《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》32話

何軒か酒屋を回って、冒険者らしきやつらに混ざって報収集をした。

賢者モードになってるおかげか、冒険者の馴れ馴れしさにイラつくこともなく、かなり報を聞き出せた。

付き合いでけっこう飲むことになったが、仕方がない。

でもまだ頭は回っている。

以前、コップ3杯で潰れたのは調子が悪かったのか?

強そうな冒険者はんな國を回ってるやつらが多かった。

たまたま地図を予備まで用意してるパーティーがいたから、1つ銀貨5枚で譲ってもらえた。

ケモーナだけだと変に足がつくかもしれないから、他の國も買ってある。

カテヒムロとクルムナか…聞いたこともないな。

あとは名前のない島の地図も買った。ここはもともとは無人島で、そこにダンジョンが3つほどできたらしい。

人がいないからダンジョンで生まれた魔が外まで出てきて溢れかえっているらしく、さらに人が近づけなくなったとか。

レベルが高くなって上がりづらくなったSランク冒険者の狩場としてたまに使われているらしい。

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その地図を持ってたってことはあいつらもSランクだったのか?

顔はあんま覚えてねぇけど、気のいいやつらだったな。

十分報を得たから宿屋に帰るとしよう。

「悪い。思った以上に遅くなった。」

気づいたら22時だ。

イーラは既に寢ているようだ。

作戦の最後の詰め作業をしようと思ったが、寢ているのを起こすのは悪いな。

ん?そもそもイーラは參加しなくてもいいんじゃねぇか?前回も空気だったし。

「「おかえりなさい。」」

アリアもけっこう眠そうだな。

「作戦の細かい話をしようと思ったんだが、明日にした方がいいか?」

セリナは大丈夫そうだったから、アリアに確認を取る。

「…大丈夫です。」

本人が大丈夫っていうなら大丈夫か。

「そしたら俺にヒーリングを頼む。」

『フェルトリカバリー』

ん?俺はヒーリングをかけてくれっていったんだが、寢ぼけてるのか?

でも酔いが抜けたっぽいな。俺がしてほしいことを察して魔法を選んだってことか?どんどん凄くなってくな。

まぁこれなら普通に話し合いができそうだ。

俺がテーブルにつくと、正面にアリア。その隣にセリナが座った。

「まずは城の間取りを知りたいから、今日買った紙とペンで書いてくれ。だいたいでかまわない。」

「書いておきました。こちらです。」

數枚の紙を渡された。

階數ごとに紙を分けているようだ。けっこう細かく書いてある。

模様もいっぱい書いてあるが、もしかして説明文か?

「いわれる前にやってくれるのはありがたい。図面も見やすい。だが、俺は字が読めないんだ。口頭で説明してくれるか?」

「ごめんなさい。」

べつにセリナが謝ることじゃないんだけどな。

その後はセリナが覚えている限りの城報を説明された。

最初に聞いたときは自信なさげに見えたが、けっこう覚えているじゃねぇか。

でも、図面を見る限りではこれで城の半分程度らしい。

どんだけ広いんだよ。

わからない場所には近寄らない方が良さそうだな。

第一目標の男の場所までのルートは決まった。

第二目標の姉と第三目標の父親のルートも一応決めてある。

この順番はセリナからの話を聞いて、俺が決めた。

もちろんセリナに承諾させている。

全員殺すことになってるから、順番は関係ないっていい聞かせてな。

セリナの話をまとめると、男は第一王よりセリナの方が好みだったらしい。

そのを抑えきれずに襲おうとしていたところを侍に見られ、その場は助かったらしい。

その後、男が侍に口止めをしてるところを第一王に見られ、セリナに魅了の魔法をかけられて危ないところだったと噓をつき、侍は話を合わせることしかできなかったらしい。

それを聞いた王は父親である王に話をし、王が裁かないのであれば私が殺すといわれ、渋々死刑にすることとなったのだが、姉に誑かされて奴隷落ちに変わったらしい。

ちなみに奴隷落ちが決定した日に侍が懺悔し泣きながら謝罪をしてきたため、セリナは自分がなんでこんなことになったのかを知ったらしい。

真実を知ってる侍はいろいろな理由をつけられてクビになったらしく、その後の消息は知らないとのことだ。

まぁたぶん殺されてんだろうな。

おっと、思考がそれてしまった。

今は暗殺作戦を考えなければ。

城までの行き方も冒険者から買った地図を見ながらアリアと相談して決めた。

アラフミナの首都からケモーナの首都まではここからこの前ムカデのいたダンジョンまでの30倍くらいか?

目測だから自信はねえけど、直線距離で600キロくらいだろ。

アリアと決めたコースはほぼ直線だけど、もちろん回り道をしてる部分もある。

だからイーラが時速120キロでノンストップで走るとしたら、5時間ちょっとってところか。

國境付近は歩くことになるが、それを含めても1日で著く距離だろうからケモーナに行くことについても問題はない。

ただ1つ不安があるとすれば、セリナの報にあったケモーナ王國最強の戦士の話だろう。

城に常駐しているらしい。

王國最強っていわれるくらいだから、対峙した時點で負け確定だろう。

捕まるのか殺されるのかはわからないが。

それが組に向かうか俺たちに來るかで作戦の否が変わるからな。

戦士は大剣を使うらしいから、イーラならダメージをけないだろう。

だから、アリアには遠くにいてもらうしかない。

イーラがその戦士と対峙した瞬間に一般人になりすましてもらわなければ、そういった強いやつにはバレそうな気がしてならないからな。

俺らはイーラが戦士と対峙するまでは下手な行をとらない方がいい気がする。

戦士がどこにいるのか、セリナにはわからないらしいからな。

王城にいる一般兵の詰所とは別に部屋を割り與えられているらしいがセリナは知らないとのことだ。

「それじゃああらためて説明する。まずはアリアが全員に『ノイズ』をかけろ。そしてイーラには王城の門の前でムカデになって門を破壊してもらう。そこまでしたらその場待機だ。アリアはイーラにできる限りのステータスアップをしたのち、魔法が屆くギリギリまで離れて隠れていろ。念のためオーバーコートはかけといてやれ。ここまではいいか?」

「…はい。」

「イーラには王國最強の戦士っぽいやつが現れたらムカデの聲でばせる。それを聞いたら俺とセリナは城に侵だ。経路はさっき話した通りだが、現場の狀況で変える。だから絶対に俺から離れるな。いいか?」

「はい。」

「イーラには無理だと判斷した時點でもう一度ばせる。そしたら俺とセリナは撤退する。アリアはルモンドなんちゃらを使って、イーラを隔離しろ。イーラには溶けるように見せかけて石ころに変させる。俺らは王城から出したら城に火をつける。戦士がその場を離れたら即座にイーラを逃げさせろ。」

「「はい。」」

まぁこんなもんだろ。

いや、そういやまだルモンドなんちゃらは使ったことがないのに作戦に投していいのか?鑑定で隔離ってなってたからいけるって思っていたが、実際に見てみた方がいいだろう。

「アリア。念のため、ルモンドなんちゃらでアリアとセリナを俺から隔離してみてくれ。」

『ルモンドアヌウドゥ』

薄いのようなものが2人を包んだ。

試してみて良かったかもな。こんな薄いじゃすぐ壊されるだろう。

でもものは試しか。

鉄屑と呼ばれたガントレットを嵌めて、まで近づき、力の限りに毆る。

「はぁ?」

れられなかった。

にはれていると思うのだが、なんのもなく、それより先に拳が進まない。

え?気持ち悪っ!

でもこれなら大丈夫そうだ。

アリアのMPを見てみると結構な速度で消費している。

アリアは同じ冒険者で俺よりレベルが低いはずなのになぜかMP量はこのパーティーで一番多い。それなのにこの消費速度はなかなかのもんだな。

まぁこれだけ完全な隔離ができてこの程度なら使えると思うべきか。

「もういい。」

アリアが魔法を解いた。

作戦の変更は必要なさそうだ。

あとは明日武屋に行って、日程を決めて決行ってところか。

嫌な予がビンビンなんだけど、気のせいだろうと思うしかない。

どうせいつかは約束は守らなければならないからな。

ならば第一王と目標の男が結婚する前の方がいい。

まぁこれは俺の勘だがな。

早ければ明日の夜に決行なんだ。

だから今日は寢ておかなければな。

作戦會議の終了を告げ、それぞれのベッドで寢ることにした。

久しぶりにぐっすり眠れそうだ。

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