《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》41話
…今こいつ、なんていった?
俺が勇者?バカじゃねぇの?
「寢言は寢ていえ。」
「ちゃんと拠はあるのです。」
「は?いってみろ。」
「それでは順序立てて説明いたします。」
このの話によると。勇者召喚は國に選ばれた凄腕の召喚師が行うらしい。
今回の召喚師は天才といわれるやつだった。
そいつが召喚しようとしたときにいきなり後頭部から出があり、召喚は中途半端に終わってしまった。
不運なことにその場には回復魔法を使えるものがいなく、天才召喚師は死んだらしい。
仕方がなく、天才召喚師と一緒に來ていた弟子が召喚したのが今の勇者ということだ。
ここで重要なのは『召喚師は召喚したものが負っている傷を代わりに負う』ということ。そして、『天才召喚師が後頭部に傷を負ったということは召喚自はされている』ということだ。
魔法陣上に異世界人が召喚される前に天才召喚師が息絶えたため、失敗したと思われているが、このは絶対どこかにいると信じていたんだとよ。
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それを俺だと決めつけるとかいい迷だ。
というか召喚師が傷を肩代わりするってのは常識みたいないい方してたのに、なんで回復魔法を使えるやつを用意しておかなかったんだ?
どいつもこいつも馬鹿なのか?
…ってか今の話に俺が勇者だという拠があったか?
「それのどこが拠なんだ?」
「ここは知っておいてほしい報であって、拠はこれからです。」
まぁその召喚師によって召喚されたのが俺っていう可能は高そうだな。
なんせ後頭部の怪我がなくなってこの世界にきたからな。
「もうし話が回り道してしまいますがご了承を。」
「いいから早く話せ。俺は暇じゃないんだ。」
「申し訳ございません。それでは、私には贔屓にしている付與師の方がいるのですが、その方が娘をとある冒険者二人組に助けてもらったと話してきたのです。」
思い當たるのはクリアナしかいねぇな。
せっかく忘れたんだから思い出させるなよ。
「その冒険者はたった2人で娘を助けるついでにミノタウルス退治までしてきたそうです。」
話がちょっとおかしくなってるぞ?
娘を助けるために戦わなければならなくて仕方なくだぞ?
もしかして俺らのことじゃないのか?
「付與師に名前を聞いたら、ミノタウルスと戦ったのはリキ様とアリアちゃんとのこと。しかも実際に戦ったのはリキ様1人で、打撃耐を持つミノタウルスをガントレットで毆り倒したとまでいっていました。」
やっぱり俺らのことかよ…。
だとしたら話が盛られすぎだ。
ガントレットじゃ歯が立たないから短剣で戦ったわ!
「それほどまでの冒険者なのに、聞いたこともない名前だったので、調べました。幸運なことに拠點にしているのがこの町と聞いたので、報を得るのは難しくありませんでした。しかし、4日前から探せども探せども、本人に會うことができませんでした。なので。」
が右手の甲を見せてきた。
なんだ?と思ったら見覚えのある指を付けていた。
パッと見はどこにでもある指だが、あれはこの前の縁結びの指だと観察眼が告げている気がする。
俺の反応を見て、がニコッと笑う。
「やはりあなた様が見つけてくださったのですね。あなた様の行きつけの店に落としてきた甲斐がありました。」
やっぱりあの指にはるべきではなかった。
あのときの危険予測に気づくのが遅れたことが悔やまれる。
「ん?どこに拠があったんだ?」
「申し訳ございません。會えた嬉しさで説明を飛ばしてしまいました。」
飛んでんのは頭だけにしてくれ。
いわねぇけどさ。
「リキ様について調べたところ、どう調べても、とある日より前の報がないのです。正確にはこの町の冒険者ギルドに登録をする數時間前からしか目撃報がないのです。」
「そして、その時間と召喚師が死んだ時間がほとんど同じなのです。」
そこまで調べられてんのかよ。
どう誤魔化すか…。
「リキ様は冒険者登録をする前日はどちらにいましたか?」
「他の國にいた。」
はじっと俺を見てくる。
「ではその國の分証はお持ちですか?」
「もちろん持ってるが?」
「見せていただいても?」
「嫌に決まってんだろ。」
「…噓はついていないようですね。」
これならこいつの噓が見抜けるスキルを誤魔化せるのか。
まぁ噓はついてないからな。
召喚前は日本にいたし、國民健康保険証も持ってるからな。
「これで勘違いは解けただろ。じゃあな。」
「お待ちください!まだ!…いえ、今は人違いだとしておきます。だから、1つだけ依頼をけてはいただけませんか?」
「は?普通に嫌だけど?なんで見ず知らずのやつの依頼なんてけると思ってんだ?」
こいつは自分の意見が何でも通るとでも思ってんのか?
もしかして貴族に逆らったら死刑とかいう法律でもあるのか?
だとしたら、容によってはけちまった方が面倒はないかもな。
「これは申し訳ございません。名乗るのが遅れてしまいました。」
あらたまってスカートをちょこんと持ち上げた。
「私はアラフミナ王國第三王、ローウィンス・アラフミナと申します。以後お見知り置きを。」
軽く頭を下げたあと、ニコッと笑った。
王族かよ…厄介なヤツに目をつけられたな。
これは可能な限り関わらない方が吉だ。
依頼もどうにか斷るべきだろう。
「今回は私のワガママなので、リキ様が依頼をけてくださるのであれば、依頼の達報酬とは別に來ていただくだけで金貨5枚を差し上げたいと思っております。」
「とりあえず話だけなら聞いてやる。」
「「…………。」」
アリアとカレンがジト目で俺を見ていた。
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