《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》34話
「ぐえっ。」
気持ちよく眠っていたところ、何かに潰されて変な聲が出た。
どうやらイーラが急ブレーキをかけて、無防備な狀態でイーラとアリアに挾まれたみたいだ。
軽量の加護のおかげかそこまで苦しくはなかったが、無防備だったから地味にきた。
でもイーラに固定してた手足は千切れるかと思ったわ。
軽量の加護があっても引っ張られるのは痛いみたいだ。
「オイコライーラ!なに急ブレーキかけてんだ?痛ぇじゃねぇか!」
「…ガウ。」
何かいいたいようだが、犬型だと言葉が発せないんだったな。
「ごめんなさい。私が止めました。」
後ろからセリナが謝罪をしてきた。
どういうことだ?トイレか?
「腹でも痛くなったのか?それならしょうがねぇからその辺で済ましてこい。」
止まったところは森の中だからいくらでも隠れるところはあるだろう。
森の中!?ルートには森なんてれてないはずだが…ルート通りで木々が生い茂ってるっていったら、ああ、ダンジョン裏の森か!
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ダンジョンの正面を通ると冒険者がいる可能が高いから、しだけ森にることになってしまうが裏を通ることにしたんだったな。
「違います!これ以上近づくとたぶん監視に気づかれます。なので、イーラを短剣にするならここでした方がいいと思います。」
これ以上って、まだ街まで徒歩で40分はかかる距離だぞ?
この先に監視魔法的なものでもあるのか?
でも俺の観察眼は反応してないぞ?
「どういうことだ?」
「えっと…。」
「…獣人族は五が鋭いです。たぶんこれ以上近づくと見張りに見られるもしくは匂いを察知される可能があるといいたいのだと思います。」
黙ったセリナの代わりにアリアが理由を述べた。
マジかよ…まだ2、3キロも離れてるのに気づけるってどんだけだよ。
でも森を抜けたら草原だ。
昔テレビで見たなんとか族の人たちみたいに目が良ければありえない話ではないのか?
「わかった。ここからは歩くとしよう。ただ、もう暗いから魔に注意しろ。」
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「「はい。」」
イーラを短剣に変させ、歩いて森を抜けた。
運が良かったのか、魔には出會うことがなかった。
「やはりこちらを見ている見張りがいるみたいです。」
森から出て、俺には町の明かりが遠くに見えたくらいにしか思えなかったが、セリナがそんなことをいっていた。
「は?見えるのか?」
「はい。私も獣人族ですので。」
それは答えになってるのか?
もしかして獣人族は全員が目がいいのか?
いや、そんなことはないはず。
そうだとしたら、國境のとこにいた兵士にイーラの変を見られてた可能があるからな。見られてないと信じたいから、きっと見張りやセリナの目がいいだけと思っておこう。
街に近づいているのが見えているからか、40分ちかく歩くのはそこまで苦ではなかった。
ケモーナもアラフミナと同じく、町にるのに分証の提示もしくは紋様を見せるだけでることができるみたいだ。
「…リキ様。間に合いました。」
町にってから、まずは襲撃予定場所の近辺を調べようと思った時にアリアから聲をかけられた。
「ん?何がだ?」
「…消臭の加護の複製付與です。」
すっかり忘れてた。
そういや防を買ったら頼むつもりだったが、防を買わなかったから頼むのを忘れてたわ。
それをアリアはやっててくれたのか。さすがだな。
「あれ?でも3日かかるとかいってなかったか?まだ2日くらいしか経ってないぞ?」
「…頑張りました。」
頑張ってどうにかできるもんなのか?
付與の覚がわかんねぇからなんともいえないがな。
「さすがはアリアだ偉いぞ。」
珍しく褒めてオーラをアリアが出している気がしたから、頭をでてやった。表には出さないが嬉しそうだ。
「…ありがとうございます。転移付與ならすぐにできますが、どの裝備にしますか?」
防はないからな。
普段持ち歩いている避けの短剣にしておけば常に消臭されるだろう。
でも町にるときは消臭の加護はついてなかったのだから、念のため別のにつけておくか。
というか侵する際の服を買っていないから、これから買って、それにつけよう。
「これから侵時に著る服を買いに行く。それにつけてくれ。」
「…はい。」
予定を変更して服屋を探そうと思ったが、場所がよくわかんねぇ。
「…城のり口付近なら服屋があると思います。でも、夜遅いのでお店が閉まっているかもしれません。」
そういやこの世界は店が閉まるのが早い。
ケモーナにも市場があったとしても、もう閉まってるだろう。
もしアラフミナと同じようなじであれば、城のり口付近は高級店があるはずだ。そこならまだ店がやっている可能もなくはないだろう。
「し急いで城付近に向かうぞ。」
「「はい。」」
到著すると、アラフミナと同じような商店街みたいなのがあった。
さすがにアラフミナと違って城門から外壁の門までってわけではないみたいだ。
時間のせいか閉まってる店もけっこうあるが、服屋は運良くやっていた。
侵するのに良さげな服がないかと、店をする。
ピンとくるのがないからローブでいいか。
セリナには持ってるローブを著せればいいから、俺の分だけでいいや。
俺のサイズにあった黒いフード付きのローブを選んでカウンターに持っていく。
カウンターの橫にはハンカチより2回りくらい大きい布が売っていた。
マスク代わりに使えそうだから、柄のっていないのを2つ買った。黒とグレーだ。
総額銀貨26枚…高いわ。
加護も付いてないローブとただのデカいハンカチ2枚でこの値段は高いだろ。
ぶっちゃけどっちも買ったことないから基準がわからんが、高い気がしてならない。
高級店だったのかもな。
その後はそのまま城付近の下見をした。
主にアリアの待機場所と俺とセリナが侵する場所だ。
何もせずに近づきすぎると怪しまれるから、門から近いお店を何店舗か見てるフリをしながら確認していく。
アリアの待機場所としてちょうどいいところがなかなかない。
よくよく考えたら、8歳のの子が夜に1人でいておかしくない場所なんてなくないか?
考えが甘かったわ…。
なかば諦めていたところ、ちょうどいいところに宿があった。
このけっこう高そうな店が並ぶ中の宿だから、宿泊費が高そうではあるな。
でも背に腹は変えられねぇか。
「今日はここの宿に泊まる。アリアは宿で待機だ。いいか?」
「…はい。」
先にチェックインを済ませたところ、3人で銀貨60枚だった。
予想以上に高い…。
「アリアにはこのままここで待機しながらイーラの補助だ。イーラが変したら作戦決行だと思ってくれ。」
「…はい。」
「とりあえずこのローブに消臭の加護をつけてくれ。」
「…はい。」
アリアにローブを渡すと、それを一度羽織ったあと、またいで返してきた。
「…終わりました。」
え?早っ!?
その後、セリナのジャケットも著て、返していた。
道中に複製付與を発し続けるためにセリナのジャケットの加護だけ借りてたみたいだな。
それで自分の裝備のどれかに複製させて、俺に移転させたのか。
よくそんな方法を思いつくな。
「ありがとよ。そしたら留守番よろしく。」
「…はい。」
『ノイズ』
宿を出ようとしたときにアリアが全員に『ノイズ』をかけた。
また忘れていた。
前もって作戦を伝えておいて良かったな。
アリアは宿に待機させ、俺らは城の裏側を調べに行くことにした。
裏側は住宅地なのだろうか?
まだ腕時計で22時を過ぎたくらいなのに靜かだ。
ちらほら明かりがついている家もあるが、人の気配がない。
まぁ都合がいいがな。
裏側はどこも高い壁になっている。登ることは難しそうか?
もしくは他の建の屋から飛び移るのもありかもな。
この世界でなら、本気を出せば案外いける。
俺がセリナを投げて先に行かせて、鞭をロープ代わりにして引き上げるってのでも良さそうだ。
セリナも軽量の加護を持ってるから、俺くらいなら持ち上げられるだろう。
あとは消臭の加護を付けたローブを俺が著て、炎耐のローブをセリナが著ればいつでも決行できるな。
…ん?そういえばセリナって常に消音の短剣をにつけてるはずなのに、なんで會話ができるんだ?
今さらだが、もしかして不良品か?でも加護が付與されてるのは確認してるから、効果は出てるはずなんだがな。
「セリナ。なんで消音の加護が付與されてるのに會話がり立つんだ?」
「…気にしていませんでした。でも足音や攻撃時に発する音は消えています。」
言葉だけ例外なのか?
軽くセリナの肩を叩くが、こちらから接しても音は消えるようだ。
アイテムボックスからローブを取り出して羽織らせて、バサバサしてみる。
これも消えてるな。
口元に耳を近づけると呼吸音はしないな。というかこいつ息を止めやがった。確認にならねぇだろ。
「呼吸をしろ。」
「…はい。」
うん、呼吸音もする。口と鼻だけ例外なのか、接時の音のみ消すかのどちらかだろう。
それだけわかればぶっちゃけどっちでもいいか。
そろそろ決行するか。
「セリナ。今、俺たちは監視されてるか?」
セリナは耳と鼻をピクピクさせた後、周りをキョロキョロと確認した。
「大丈夫です。」
俺はさっき買ったローブと黒のデカいハンカチを裝著して、フードを被る。
セリナにもグレーのデカいハンカチを渡して、同じ格好をさせる。
「ここから短剣のイーラを反対側の正面門まで投擲できるか?」
「できます。」
けっこう距離はあるが、投擲の加護があるから大丈夫だろう。
「イーラは正面門を通り過ぎたらムカデになれ。そしたら重さで落下する。お前なら理ダメージはけないだろ?そのまま門を壊したら、強いやつが出てくるまで待機しろ。あとは作戦通りに頼む。無理はするな。」
短剣狀態だから返事はないが、了承の意がなぜか伝わってきた。
セリナに短剣のイーラを渡す。
「やれ。」
「はい。」
ここからは壁があって正面門なんて全く見えない。
だが、セリナは覚でわかっているのか、裏道にっていき、壁から距離を取ったところで、助走してイーラを投げた。
壁よりし上辺りを通過したが、その先どう飛んでったかは俺らの場所からは見えない。
しばらくして、ズドンという音がしたと思ったら、し地面が揺れた気がした。
「イーラがムカデになりました。」
見えてなくてもわかるのか。
耳か鼻もいいのかもな。
「イーラのび聲も聞いておけ。俺は聞き逃す可能がある。」
そもそも距離があるから、俺じゃあ聞こえない可能もあるからな。
「かしこまりました。」
聲を潛めてイーラの合図を待つ。
暇だからセリナを見てみると、どうやら張しているようだ。
そりゃそうだろ。
俺も張してきた。
だが、もう後には引けない。
これがセリナの復讐の最初で最後のチャンスだからな。
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