《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》19話
やることも行くとこもなくなった俺たちは、なんとなく噴水広場の噴水の縁に座っていた。
なぜここを選んだかというと、べつに思い出の地だからとかではない。ここ以外に公園っぽいところを知らないだけだ。
そのうちこの街を一回りするべきかな。
今日はもう15時を過ぎてるからやめておこう。
早めに宿にいっても良かったが、ステータスチェックが途中だったことを思い出してやめた。
新しいスキルとかがあったら試したいから外の方がいい。
でも今日はけっこう人がいるんだよな。
フレアバウンドのときのようにはならないように注意しなくてはな。
ジョブ関連は街に帰ってくる途中で見たばかりだからいいかと思ったけど、せっかくだから1から見るか。
あらためてジョブ取得を見るとさらにジョブが増えていた。
調合師…調合する者に適したジョブ。上限は60レベル
空水晶に魔法をぶっこんだからか?
まぁそれしかないだろ。
ジョブが増えたからシクススジョブを取りたいが、SPがあと4しかないからな。
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レベルを早めに上げたいし、たまにはガントレットじゃない武で戦う練習もするべきかな?
あのダンジョンなら3階までなら初心者向けだし。
いや、だったら萬全な狀態のときに練習すべきだろう。
なんかあったときに対応できないとか馬鹿らしいからな。
とりあえず取得だけして放置。
今度はスキルだな。
街への帰り道のときは見てなかったからな。
最近はスキルを発するさいにわざわざスキル畫面を開かなくなったから、ちょいちょいチェックしないと新しいスキルが手にっても気づかないんだよな。
やっぱり新しいスキルがいくつか手にってる。
鑑定…選んだ対象を見極め、詳しく説明するスキル。
魔法補強…魔法の効果をし上げるジョブ固有スキル。常時発型。
魔法増々…魔法の効果を上げるジョブ固有スキル。常時発型。
3つのうち2つはジョブに付屬してるスキルだろうから、実質1つゲットか。
ってか鑑定があったら解説っていらなくないか?
SP変換とかできないのかね?
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まぁもしかしたらそれぞれに使いどころがあるかもだからいいか。
鑑定はいろいろ試してみたいが、先にアリアのステータス確認に鑑定を使ってみるか。
人族LV50巫LV30冒険者LV42
他のに比べて巫のレベルの上がりが遅いな。
上限が高ければ高いほど上がりにくいのか?
巫は上限ないから簡単に上がったら凄いことになるだろうしな。
今回もアリアはジョブ関連以外でスキルを覚えてるっぽいな。なんでだ?
さっそく鑑定を使ってみるか。
存在意義…そこにいたいと強く思えば思うほど、ステータスが大幅に上がっていくスキル。常時発型
ヒール…指定した相手の傷を程度により治療する魔法。
ハイヒーリング…指定した相手の重傷を程度により治療する魔法。
リジェネレイト…指定した相手の欠損部位の再生を促す魔法。
ダンジョンマップ…ダンジョンで一度通った場所をマッピングする、ジョブ固有スキル。
なんか凄く良さ気なスキルを手にれたな。
ってかヒーリングとヒールって何が違う?
「アリア。ヒールとヒーリングは何が違うかわかるか?」
ブラブラさせていた足を止めてこちらを見たあと首を傾げる。
たぶん自分のステータスを見たのだろう。傾げた首を元に戻した。
『ヒール』
アリアが淡い緑のに包まれて、すぐには消えた。
『ヒーリング』
またアリアが淡い緑のに包まれて、ヒールよりし長くって消えた。
「…持続時間をMP消費である程度調節できるのがヒーリングで、できないのがヒールだと思います。効果は怪我をしていないのでわかりません。」
ヒールだと何回もかけなきゃいけないのをヒーリングは治るまでかけられるってことか?
どちらも程度により治療するだからよくわからんな。
リジェネレイトも再生を促すってのは完全に再生するとは限らないってことか?
完全に再生するとしてもそれ頼りで強敵に特攻するような馬鹿なことをするつもりはないけどさ。
そういやアリアに新しいジョブが出てるかを先に聞くのを忘れたな。
「アリア。新しく取得できるジョブはあるか?」
「…はい。付與師です。」
アリアはスキルは凄くいっぱい手にれてたけど、ジョブは1つなのか。
ってか即答したところを見るとちゃんといわれた通り、ちょくちょくステータスチェックをしてたんだろうな。
それに付與師か…クリアナから聞いて便利そうなジョブだからしいとは思ったが、アリアはいつの間に條件を満たしたんだ?
せっかくだからカンストしてる人族をジョブから外して、冒険者をファーストジョブにして、付與師をサードジョブに設定する。
付與師…加護を付與する者に適したジョブ。上限は100レベル。
上限が100ってのはけっこう高いな。
それだけ優秀なジョブだと思っておこう。
あらためてスキルを見ると1つ増えてた。
転移付與…べつのものに付與されている加護を指定のものに付與させるスキル。
いらなくね?
いや、他の加護を1つのに集めることができるならかなり使えるスキルじゃねぇか?
それさえ持ってればいいことになるしな。
とりあえずこれで一通りは終わりか?
ん?アリアの加護が増えてるぞ?
魔法増々…魔法の効果を上げる加護。
軽量…重さを軽減させる加護。
俺のスキルに魔法増々はあるが、魔法補強がアリアの加護にないのだから、俺の魔法補強と魔法増々は自分にしかかからないもののはずだ。
前にも理抵抗の加護を手にれていたが、ふと思ったら加護ってそんなに手にるものじゃなくないか?
自分で覚えるものはスキルとして覚えるはずだし。
解説の上位互換っぽい鑑定だったら理由がわかるんじゃねぇの?
とりあえず対象をアリアにして鑑定してみる。
奴隷畫面と同じような報が頭にってきた。
視認できるように変更する。
相手のステータスとかスキルまで見れるって凄すぎるだろ!?
裝備まで確認できるぞ?
裝備の加護も確認でき…あれ?アリアに著せてるワンピースって被の加護と長の加護だけじゃなかったか?
理抵抗の加護と軽量の加護まで付いてるんだがなんでだ?
ってかなんか頭が痛くなってきた。
一度鑑定を解除すると頭痛もしして治った。
あれだけの報量に俺の脳が耐えられなかったってことか?
俺の脳、殘念すぎる…。
仕方がないからアリアの武だけ個別で見ていく。
やっぱり増えてるな。
もしかして、これが長の加護の力だったりしてな。
それなら値段が高かった理由もわからなくないな。
他の裝備も見ていくと、以前観察眼で反応していたのに加護がないといわれたブレスレットに魔法増々の加護が付いていた。
買ったときには確かにアリアの加護にはなかったはずだ。
これに付與されたからアリアは付與師になれたのかもな。
今度加護なしなのに反応するものがあったら俺もにつけてみるか。
その後はまたやることがなくなったから、噴水広場を通る人たちを鑑定していた。
どの程度の鑑定なら脳に負荷がかからないかのテストであって、他意はない。
たぶん、薬屋の水晶でのステータスチェックにが生えたくらいの鑑定なら問題なさそうだ。
アリアで確認するとこのくらいか。
アリアローゼ 人族 8歳(奴隷)
冒険者LV42巫LV30付與師LV1
狀態異常:なし
頭痛を我慢すれば見れないこともないみたいだが、脳が焼け切れたりなんてしたらシャレにならないから、生きに対して鑑定を使うのはこの程度までだな。
まぁ魔相手ならレベルがわかればなんとなく強さもわかるだろうしな。
なんだかんだでもう17時を過ぎてるんだな。
人間観察し過ぎたか。
2人でいるのに無言で人間観察とか意味不明だ。
そろそろ宿にチェックインしようかと思ったら、人が俺らの目の前に著地した。
こいつ今、飛んできたぞ?
直が危険を告げる。
こいつ俺よりかなり強い。
武もない俺では時間稼ぎすら無理だ。
鑑定を発すると、ノイズが走った。かろうじて見えたのは人族LV13(詐稱)だった。
あらためて見ても俺よりかなり強いのは間違いない。
そんなんで人族LV13はありえないだろ。
しかも(詐稱)ってなんだよ。
俺がそんなことを考えていると、俺のベルトからアリアが短剣を引き抜き、俺と詐稱人間の間にって、相手を威嚇した。
こんなアリアは初めて見る。
だがそれは無謀過ぎるぞ。
たぶん勝てないとわかっててやってるんだろうけどな。
じゃなきゃアリアは威嚇なんてしないだろ。
「アリア。やめておけ。そいつには2人がかりでも勝てる気がしない。だから怒らせるようなことはするな。」
アリアの肩を摑んで下がらせて、俺が一歩前に出る。
「賢明な判斷ですね、ハイ。」
不気味な笑顔をするやつだな。
その笑顔は奴隷商を思い出す。
顔の作りは似てないけどな。
「俺たちに何か用か?」
「私はスランダ・カフ・ミルラーダという者だが、君を私兵としてスカウトに來たのだよ。」
「は?あんたより格段に弱い俺をか?」
「その通りだね、ハイ。ただ、君は今まで私の報網に全く引っかかりもしなかったのに、ミノタウルスを倒したそうじゃないか。しかもたった2人で。」
「どこからその報を得た?」
「私がそれをいうと思うかい?だが特別ヒントだ。あんな自慢するかのようにミノタウルスの生首を玄関に飾っていたら嫌でもバレてしまうと思うのだよね、ハイ。」
ほぼ答えじゃねぇか。
こいつの部下かなんかがそれを見て、持ち主を探して行き著いたのが俺ってことか。
2人で倒したといってる時點で戦っているその場にはいなかった証明だからな。
「そうか。それは俺のミスだ。だが、あんたならミノタウルスくらいじゃ脅威でもなんでもないだろ?俺はミノタウルスに勝つのがギリギリだった。次は勝てるかもわからない。そんな俺をスカウトする意味がわからない。」
「私は今の君の力というより、君のその急長合を評価しているのだよ。私の私兵となれば、戦闘訓練もけられるし、それなりの給金もでる。それとは別に日々の暮らしもなかなか豪華だと思うのだよ、ハイ。」
力を求める者にはもってこいな環境かもな。
俺も強さは求めてるが、そこまでじゃない。
俺は楽しいことが好きなだけだし、人の下につくつもりもない。
「悪いが斷らせてもらいたいのだが、俺に拒否権はあるか?」
こんな化けみたいなやつに脅迫されたら、俺の選択肢はけれるか死ぬかしかない。
だがまだ死にたくはないから、選択肢があるかの確認を先に聞いておかなければな。
「君は面白いことを聞くね。普通は聞かずに勝手に選択肢がないと判斷してくれるんだけどね。もちろん無理強いするつもりはないよ、ハイ。やる気がないやつを連れてってもいいことはないからね。それに拒否したら殺すなんて街中ではできない立場なんだよ私は。」
立場が違えば殺してるってことか。
さっきからアリアが震えてるから威圧するのはやめてほしい。
正直俺も虛勢をはるのがそろそろ限界だ。
「なら悪いが斷らせてもらう。俺は人の下につくつもりはない。」
「そうかいそうかい。なら私は引き下がるが、大災害で困るのは君なんだよ、ハイ。」
「大災害は勇者がなんとかしてくれんじゃねぇのか?」
「私はあんな勇者にはな〜んにも期待はしてないのだよ、ハイ。自分のは自分で守る。當たり前のことじゃないかな?」
勇者に対してハッキリいうやつだな。
まぁ確かに毎回真っ先に死なれちゃ期待なんてできないわな。
「そうだな。自分のは自分で守るのは當たり前だ。だから俺もそうする。手を差しべてくれたことには謝するが、俺は俺の道を行く。」
「ほほ〜ぅ。部下から聞いたときはそこまで期待してなかったけど、案外嫌いじゃないよ君みたいなやつは。君がもっと強くなったらまた聲をかけるかもね、ハイ。」
そういって、俺の返事は聞かずに背中を向けて飛んでいった。
詠唱も魔法名も何もいってないってことはスキルか?
便利そうだからほしいな。
「…リキ様は凄いです。」
いきなりアリアに褒められた。
「なんで?」
「…あんな化けと會話ができるなんて凄いです。」
「まぁ化け級の強さだろうけど、一応人間だからな。」
「…。」
「なんで黙る?」
「…私には人と認識できなかったので、言葉の話せる化けであると判斷してしまいました。」
認識阻害なんて使えるのか?
そういや鑑定も阻害されたな。
何者なんだあいつは?
スランダ・カフ・ミルラーダだったよな?これは覚えておいた方が良さそうだな。
「あいつは人間だ。スキルか何かで認識を阻害しているみたいだが、まぁ化けで間違ってはいないだろ。スランダ・カフ・ミルラーダだとよ。念のため名前だけはアリアも覚えておけ。また會うかもしれないしな。」
「…はい。」
もうすぐ18時になるし、今度こそ宿に向かうことにした。
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