《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》22話
セリナを買ってからの三日間はとくにやることもないから、飯を食う以外の日中は戦闘訓練をしていた。
初日は泣きながらボコボコにされていたのが、二日目では泣かなくなってし避けれるようになってきて、三日目の昨日は加減しているときの俺の攻撃ならほぼ避けられるようになっていた。
なかなか攻撃が當たらなくなってきたことにイライラし始めた俺は途中からわりと本気で相手をしていた。
それでも決定打は避けられていたので、ちょっとずつ力を削って追いつめてから足をはらってこけさせたところに右拳を寸止めして力を見せつけた。
そしたらアリアにジト目を向けられた。
三日で攻撃が當たらなくなる程度の実力だと思われたら癪だったから、アリアのジト目は無視して、セリナには「まだまだだな。だけど今後の長には期待できそうだ。」といっておいた。
実際のところ、セリナは覚えが早い。
それにセリナがなのか種族的になのかはわからないが、運神経もいい。
こいつは當たりかもしれない。
まぁ痛いのが嫌だから必死でやって、まさにで覚えたんだろうがな。
ちなみにセリナは観察眼をフルに使っていた俺に攻撃を當てることは一度もできなかった。
セリナはきは速いが短剣の使い方が上手くない。構え方もしっくりくるのがないのか、ちょくちょく変えている。
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ってか今考えたら三日でマスターできるわけがねぇか。
でも今日は魔相手に実踐してもらう予定だ。
やっとガントレットが返ってきたからな。
早く魔狩りがしたくてたまらない。
セリナに避けられまくって溜まったストレスの発散のために。
アリアも暇すぎたようで、ここ三日間の薬草採取で銀貨5枚も手にれている。
自分で手にれた金で何冊かの本を買っていたみたいだし、なんだかんだ充実してたのか?
あと、初めて知ったのだが、魔を狩らなくてもレベルは上がるようだ。
セリナはこの三日で3レベル上がっていた。
俺は奴隷使いだけ1レベル上がっていた。
おっちゃんとこの串を食べながら、前に買った地図を広げてアリアに見せる。
「レベル上げにむいてるダンジョンはないか?をいえば素早い魔が出てくると嬉しい。」
「…ここがいいと思います。」
今回はとくに迷うそぶりもなく1つの印を指した。
知ってる場所なのか?
「なぜだ?」
「…ここは近くに村や町がないため、冒険者があまりきません。攻略目的の冒険者は無駄に立ち寄ることなく深いところに潛ってしまいます。なので地下10階あたりまでは魔が溢れかえっている可能があるので、レベル上げ用の場スポットといわれています。」
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「有名ならみんな行くんじゃないか?」
「…はい。昔は多くのレベルを上げたい冒険者が足を運んだのですが、中級の魔が溢れかえっているダンジョンなので、レベル上げ目的の冒険者では帰ってこれないで有名なダンジョンです。」
そりゃレベル上げがしたいってことはレベルが低いんだから、そんなところに行ったら助からないわな。
それを俺に勧めるってのは死ねっていってんのか?
「そんなところを俺に勧めるのか?」
「…はい。リキ様なら問題なくレベル上げができると思います。セリナさんを守りながらでもかすり傷程度で済むと思います。」
どんだけ俺を過大評価してんだよ。
俺だって死ぬときは普通に死ぬからな。
でもアリアが大丈夫っていうからには何か拠があるのだろう。
一緒に命がけで行くのに噓をつく必要がないからな。
「そこは素早い魔がいるのか?」
「…はい。地下5階と地下10階の魔は素早いらしいです。地下30階は速いうえに力もあるそうで、まだ攻略されていません。狙い目です。」
べつに攻略する気がねぇし、他のやつらが攻略できないようなところに行くつもりはもっとねぇよ。
アリアは俺に攻略させたいのか?
「攻略する気はねぇけど、攻略すると何かあんのか?」
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「…はい。ダンジョンの最下層にあるコアは金貨1000枚で売れるといわれています。特別な力のあるものだそうで、売らずに使う人の方が多いらしいです。コアを失ったダンジョンはなくなります。攻略したパーティーのリーダーは貴族となり、ダンジョン跡地を領土としてもらえるそうです。」
ダンジョンは1階部分もあるため、跡地っていったら村くらいはありそうだな。
でも攻略しちゃったらレベル上げが出來なくなるからもったいない気もするんだがな。
ただ、コアはちょっと気になるな。
6人パーティーが揃ったらそれも考えてみるか。
だが、貴族になるのは面倒そうだからな…コアを取り逃げすればいいか。
「攻略はやるとしても人數が揃ってからな。それにまずはセリナが暗殺出來るくらいの実力をつけさせるのが先だ。」
何度か話し合いをした結果、セリナの復讐は暗殺で決定した。
王族に復讐するのに相手と同じもしくは上の土俵に立つなんて簡単にはできない。
だから1番手っ取り早い殺害に決定した。
手っ取り早いといっても、正面から行ったら、功してもその後の生活がままならなくなる。
下手なことして追われるになるのは嫌だし、金貨5枚もした奴隷を使い捨てにするつもりはない。
それにちょっと考えていることもあるしな。
だから暗殺になった。
ちょうどいいことに裝備品に消臭と消音があるから、視界にらなければバレないだろう。まさに暗殺向きだ。
それにこの世界には防犯カメラなんてないだろうから、案外簡単なんじゃねぇ?って思ったからという理由も大きいがな。
「…はい。このダンジョンにレベル上げに行くのであれば、毒消し丸と抗麻痺丸は必須です。數はあるだけ持って行った方がいいと思います。あと、水も川で汲んで持っていくことをお勧めします。」
「けっこう大変そうなダンジョンなんだな。川の水は何に使う?」
「…毒などを吐き出す魔もいるということなので、洗い流すためです。」
いちいち魔法で洗うのはMPの無駄使いだしな。
じゃあまずは森にって水を汲んでから向かうとするか。
ダンジョンの位置も北側だしちょうどいい。
「じゃあ買いが終わったら森の川で水を汲んでから、このダンジョンに向かう。ダンジョンに1番近い村まではけっこうな距離があるから、早く準備を終わらせないと夜通しダンジョンにいなきゃならなくなるからな。」
今回のダンジョンはこの街からダンジョンまで4時間、ダンジョンから近くの村まで1時間ちょっとといった距離だ。
今が8時過ぎだから、2時間で水汲みまで終わらせたら4時間くらいはダンジョンにいられるな。
ふとセリナを見ると、何かいいたそうな顔をしていた。
「なんだ?」
「なんでもないです。」
「なんでもなくはないだろ?いいからいえ。」
「行き先はリキ様がお決めにならないのかと思っただけです。」
「そんなことか。俺は字が読めないから、探すのはアリアに頼んでる。」
「そうなのですか。失禮なことをお聞きしました。申し訳ありません。」
「気にするな。」
セリナの見た目と口調の違和が半端じゃないな。
もともとは貴族なんだから丁寧口調が普通なのかもしれないが、12歳でこんなにかしこまった話し方をするやつなんか今まで見たことないからな。
まぁまだ張してるだけで、そのうち子どもらしくなるんだろう。
気にするだけ無駄そうだ。
それからは市場を回って、飲食と川の水をれる大きな瓶を多めに買って、薬屋にも顔を出した。
そしたら初めてあののばあちゃんと思われるがいた。
初めてあのと會ったときに著てた黒のワンピースに似ているものをばあちゃんも著ているが、これは宅急便は無理そうな、リアル魔にしか見えない。
薬屋より占い屋の方がむいてそうな見た目だな。
なんか関わりたくないと思ってしまったから、高品質の毒消し丸と高品質の抗麻痺丸を20個ずつ買ったらすぐに店を出た。
そんなに買うのかと驚かれたが、アリアがいっぱいあった方がいいようなことをいっていたのだから仕方がないだろ。
今のところは順調に進み、森の川までやってきた。
前回來てからまだ1週間くらいしか経っていないのに久しぶりな気がしてならない。
川では魚が泳いでいるが、これも魔に分類されるのだろうか?
べつに魔は食えないってわけじゃないしな。
おっちゃんのとこの串だってなんかの魔だろうし。
この世界にはって概念がなさそうだし。
そう考えたら、経験値を得たうえでも食えるってのは一石二鳥だな。
とりあえずアリアを見てみる。
「…食べれなくはないですが、この森の魔はあまり味しくはないそうです。」
聞かずとも察してくれるとはできたやつだな。
「この森は?」
「…この森は瘴気が濃すぎるので、魔が強くなりすぎて味しくないそうです。」
筋質よりある程度脂肪があった方が味い的なやつか?
でもやっぱり魔は食べれるのか。
なら、これからは食べれそうな魔のは取っておくのもいいな。
「とりあえず今日は水だけ汲んで、今後倒した魔で食べれるやつがいたら教えてくれ。」
「…はい。」
さっき買った空き瓶に水をれていく。
3人がかりでやっているが、地味に面倒だ…さすがに100本は買いすぎたな。
俺はこの10本目で限界だ。
「殘りは2人でやっておけ。俺は周りを見てくる。危険があればべ。いいな?」
「…はい。セリナさんがびます。」
「え!?」
驚いて振り向いたセリナが手に持っていた瓶を落とし、せっかくれた水をこぼしていた。
まぁわかったならどっちがぼうがかまわない。
その後も2人でやりとりをしてるみたいだったが、俺は無視して川沿いに登ってみた。
山の主が気になったから見に行くとかいうわけではない。
もちろん気になるが、緑の化けですら逃げれたのが奇跡レベルの力量差があるのに、そんな命知らずな真似をする気はない。
ただ、時間潰しをしようと思ったら、観察眼がこっちを示した気がしただけだ。
しばらく歩くと、10メートル先くらいに何かが倒れていた。
ぱっと見は子どものように見えるが、子どもが森にってなんかこないだろ。
魔の可能が高いから、迂闊に近づくべきではないか。
あぁ、こういうときに鑑定を使えばいいんじゃん。
キャンテコック・クルミナーデ エルフ 9歳
エルフ族LV3
狀態異常:麻痺、弛緩
エルフは魔か?
そういや魔を鑑定したことないから、魔と人間で表記が変わるかもわからないわ。
だからエルフが魔の可能は十分あるな。
まぁ麻痺してるみたいだし、魔でも襲ってきたりはしないだろう。
近づくことで気づいたが、こいつらしてやがる。ローブを著ているが、下あたりが濡れてる。
それにアンモニア臭がする。
今は後ろから近づいた狀態だから、前に回って顔を見た。
涎も垂れ放題だな…近くになんか落ちてる。食いかけのキノコ?
「あうえ…」
エルフが聲を発したが、言葉になってない。
やっぱり魔なのか?ってか人間と魔の違いは何基準なんだ?
アリアに聞くのが早いな。
ローブの背中あたりを右手で摑んで持ち上げる。
「軽っ!?」
軽量の加護があるとはいっても、軽すぎてビックリした。
背中あたりを持ち上げたことで首を摑まれた貓みたいな狀態になった。
下半が下になったせいか、さらにらしたみたいだ。
服を著てるからチョロチョロとはなってないが、シミが拡大して、端まで達したらポタポタ垂れてる。
あっ、泣いた。
さっきは涎は垂れてたけど、泣いてはいなかったのに、らしてるのを見られて恥ずかしかったのか?
べつにガキの相に対して笑ったりはしないがな。
俺にかかったら怒るけど。
いろんなを垂らしたエルフを持ったまま、アリアとセリナが水汲みしてるところまで戻った。
「アリア。エルフは魔か?」
「…いいえ。エルフは大まかにくくれば人間です。」
「そもそも魔の基準ってなんだ?」
「…話す知能を持たない魔族を魔と稱しています。おおまかにくくれば魔も魔族です。」
當たり前のように話しているけど、魔族って言葉を初めて聞いたんだが…
まぁ今の流れ的におおまかに分けて人間と魔族があって、人間の中にエルフや獣人、人族があると。
んで、魔族は話せるか話せないかで魔族か魔に分かれるということだろう。
間違ってるかもしれないが、當たり前のように話してるからなんか質問したくない。
そのうち魔族と會うことがあればまた聞けばいい。なければ知る必要がない。
とりあえず今はこのエルフだ。
「こいつはどうすればいい?」
「…エルフの里を知らないので、もといた場所に戻してあげるのがいいかと思います。」
意外とアリアは鬼畜なことをいうな。
この狀態で森に放置って殺せっていってるものだよな?
「街まで送るとかじゃないのか?」
「…街に連れて行ったら魔の餌より酷い仕打ちをける可能がありますが、リキ様がお金がしいのであればそれがいいと思います。」
「どういうことだ?」
「…以前お話しした、人間至上主義の人間とは人族のみで、もちろんエルフも含まれてないです。他にも、エルフは歳をとらない。正確には老化が遅いので、綺麗な見た目を長い間保ちます。そういうのを好む人族は多いと聞きます。それにエルフは魔法が得意といわれています。つまり、待奴隷、奴隷、戦闘奴隷、どれにでも適しているので高く売れます。それにエルフが奴隷として売られることは珍しいので、コレクターにも人気があります。だから、街でエルフが奴隷狩りにあっても見て見ぬ振りをされます。なので、リキ様が奴隷商に売るつもりであればお金になります。街に送るだけなら、誰かがお金を得るだけで、どちらにしてもこのエルフの未來は同じだと思います。」
「…そうか。」
なんかアリアに圧倒されてしまったな。
もう面倒だから、本人に選ばせるか。
「とりあえずこいつの狀態異常を治してやるか。アリアの魔法で治せるか?」
「…今持ってるスキルにはないですが、新しく取りますか?」
そういやアリアはめっちゃSPが余ってたから取らせるのもありだな。
「今後のことを考えたら取っておいた方がいいだろう。暇なときにでも探しておけ。こいつは抗麻痺丸で治す。」
その方が恩が売れそうだしな。
アイテムボックスから抗麻痺丸を1つだし、エルフを右手で持ち上げたまま左手で口の中に放り込んだが、だらんと開いたままの口からこぼれ落ちた。
落ちた涎まみれの抗麻痺丸を拾い、潰してからエルフの口にれ、そのまま顎を摑んで口を閉じさせた。
「この薬はタダじゃねぇんだぞ?無理やりにでも飲め。飲めねえなら、今度はケツのに突っ込むからな。」
薬は直腸からが1番吸収しやすいとかなんかで聞いたことがあるからな。
聞き間違いな可能もあるが。
エルフは涙を流しながら、なんとか飲み込んだようで、がゴクリといた。
なんだよ麻痺と弛緩狀態でもでなんとかなるじゃねぇか。
飲んだのを確認して左手を離すと、またダラリと口が開いた。
しばらく様子を見てると、口が閉じて、涎を飲み込む音がなった。
「もう大丈夫だからおろせ〜!」
イラッときた。
手を離すと、いきなりだったからかエルフはバランスを崩してうつ伏せに倒れた。
その腹のあたりに足をれ、持ち上げて仰向けにさせ、のあたりを踏んだ。
「うげっ。」
「なんか勘違いしてんじゃねぇの?善意でお前を助けたわけじゃねえから、口のききかたに気をつけねぇと俺らの経験値にすんぞ?」
「…ごめんな…さい。」
「わかればいい。んで、なんでこんなところにいる?」
「…人族に無理やり連れてこられた。でも魔が馬車を壊したから、必死に逃げた。でもどこに行けばいいかわからない。お腹空いてきのこ食べたらけなくなった…帰りたいよ…。」
面倒なやつを拾っちまったな。
ダメ元で地図を見せる。
「どの辺まで行けば住んでた場所がわかる?」
「…わかんない。」
やっぱり地図の見方なんてわかんないか。
「いつ捕まった?」
「朝、森に木の実を取りに行ってるとき…。」
「魔に襲われたのはどっちの方向かわかるか?」
エルフが指を指した方向を地面に置いた地図と照らし合わせて、ここからエルフが指した方向の森の外の整備された道までの子どもの徒歩の時間をだいたいで計算すると、魔に襲われたのが9時くらいか?んで、その場所までを馬車で3時間から4時間くらいで行ける森っていったらこのあたりか?
アリアも橫から覗き込んで、同じ考えにいたったようだ。
たぶんだが、ダンジョンを超えてさらに2時間くらい進んだ森だ。
正直そこまで送ってやる義理はないが、乗り掛かった船ってやつか?
仕方がないから送ってやるとするか。
100本の瓶に水を汲み終えていたアリアとセリナにこいつを森まで送ることを告げて、時間がもったいないから直ぐに向かうことにした。
當の本人であるエルフはよくわかってなかったようだが、空気を読んだのか、ちゃんとついてきた。
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