《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》38話
ケモーナの宿屋で一晩過ごしたあと、早朝にアラフミナに戻ることにした。
王城でひと騒あったからか、町から出るときの分証チェックはカードを見せるだけではなく、水晶でカードのチェックをされた。
奴隷たちは奴隷紋をじっくり確認されたのち、ステータスチェックまでされた。
るときより出るときの方が厳重なんだなと思っていたら、門番が昨日の騒ぎのせいだということを話してきた。
つまり俺らのせいだ。
巨大な魔が暴れた話は出たが、王城でのことはいっさい話に上がらなかった。
こいつが知らないのか、知ったうえで隠してるのかはわからねぇ。
まぁ俺らが知ってたらおかしなことだから、変にカマかけなんかされなくて良かったがな。
外壁の外に出てから近場のダンジョンまでは歩き、そこからイーラで國境付近まで向かう。
途中で見たことあるマークを付けた鎧を著て馬で駆けてるやつを見かけた。
…そうだ。俺が燃やした旗と同じだ。もしかしたら國境に事件のことを知らせに行っているのかもしれない。
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國境を封鎖なんてされたら面倒だから、早くケモーナから出なければな。
國境近くでイーラを短剣にしてから國境まで歩くと、昨日と同じようにステータスチェックだけで通された。
ケモーナ側の兵士2人はとくに話しかけてくることもなかった。
すんなり通してくれたから、俺としてはありがたいがな。
アラフミナ側に出ると、昨日の兵士2人がいた。
そういやここは駐在所みたいになってんだから人が同じでも不思議じゃねぇんだな。
「もうお帰りになるのですか?」
昨日の人族の兵士が話しかけてきた。
覚えられていたのか。面倒だな。
確かにケモーナにってからまだ14、5時間しか経っていないから、何しにわざわざ國境を越えたんだよって話だな。
「最初の村に著いたときに忘れを思い出してしまって、急遽戻ってきました。ケモーナの旅はまた今度にしたいと思います。」
「そうですか。それは殘念ですね。それではお気をつけて。」
「ありがとうございます。」
なんとか噓が通じて良かった。とホッとした瞬間だった。
「セリナアイル様」
セリナは肩をビクッと跳ねさせ、俺は勢いよく聲の方に顔を向けてしまった。
聲の主は昨日の獣人族の兵士だった。
「やはりセリナアイル様だったのですね。」
バレてしまった…。
…殺すしかないか?
腰の短剣に手をばそうとしたとき、獣人族の兵士は片膝をつき、頭を下げた。
セリナが奴隷市場で見せた姿勢と同じだ。
「私の力では何も変えることができず、大変申し訳ございませんでした。セリナアイル様がもう処刑されたと伺ったときは後を追うつもりでしたが、死ぬことすら許されず、のうのうと生きている自分が恥ずかしい限りです。ですが、生きていることがわかり、恩返しする方法まで明確となったことが幸せでなりません。」
獣人族の兵士が剣を抜いた。
「今、自由にして差し上げます。」
なるほど。
主である俺を殺して、奴隷であるセリナを強制的に解放しようというわけか。
人族の兵士は何が何やらわからずにオロオロしている。
相手がやる気なのに俺が何もせずに殺されるなんて馬鹿なことはしない。
ばしかけていた手を腰の短剣からトンファーに切り替えた。
トンファーを摑み、裝備を終えたところで、セリナが間にってきた。
「クリューゲルが思っているセリナアイルというの子はもういないよ。私はリキ様の奴隷のセリナ。ただのセリナ。つまりクリューゲルの勘違い。だからもうワガママ娘のお守りなんか忘れて、クリューゲルは自由に生きていいんだよ。」
こいつは昔のセリナの世話係とかみたいだな。
というか今の口ぶりからして、セリナは最初にこいつに會ったときには既に知り合いだとわかっていたっぽいな。
まぁセリナが自分で解決させるつもりなら、俺が手を出すべきではないな。
俺には戦うくらいしかこの場での選択肢は取れないしな。
「ですが…。」
「私は確かに奴隷になった。最初は死ぬよりも辛いって思ってた。だけど、リキ様に會って、いろいろあった。昨日はちゃんとお話もした。それで思ったんだ。あの家にいたときよりも、もしかしたら今の方が幸せなんじゃないかって。だから、クリューゲルが悔やむことじゃない。」
クリューゲルといわれてる兵士がを固く結んで一筋の涙を零した。
「父と姉はたぶん一生許せないけど、リキ様にめぐり合わせてくれたことは謝してる。クリューゲルも今までありがとう。だからクリューゲルも新しい人生を歩んでね。そして、今度會ったときには幸せな姿を見せてね。」
「ありがたき幸せ。」
「さっきもいったけど、私はただのセリナなんだから、そんな堅苦しい言葉遣いじゃおかしいよ。次からは気をつけてね。バイバイ。」
セリナは手を振った後、俺を引っ張って歩いていく。
獣人族の兵士は今度は膝をつかずに頭を下げていた。
アリアとイーラも俺らの後をついてくる。
セリナは笑いながら泣いていた。
そんなセリナの頭をでた。
「ちゃんと味方がいて、良かったな。」
「うん。」
セリナは涙を拭って、照れたように笑った。
やっぱりセリナはこっちの方が似合ってる。
観察眼が違和を訴えなくなったしな。
國境も越えたし、もう難関はないだろう。
國境が見えなくなったあたりで俺らはイーラに乗り、王城のある町を目指した。
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