっこう多めに見積もってくれてこの値段だ。

まぁ経験値が味しかったから、プラスで金貨4枚が手にったと思えば十分だろ。

「買取あんがと。んじゃまたくるわ。」

「ちょっと待てや。」

ヤーさんのようなドスのきいた聲で呼び止められた。

なんか気にさわるようなことしたっけか?

「実は坊主が來たら勧めようと思ってたもんがあるんだわ。せっかくだから見てけよ。」

怒ってたわけじゃないのね。

「せっかくだから見せてくれ。」

わざわざ勧めてくるくらいだからけっこう良いものだろう。

たぶん買いやすくするために買取を多めに見積もってくれたってこともありえそうな気がしてきた。

ってことは高いものだろうな。

親父はカウンターの奧から靴と刀を持ってきた。

この世界にも刀なんてあるんだな。

「前に坊主に売ったワンピースと同じで、どちらも長の加護持ちだ。そしてうちでは滅多に扱わねえ新品ときて、2つセットで金貨5枚!どうだ?」

「ん?滅多に扱わない新品って、俺が今まで買ったのは全部中古なのか?」

「當たり前だろ。新品でそんな安いわけがねぇじゃねぇか。」

…初耳だよ。

當たり前といわれてもこの國の武の相場なんてわからねぇよ。

「ちなみにセットじゃないといくらなんだ?」

「チッ。」

「は?」

こいつハッキリと舌打ちしたぞ。

「やっぱり坊主は目利きができるんだな。ちなみに靴は銀貨30枚で、刀が金貨4枚と銀貨80枚だ。」

確かに銀貨10枚分安いが、ほとんど刀の値段じゃねぇか。

靴は刀を売るためのオマケじゃねぇか。

「なんでそれらがセットなんだ?」

「この刀は魔鉄でできていてよ。切れ味が鋭すぎるせいで避けの加護がなくともがつかねぇといわれるような武なんだ。それに所持者に合うように長するといわれる長の加護が付いてるからけっこうな金額になっちまう。逆に靴は長の加護なんかなくとも最初から所持者のサイズに合うのが當たり前だからよ。一応加護付きってのと新品ってことでも銀貨30枚程度の価値なわけよ。これを合わせて金貨5枚っていやぁ安く聞こえるじゃねぇか?」

ぼったくりではなさそうだな。

でも金貨5枚って今売った武類より高いじゃねぇか。

それに俺はガントレットしか基本使わねえからな。

でもおおめに見積もってもらってるから、普段よりは安くなってるようなものだしな…

「坊主と嬢ちゃんの武のメンテナンスも含めて金貨5枚だ!これ以上はまけらんねぇ!」

「わかった。買うよ。」

ガントレットもけっこうボロボロになってきてるからメンテナンスはしたかったしな。

「まいどあり!んじゃ坊主のガントレ…ってボロボロじゃねぇか!どんな使い方したら鋼のガントレットが買ってから數日でこんなんになるんだよ?嬢ちゃんのロッドもけっこう傷ついてやがるし、こりゃ俺がけっこう損しちまったかもな。2人とも防はほとんど汚れてすらいねぇからメンテナンスの必要はなさそうだがどうする?」

おっさんに気を遣ったつもりが逆に悪いことしたかもな。

「防はいい。ほとんど攻撃はけてないからな。」

「そうか。坊主らはなかなか強え冒険者なのかもな。…そうだ。これからも同じ戦い方をしてくってんならさっきのミノタウルスの斧を使って強化してやろうか?ただし、ミノタウルスの斧の代金は払わない。代わりに強化代はまけてやる。」

「強化するとどうなる?」

「さっき見たじなら強度が増すだろうな。ただし、ミノタウルスの斧は失うことになるし、加護とかがつくわけじゃあねぇ。本當にただの強度の強化だ。」

まぁあんな馬鹿デカくて、軽量の加護があっても重くじるような武は売れねぇだろうから、頼んでみるか。

「よろしく頼む。」

「あいよ。3日後にはできてると思うから取りに來てくれ。」

「おう。」

おっさんに金貨5枚とミノタウルスの斧を渡して靴と刀をけ取った。

刀はアイテムボックスにしまい、靴はさっそく履き替えてみた。

駿足の加護付きの靴はアイテムボックスにしまった。

履き心地はほとんど変わらないが、速く走れなくなっているのだろう。

長の加護はよくわかってないっておっさんが前にいってたから、しばらくは履いててみるかな。

そういやこれでミノタウルスを倒して得た戦利品が全てなくなったな。

…ちょっと悲しい気がしながらも、おっさんの店を後にした。

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