《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》31話
市場で紙やペン、あとは消費した攜行食などの買い出しを済ませた後、だいぶ早いが宿を取ることにした。
俺はこの後1人で行くところがあるから、拠點とするためだ。
本當はセリナとの約束を果たしてからにしようと思ったが、限界だ。
鍵はアリアに渡しておく。
なんだかんだで1番しっかりしてそうだからな。
「今日は自由行を許可する。ただし、行っていいのはこの宿近辺と市場だけだ。俺はちょっと用があるから別行をとるが、夜には帰ってくる。だから日が落ちるまで好きにしてかまわない。」
「…リキ様についていってはダメですか?」
アリアはせっかくの自由時間を俺のお供に費やすつもりか?
だが今日はダメだ。
このためにセリナを買ったようなものだからな。
今日は3人だけで大人しくしててもらう。
なんだかんだ仲良いみたいだから問題ないだろう。
「今日は1人じゃないといけない用事だから、連れていけない。」
「…はい。」
他の2人も理解してくれたようだ。
素直に従ったから、全員に銀貨5枚ずつ渡してやる。
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この世界では銀貨5枚もあれば余裕で1日過ごせる。
最初は金貨1枚が日本での1萬円くらいと思っていたが間違いだったみたいだ。そもそも世界が違うのに比較したのが間違いか。
「これで晝飯と夕飯は各自で食べておけ。殘った分は自分のものにしてかまわない。使うなり貯めておくなり好きにしろ。」
「…こんなにいただいていいのですか?」
「あぁ、文句をいわずに従う姿勢を見せたから、サービスだ。これは仲間だと思ってるからでもあるのだから、俺の信頼を裏切るなよ?宿近辺と市場以外は絶対に行くな。わかったか?」
「「「はい。」」」
自然と返事を合わせられるようになったみたいだな。
いい傾向だ。
鍵はアリアしか持っていないから、3人でどう行するかを話し合い始めたみたいだから、俺は先に出ることにした。
し裏通りを進んだところで目的地に著いた。
あらためて見ても不気味な建だな。
「お久しぶりでございます。リキ様。」
こいつはいつも外にいるな。それよりなんで俺の名前を知ってるんだ?
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「おい、奴隷商。なんで俺の名前を知っている?」
「以前、リキ様の奴隷がお呼びしておりました。私の勘がリキ様はお得意様となっていただける方だと告げていたので、覚えさせていただいた次第でございます。」
だから笑顔が怖いわ!
こんな不気味なやつに名前を覚えられるとは不覚だわ…。
でもそれだけで覚えることができる奴隷商が凄いのかもな。
「一度耳にしただけで覚えられるのは凄いな。」
「ありがとうございます。それで、今日も奴隷をお買い求めで?」
謙遜しねぇんだな。
「いや、今日は憩いの場を利用したいのだが、利用條件とかあるのか?」
最近は雑念クリアナが常にまとわりついていたから、限界だった。
特に夜はヤバかったな。もしかしたらこの前イーラには息子が元気過ぎるのがバレていたかもしれない。
この後はセリナとの約束を果たすのに頭を使わなきゃならないから、早く雑念を払うに越したことはない。
しょうがないじゃないか。だって思春期だもの。
我慢の限界なせいか、俺のキャラが崩壊し始めている気がする。
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早く済ませなければ。
だからといって奴隷に手を出すつもりはないし、そもそも年齢的に対象外だ。
こっちにはほとんど知り合いなんかいないし、ナンパなんかして目立ったりしたくない。
だから店を利用するのが一番安全で手っ取り早いという判斷だ。
だけど、俺は日本では未年だから、店なんか利用したことがない。
だからルールを知らん。
まぁ日本の風俗を知ってたって、こっちが同じとは限らないから関係ないか。
「當店は人年齢である15歳以上の方であればどなたでもご利用いただけます。お店のスタッフが嫌がらない行為であればなんでもありとなっております。もちろん通常行為を嫌がるスタッフはおりませんので、もしそういったスタッフがいた場合は私めにお申し付けください。粛清いたします。」
この世界では15歳で人扱いになるわけか。
だから俺は人として見られていたわけね。
まぁでも今日に限っては都合がいい。
「ちなみに指名はできるのか?」
「もちろんでございます。それではご案いたします。」
案されたのは1階部分にある付だった。
「いらっしゃいませ。」
付の男が聲をかけてきた。
細でわりと整った顔をしているが、目つきが悪い。笑顔も不気味だ。
黒シャツ黒スーツがやけに似合っている。
「指名希だ。あとは任せる。不備のないよう、細心の注意を払え。」
奴隷商が付の男に指示を出す。
「それではあとの案はこちらでおけいただきたく思います。私は外にいますので、何かあればいつでもお聲かけください。」
「おう。」
憩いの場は完全に部下に任せているのか、奴隷商は怖い笑顔のまま出ていった。
「それでは案を引き継がせていただきます。」
そういって、付の男が細かく説明してくれた。
指名の場合、まずは種族を選択したのち、その種族のスタッフを全員フロアに呼び、人気トップ3の紹介と特技などがあるスタッフの紹介があるらしい。
他にも気になったスタッフの特技や許容範囲の確認もできるそうだ。
とりあえず選んでみるか。
まずは種族からだな。
人族と獣人族とドワーフ族から選べるようだ。
そういやドワーフはまだ見たことないが、確か小さいんだったか?
そういう趣味はないから、無難に人族にしておこう。
お店は初めてだしな。
「人族で頼む。」
「かしこまりました。」
傍に控えていた違う男に聲をかけ、呼びに行かせたようだ。
3分ほどして、10人ほどのがきた。
悪いと思いながら先に鑑定を使った。
やっぱり病を持ってるやつもいるみたいだ。
まぁこの世界にはあれがなさそうだしな。
まぁアリアの魔法で治せるだろうが、いきなり魔法を使うように指示したら怪しまれるだろうから、病持ちは除外だ。
一番綺麗なが病持ちだが…殘念だが除外だ。
年齢は下が15歳、上が32歳か。
けっこう幅広いな。
「現在、人族のスタッフは10名となります。こちらが一番人気のステラです。」
ステラがお辭儀をする。まぁ偽名みたいだが。源氏名というべきか。
一番綺麗だけど病持ちのだ。
やっぱり一番人気なのか。
「こちらが2番人気のマイルです。」
マイルがお辭儀をする。
こいつは可い系だな。年齢も見た目的には2つ下くらいだが、実年齢は1つ上みたいだ。
病も持ってないし、そこまで好みの顔ではないが無難なところだろう。
「こちらが3番人気のブルーナです。許容範囲も広いので、満足度はとても高いと思います。」
ブルーナがお辭儀をする。
庶民的な顔立ちで、特別綺麗ではないが接しやすそうだ。
それに好みのプレイができるんなら、3番人気になるのも頷ける。
俺はノーマルでいいから、関係ないがな。
そもそもこいつも病持ちだから除外してる。
「他にも一部のお客様に大人気なのが、こちらのリリナでごさいます。こちらはヒーリングを覚えているため、事後すぐに自らにヒーリングをかけております。なので何度でも初めての覚を味わうことができます。」
リリナが笑顔でお辭儀をする。
変わってるな。
本人も毎回痛い思いをしなきゃならないってのに、売れるためにやってるとしたら凄いプロだな。
たまにやるぶんには楽しめそうだが、こいつも病持ちだからな。
病は狀態異常だからヒーリングじゃ治らねぇんだな。
「こちらのアルナは當店で最も長く働いているため、高度なテクニックを持っています。なので、満足度は高いと思います。」
アルナがお辭儀をする。
32歳か…歳の割には綺麗だが、俺の倍の年齢はちょっとキツいな。
でもこの人は病は持ってないみたいだ。
長く働いているのに病にかからないってことはもしかしてほとんどやってないとかか?
まぁ年齢的に除外だからどうでもいいか。
「最後になりますこちらのケインは最年になります15歳。そして、昨晩ったばかりの生娘になります。は確認済みです。」
ケインが赤面してお辭儀をする。
…。
知らない男と初めてとかなんか可哀想だな。
見た目もわりと可めだから、普通に生きてりゃ普通のもできただろうに。
まぁここで働くことになった事があるんだろうし、俺が口を出すことじゃないからな。
俺が初めてになるのはなんか悪いから、もっとカッコいいやつに選ばれることを祈っておいてやるか。
あとの4人は特に紹介はないみたいだ。
全員張してるっぽいからまだって間もない娘たちなのだろう。
なのに1人は病を持っているみたいだ。運がないのかもな。
他に1人、わりと好みな綺麗系がいるが、慣れてないならやめた方がいいか?
せっかくだからちゃんとスッキリしたいし、雑念が払えないのは困るからな。
そしたら2番人気のマイルが無難なところだろう。
マイルを見ていたら凄く視線をじ、じた方を見てみると、ケインが俺をガン見していた。
けっこう目力があるな。
「なんだ?」
「っ!?いえ、申し訳ございません。」
「なんかあるならいっていいぞ?」
「え?…えっと、私を指名していただけませんか?」
付の男がケインを睨んだ。
ケインは肩をビクッとさせた。
「ごめんなさい!」
ケインは顔を青くして俯いた。
ここはアピール止なのか。もしかしたらあとで粛清されるのかもな。
「お客様。當店スタッフがご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。」
付の男が近づいてきて頭を下げた。
「いや、べつに構わない。」
付の男に気にしてない旨を伝え、ケインに向き直る。
「お前は初めてなんだろう。だったら俺なんかに捧げるのはもったいない。もっとお得意様や自分の好みの相手に売り込むべきだ。」
「…はい。ありがとうございます。」
何かいいたそうにしたが、付の男に睨まれて、いえなくなったみたいだ。
「マイルを指名したい。」
「かしこまりました。」
付の男に告げると、頭を下げた後に他のスタッフを下がらせた。
マイルが近づいてくる。
「ご指名ありがとうございます。お部屋までご案いたします。」
マイルに連れていかれた部屋はシンプルで綺麗な部屋だった。
ベッドとシャワー室しかない。
だがベッドはデカい。俺が4人くらい寢れそうだ。
「先にシャワーを浴びますか?それともこのままがご希で?」
「シャワーの使用は1回のみとか決まりがあるのか?」
「ございません。お客様によっては事前に洗ってしまっては意味がないとおっしゃる方もいらっしゃいますので、確認でございます。」
俺はそんな変態ではないがな。
まぁべつに絶対シャワーを浴びてからっていう潔癖でもないけど、俺はちょっと汚れてるから、るべきだろう。
「じゃあ今と事後で2回浴びたい。ちなみに時間制限とかあるのか?」
「とくにございません。互いの力が続く限りであれば何度でも大丈夫です。」
ほう。それは楽しみだ。
いや〜。さすがはプロだな。
雑念が綺麗さっぱり吹き飛んだわ。
これが賢者モードってやつかね。
マイルは俺と歳が近かったから力があったみたいで最後までつきあってくれてよかったよ。
むしろ俺が先にを上げたくらいだ。
途中から敬語じゃなくなったから、お店だということを忘れそうになったわ。
中に出すのは金額が跳ね上がるからやめた方がいいといわれたから外に出していたが、3回終えたあたりで「後ろなら中でも大丈夫だから、初めてあげてもいいよ。」とかいわれた。
俺はそっちの趣味はないから斷ったけど、けっこう親しくなれた気がした。
の付き合いって重要だよな。
違うか。
ってかむこうは仕事だもんな。
何回したかはぶっちゃけ覚えてないが、腕時計を見ると16時か。何時にったか覚えてねぇけど、そうとう長い間やってたみたいだ。
もう息子がピクリともしないからな。
まるでのようだ。
最後に一緒にシャワーを浴びて、付まで見送られた。
付で銀貨50枚を払う。
これで銀貨50枚なら満足だな。
まぁ頻繁に來るやつにとってはけっこう高いかもだけど、俺は今のところもう來るつもりがないからな。
「「「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」」」
マイルと付の男とその傍に控えていた男が聲を揃えて深くお辭儀してきた。
頭を上げた際にマイルがウインクをしてきたから、片手を上げて外に出る。
「お勤めご苦労様です。」
お前の店は刑務所か!
まぁ突っ込む気はないがな。
「當店はいかがでしたか?」
「お店は初めてだったが、大満足だったよ。もう利用することはないかもしれないが、不満があったわけじゃない。むしろマイルは凄くよかったぞ。」
俺が利用しなくなったのがマイルのせいとかなったら悪いしな。
念をおしておいた。
「お褒めの言葉ありがとうございます。きっとスタッフもお喜びになるでしょう。」
「今日はこれで帰るが、また近いうちに奴隷を買いに來るかもしれないから、そんときは頼む。」
「かしこまりました。心よりお待ちしております。」
今度來た時に俺の奴隷たちの前で憩いの場を利用した話をするなよって意味を込めたつもりだが、通じただろうか?
こいつはその辺は大丈夫な気がする。
奴隷商は人間としての信用はないが、商売に悪影響が出ることはしないだろうって信用はあるからな。
時間もちょうどいいし、酒場に行って報収集でもしてから帰るかな。
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