《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》30話

おっさんのいる武屋に著いたけど、まだ1日しか経ってないのにメンテナンスとか頼みづれえな…。

でも武がないとセリナとの約束を果たすのに支障がでる可能があるし、他の武屋に行くのも悪い気がするしな。

諦めてるか。

「いら…おう、坊主。今日はどうした?」

「どうも。今日は俺の防を買いに來たのと…えっと…メンテナンスを頼もうと思ってな。」

「おいおい。別にいくら気にってる武っつっても毎回メンテナンスに出す必要なんてねぇぞ?それともなんかいい武でも拾いやがったのか?」

「いや、昨日返ってきたばっかのガントレットなんだけどさ。」

そういって、腰につけたガントレットをカウンターに置く。

「おいおい、だからあれは…え?…はぁ!?」

おっさんは話しながらガントレットをチラ見して驚き、二度見してさらに驚いていた。

面白い反応が見れたな。気持ちはわかるが。

「間違いねぇ。こいつぁ昨日メンテナンスを終えたばかりのガントレットだ。ミノタウルスの斧を混ぜて鋼以上の強度にしたってぇのにどうやったらこうなりやがんだ?」

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驚きから呆れに変わりつつあるようだ。

「実はい魔を毆り倒さなきゃならなくなって、こうなった。だからメンテナンスをしてほしい。」

「いや、こいつはもうダメかもしれねぇ。ガントレットとして存在してるのが奇跡ってレベルだ。ぶっちゃけもうほとんど鉄屑だわ。これをメンテナンスするくらいなら新しいのを買った方がいい。なんなら俺が作ってやろうか?追加料金は取るけどよ。」

苦楽を共にしたガントレットがもう鉄屑扱いか…ただ捨てるなんてもったいないから、加護だけ後で寫すために腰のベルトに付け直す。

ってかおっさんって武を作ることも出來るのか。

なんか自信がありそうだし、頼んでみるのもありかもしれないな。

「だいたいいくらくらいだ?」

「坊主のやんちゃさを考えたら、魔鉄で作るべきだろうからよ、まぁいろいろサービスして金貨5枚ってところだわな。」

払えないことはないけど高いな。

素材の料金と技料でってことだよな?

「ちなみに素材を提供したら安くなったりしないか?」

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「なんだ?魔鉄を持ってるのか?多めによこすってんなら、金貨3枚に負けてやるぞ。」

魔鉄なんて持ってねぇけど、素材から作ってもくれるみたいだな。その方が安いみたいだし。

「そしたら素材にしてほしいものがあるんだが、ここじゃ取り出せない大きさなんだよな。使える素材かを外で確認してもらえないか?」

ムカデの外皮を取り出したいが、一部といっても高さが俺よりし高くて、中に俺が5人くらいれそうな幅があるからな。

はイーラが綺麗に食べたから空だけど。

「じゃあ裏の作業場で見せてくれや。後で運ぶのが面倒だからよぉ。」

おっさんに連れられて、カウンター裏の扉から作業場にる。

この店は作業場と一になってたんだな。

小さい店だと思ってたが、作業する部分を含めればそこそこデカいかもな。

おっさんの他にも従業員がいたらしく、武やら防をなんかしてた。

俺は素人だから作ってんのかメンテナンスしてるのか、何をしてるのかがわからない。

素材と思われるが山のように積み重ねられている場所に連れていかれた。

店は開けっ放しでいいのか?

「ここに置いてくれや。」

指示された通り、ムカデの外皮を置く。

空きスペースにギリギリ置くことができた。

「これなんだが、鋼のガントレットで傷一つつけられなかった魔の外皮だ。これで作ってほしい。」

「なんだこりゃ!?デケェしえし、切斷面からして一部か?斷面は切ってるってより溶けてるな。…頭はどうした?」

ブツブツと獨り言をいってると思ったら急に質問された。

イーラのことはあんま説明しない方がいいよな?

「諸事によりなくなった。」

「こいつは並の刃じゃ切れねぇだろうから魔法で吹っ飛ばしたとかか?だとしてもこれを吹っ飛ばす魔法ってのも限られんじゃねぇか?どうやって加工すりゃあいいんだ?」

またブツブツと1人の世界にっていった。

えっと…俺は放置か?

「無理そうか?」

「ちょっと調べてみねぇとわからねぇ。こいつはすぎてうちで加工できるかがわからねぇからよ。でも、加工できたらスゲェのができるだろうよ。」

「おぉ、そうか。なら頼む。」

なんかよくわからないから丸投げでいいや。

どうせ俺が素材を持ってたってどうにもできねぇしな。

あとは防が買いたいから、素材を工場に置いて、店に戻った。

「前に見た炎耐の加護が付いてるチェインメイルがしいんだけど、見當たらないんだが…。」

「あれなら売れちまったよ。」

「は!?」

あれを買って消臭の加護をつけるつもりだったのに、さっそく計畫が狂ったぞ。

「坊主が前にしてから、また新しいのも仕れてっから、良さげなのを探してくれや。」

まぁ売れてしまったのは仕方がねぇし、あらためて探すのも掘り出しがあるかもだからいいか。

まずは樽の中から探すが、あまり良さげなのはないな。

ん?奧の方に落ちてる指が反応してる。

鑑定をすると縁結びの加護となっていた。

縁結び…出會いやすくなる加護。

なんだこれ?

とりあえず取ろうとしたら観察眼が危険を知らせてきた。

まさかのタイミングだったため、止まらずに指を摑んでしまった。

なんだか嫌な予がする。

にはまだ観察眼が反応しているから壊したとかではなさそうだ。

だがこれは長いこと持っててはいけない気がする。

「指が樽の中にっていたんだが、これも売りか?」

「あ?指は仕れた記憶がねぇな。たぶん落しだろ。すまねぇが持ってきてくれや。」

とりあえずカウンターまで持っていっておっさんに渡した。

「おっ!こりゃあ運がいいかもしれねぇな。縁結びの加護にったってこたぁ、持ち主と良い出會いが出來るかもしれねぇぞ。」

「なんだそれ?」

「縁結びの加護は最初に著けた者とその後った者が出會いやすくなる加護っていわれてんだ。」

「こんな武屋に來るやつに期待はできねぇだろ。」

「こんなとはなんだ!坊主、喧嘩売ってんのか?あぁ!?」

客を脅すとかなんなんだよ。

ヤの付く方ですか?

「いやいや、逞しい男どもに似合う武屋に落ちてたんだから、だという期待はできないんじゃねぇか?ってことだよ。」

てきとうな言い訳をしたが、おっさんは腑に落ちないようなじでありながら、納得してくれたみたいだ。

「そりゃあそうだ。坊主は奴隷を見る限り男じゃあねぇみたいだしな。」

「あいつらは戦闘奴隷だ。手を出す気はない。」

もう奴隷イコール奴隷だと思われてることには慣れたが、一応否定はしておく。

をおっさんに渡した後、樽以外の商品を見て回った。

ぱっと見で反応したのが4つだけど、大剣と斧とハンマーは使いづらそうだからな。

殘るはトンファーか。これは昔に見たアニメのキャラが使ってたな。ガントレットが出來るまでの代用品で使うのもありかもな。

木製みたいだが、加護が化だから數日は持つだろうし。

でもムカデみたいなやつがまた現れたときように重い武を使うのもありかもな。

一応最初の三つも鑑定してみると、大剣が軽量の加護で、斧が威力増強の加護、ハンマーが衝撃発の加護だった。

なんか一つ面白そうなのがあるじゃん。

衝撃発…衝撃を與えた際に火屬発を起こす加護。

男心をくすぐる加護だな。

昔漫畫を読んで発する武に憧れたことがあったからな。買うしかないだろ。

そういえば。

「ここって投擲って売ってねぇの?」

「使い捨ての武を使う冒険者は滅多にいねぇからよ。あってもナイフとチャクラムくらいだな。あとそこにある乾坤圏けんこんけんも一応投擲だな。有料で作ることも出來るが、使い捨てにするなら高い買いになるから気をつけろよ。」

乾坤圏デケェな。名前は聞いたことなかったけど、前にやったゲームのキャラが使ってたな。

これで投擲なのかよ。

俺はちょっと使ってみたいけど、セリナに渡すにはデカすぎるし、速度重視のセリナには不向きだろう。

「多金がかかってもいいから手裏剣やクナイがしいんだが、作れるか?」

「シュリケンヤクナイ?」

なんか名前が一纏めになってる。

ってかこの世界には手裏剣やクナイは存在しないのか?

「手裏剣ってのはんな形があるが、とりあえず俺がしいのは十字型で両刃になってるやつだ。セリナの手のひらくらいのサイズが好ましい。クナイは持ち手がついてて持ち手の元にっかがあって、先は厚めな両刃にしてしい。」

とは違うかもしれないが、せっかくオーダーメイドできるなら、自分好みにしたいからな。

「ちょっと待て。口でいわれたってぇわかりゃしねぇ。紙とペンを持ってくっから絵で描け。」

カウンターの裏にったおっさんが紙とペンを持って戻ってきた。

絵心はないが手裏剣とクナイくらいなら描けるだろう。

…ヘタだけど、なんとなく伝われば大丈夫だろう。

俺が描いた絵を見せながらおっさんに説明するとおっさんが真剣に考えてくれていた。

いくつかされた質問に答えてはおっさんが絵に文字を書き足していく。

「これなら1日で作れそうだな。使い捨てってぇなら鉛で作るのが丁度いいか?」

「いや、クナイは使い捨てじゃないから、強度が高い方が助かる。もし可能なら両方ともさっきの素材で作ってしい。クナイが3本と手裏剣を20枚ほど頼みたい。」

「だからさっきの素材は加工できるかまだわからねぇんだよ。」

「出來たらでいい。いつ頃わかる?」

「これから店閉めて徹夜で調べりゃあ明日の朝一にはわかると思うぞ。」

「わかった。じゃあ明日くる。試作でクナイと手裏剣も一つずつ作っておいてしい。これは試作だから鉛でいい。頼めるか?」

「おいおいおい。なかなか無茶振りしてくれるじゃねぇかよ?まぁできる限り応えようとは思うけどよぉ、ちっとばかし厳しいと思うぜ。」

「無理はしないでくれ。とりあえずあの外皮が素材に使えるかだけ知れればいい。クナイと手裏剣はその後でかまわないから、よろしく頼む。」

「しょうがねぇなぁ。久しぶりに腕がなるぜ。」

おっさんに注文をして、化のトンファーと衝撃発のハンマーだけ買って店を出た。

2つで銀貨80枚だから許容だろう。

ちなみに當初の目的の1つであった防だが、加護付きのが一つもなかったからあきらめた。

メンテナンスもできなくて、防も買ってない。

どんまいだな。

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