《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》46話
地下8階、9階と順調に進んでいる。
かなり大量の魔がいたが、全部俺とイーラでなんとかなってしまったから、後ろのセリナは暇そうにしている。
でも耳や鼻をピクピクさせてるから、油斷はしてないようだ。
魔もそんなに強くはなかった。
むしろ魔よりも鎌を振り回してるイーラの方が危ないくらいだ。
イーラは楽しそうに戦闘しているから止めるのも悪い気がしてそのままにしている。
おかげで俺の回避能力は上がった気がするしな。
イーラもちゃんと回避をする努力はしているみたいだ。
まだけっこう攻撃を當てられていたが、ちゃんと回避しようとしたのは見てとれた。
なんだかあまり手応えをじないまま地下9階を一周してしまった。
ちなみに倒した魔はイーラが捕食している。
右手で鎌を振り回して、左手で死骸に網のようなものを投げて摑んで引き寄せてる間に消化されてるようだった。
口で食べなくても捕食できるとは便利なになったな。
いや、もしかしたら今までやってなかっただけで、もともと出來たのかもしれないがな。
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まぁどうでもいいが、イーラが仲間になってからほとんど魔の素材を集められてねぇな。
べつにいいけどさ。
「さて、これから地下10階に下りる。セリナ。準備はいいか?」
「はい。」
地下10階の魔は速いらしいから、セリナに戦闘させるつもりだ。
「予定と違うが、アリアとカレンは俺の橫にいろ。カレンは俺が護るから、アリアはセリナをフォローしろ。イーラは後方からくる敵のみを擔當しろ。當初の予定とは違うが、わかったか?」
「「「はい。」」」
イーラが返事をしなかった。
「イーラ。不満があんのか?」
「もっと戦いたいよ〜。」
戦意があるのはいいが、イーラをセリナと一緒に前衛にすると、セリナがイーラの攻撃で死ぬ可能があるからな。
「なら武を変えろ。イーラの攻撃は仲間を巻き添えにしかねない。俺のときはなんとかするけど、他のやつにもしもがあったらマズいからな。」
イーラが鎌を消して、鞭のようなものを出した。
あれはなんの素材だ?
ゴムでも革でもなく、細かいパーツが重なりあって鞭のようになっている。
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わかりやすくいえばチャリンコのチェーンに近いじか?
「これならい〜い?」
まぁ鞭なら一撃で死ぬこたねぇからいいか。
「魔以外に當てたら後衛に変えるからな。」
「は〜い。」
とりあえずいいか。
「イーラも前衛にして、他は変更なし。後方は俺が気をつける。いいか?」
「「「「はい。」」」」
全員の確認をとり、地下10階に下りた。
地下10階はどうやら蜘蛛のフロアみたいだ。
まだ魔は見てないが、そこら中に蜘蛛の巣がある。
そういや、カレンもそろそろジョブの冒険者は手にれてるんじゃないか?
経験値がもったいないからそれだけはつけさせておくか。
「カレン。SPを使ってジョブ取得を取れ。そしてジョブ取得を発しろ。」
「え?あ、はい。」
「何がある?」
「冒険者がある。」
「じゃあ冒険者を取得したあと、SPでセカンドジョブを取れ。」
「はい。」
あとは俺が設定して完了だ。
俺も久しぶりに何か取るかな。
蜘蛛の巣が邪魔だし炎系の魔法がいいな。
無難にファイヤーボールでも取っておくか。
ファイヤーボールを取ると今度はファイヤーショットが出てきた。
ファイヤーボールがSP1消費だったから次は2消費だろ。
なら取ってみるか。
新しくフレイムレディエイションとかいうのが出たが、とりあえずはもういいや。
「じゃあ行くぞ。」
ファイヤーボールは勇者が使ってたからなんとなくわかるし、ファイヤーショットを使ってみるか。
「ファイヤー…。」
なんだ?直が危険と告げた。
なぜだかわからないから一度止まると、他のやつらも止まった。
今はもう危険を訴えてはいない。
なんだったんだ?
「…リキ様。どうしました?」
「いや、新しく取得したファイヤーショットを使おうとしたら、嫌な予がしてな。」
アリアが俺の右手を見たあと、俺の顔を見た。
「…ファイヤーショットは手のひらから放たれるので、トンファーを握ったまま発したら危ないからだと思います。」
マジか!?
危なく自するところだったのか。
というかアリアはなんで知ってるんだ?
まぁいい。
試しに右手のトンファーを腰に戻し、右手を前に出す。
『ファイヤーショット』
右手のひらから細かい火の玉が広範囲に広がっていった。
MPを調整したら火の玉の個數や1つ1つの大きさと範囲が変えられるっぽいな。
威力が弱いままでも蜘蛛の巣は燃えるようだ。
これならMP消費もたいしたことないし、このフロアに限っては使えそうだな。
『ファイヤーショット』
『ファイヤーショット』
範囲を広げて、視界にる蜘蛛の巣は全て焼き払った。
「じゃあ行くぞ。」
「「「「はい。」」」」
このフロアは魔が溢れかえってはいないのか、しばらく歩いても見かけることすらなかった。
「きます。」
油斷していたら、セリナが注意を呼びかけた。
周りを見ると、観察眼が反応した。
『ファイヤーボール』
MPを消費して威力を上げたら、人の顔くらいのサイズになった。
ちょうど飛びかかってきた蜘蛛が放たれたファイヤーボールにぶつかって燃えながら突っ込んできた。
吹っ飛んだりするわけじゃなくて、ただ火の玉をぶつけるだけなのかよ。
ん?顔がちょっと潰れてるっぽいから、一応理的なダメージもあるんだな。
そんなことを考えていたら、既に目の前まで迫っていた。
咄嗟にトンファーで攻撃しようと思ったら、突っ込んできた蜘蛛をアリアがロッドで吹っ飛ばした。
壁に當たった蜘蛛は嫌な音を立ててかなくなった。
今のは蜘蛛が異常に軽かったんだよな?
十數日前まで死にかけだったアリアがそんなに強くなったわけじゃねぇよな?
いや、強くなることは大歓迎だが、ビックリしたわ。
「やるじゃねぇか。」
「…ありがとうございます。ただ、リキ様が攻撃したら、避けの加護がないカレンさんが魔のまみれになってしまうと思ったので代わりに攻撃しました。余計なことをしてごめんなさい。」
今はガントレットじゃないからそんな簡単に潰せないと思うが、まぁいい。
「積極的なのはいいことだ。俺の命令がない限りは死ななけりゃ好きにしてかまわない。」
「…はい。」
その後もたいした苦労もなく一周してしまった。
確かにこのフロアの蜘蛛はきが速いが弱すぎる。
攻撃手段が飛びついてくるしかないのか、簡単に攻撃を當てられるし、だいたい一撃で死ぬから手応えがない。
カレンはまだ蜘蛛の速度についていけてないようだが、こんなのは目が慣れてしまえばただの雑魚だ。
イーラは魔を倒したらすぐに捕食をしているから、無駄な時間がなく進んでいける。
11階に下りると、また魔が溢れかえっていた。
今度は人間サイズの緑の魔だ。
ほとんどのやつが武を持っていないが、何か棒のようなを持ってるやつがいるな。
ちょっと気になったから解説を使った。
ホブゴブリン…ゴブリンの進化系。
それだけ?
まぁゴブリンシリーズならちょうどいいか。
し減らしてからカレンに戦わせよう。
「イーラ。好きに暴れていいぞ。」
「は〜い。」
武を鞭から2本の剣に変えて、二刀流で暴れ始めた。
ただの剣ではなく、カッターのようにいくつかの刃が合わさってる剣で、接合部を自在にできるようになってるみたいだ。
イーラの武がの一部だからこそ出來る技だな。
いや、ファンタジー世界なんだから探せばそういう武もあるのかもな。
ちょっと減らそうと思ったのに、視界にいるホブゴブリンがあっという間に全滅した。
イーラの武は殺傷力が高すぎだ。
ホブゴブリンは何も出來ずにずっとイーラのターンだったな。
これはゲームじゃないから弱者にゃターンが回ってこなくても仕方がないからな。
しばらく進むとホブゴブリンが5いた。
「イーラ。ガントレットになれ。」
「は〜い!」
走って俺に抱きつき、肩と肩甲骨まで保護されたガントレットになった。
肘より先だけでいいのにと思ったが、イーラのだから繋がってなきゃ保てないんだったな。
なんかこれって合してるみたいだな。
なかなか男心をくすぐるスキルじゃねぇか。
今度は全鎧とかもやってみてえな。
それにガントレットのから見るにこれはムカデの外皮か?
イーラは本當に使えるようになったな。
おっちゃんが作ってくれてるのとどっちが頑丈だろうか。
まぁいいテストにはなるだろ。
走ってホブゴブリンに近づくと、一斉に襲いかかってきた。
でもきが遅いな。
ホブゴブリンが攻撃態勢にる前に1の腹を毆ると弾けた。
…は?
一瞬固まってしまった俺を毆ろうとしたホブゴブリンを避けて、顔面を毆るとまた弾けた。
いやいや、おかしいだろ?
ん?そうでもないのか?
そういや鋼のガントレットを使ってたときも雑魚相手のときはこんなじだった気がしなくもない。
トンファーだとせいぜい一部を潰したり、表面にが空く程度だったからな。
ガントレットで雑魚と戦うのが久しぶりだから、気持ちよく弾け飛んだことにビックリしちまったわ。
殘り3のうち2を倒して下がった。
仲間がやられたのに恐怖することなく、ホブゴブリンが向かってくる。
「カレン。あいつを倒せ。フォローはしてやる。」
「…はい。」
初めてだから張しているようだ。
アリアの初戦闘がこれより強そうなゴブリンソルジャーだったんだから、大丈夫だろう。
それに相手は素手だから、なんかあってもアリアが回復してくれるだろう。
カレンが前に出て、刀を構える。
こんなガキでも著で刀だと様になってるな。
持ち方とか構えとかよくわかんないから教えてないけど、なんとかなるだろ。
ホブゴブリンがカレンを右手で毆る態勢にった。
カレンはその拳を外側に避けながら、変な勢でホブゴブリンの肩を切り落としてすれ違い、振り向きざまに背中を切りつけた。
背骨を切ったようで、ホブゴブリンは上半を維持できなくなり、倒れた。
しばらくピクピクしてかなくなった。
カレンのぎこちなさが半端ないな。
ってかあんな変な勢で力もってないってのに切れ味良すぎだろ。
今の一戦でだいぶ疲れたようで、息切れしてる。
これは何度も経験させて慣れさせるしかないな。
「よくやった、カレン。まだぎこちないが、勝ちは勝ちだ。戦い方なんて、やってりゃ勝手に覚える。だから続けていくぞ。」
「はい。」
一倒して、多なりとも自信がついたのか、やる気が出てきたようだ。
その後も複數いるホブゴブリンは一だけ殘して、カレンに戦わせるというのを繰り返した。
だけど、なんか違うんだよな。
アリアやセリナのときがすぐ出來るようになっちまったから違和があるだけなのかもしれないが、なんか違うんだよな。
何が違うかはハッキリとはわからないが、なんか違うんだよな。
刃はアリアよりセリナかな?
「セリナ。ちょっとカレンの刀で戦ってみろ。」
「にゃ?…はい。」
使っていた短剣を腰にしまい、カレンから紐ごと刀をけ取った。
歩きながら、鞘から刀を抜き差ししたり、紐をプラプラさせて何かを確かめてるようだ。
ちょうどいいところにホブゴブリンが2いた。
「行ってくるね。」
セリナが1人で駆け出していく。
セリナに気づいた2のホブゴブリンが摑みかかろうと両手を上げた。
人一人分も空いていないだろう2の間を無理やり通るときに左のホブゴブリンに居合切りをし、通り過ぎて振り向きざまに右のホブゴブリンの背中を右肩から刀で斜めに斬りおろし、同じ場所を斜めに切り上げて切斷し、左のホブゴブリンの首の右側から左脇腹にかけてを斜めに切斷した。
最後に刀を斜めに振り下ろすが、そもそもが付いてないようだ。
そのまま鞘に刀を収めて、走ってセリナが戻ってきた。
めちゃくちゃ速いな。
これは今のカレンの參考にはならないな。
というかうちの奴隷が強くなりすぎているんだが…。
このままじゃ俺の威厳がなくなる。
走ってきたセリナがニコニコしながら腕に絡みついてきた。
「どう?どう?ちゃんとできてた?」
「まぁまぁだな。このままいろんな刃を使えるようになっとけ。刀はもうカレンに返していいぞ。」
腕に絡みついたセリナを引き離す。
なんだか不満げな顔をされた。
「…はい。」
「期待してるからな。」
「はい!」
ニャハッと笑顔に戻った。
「カレンは參考になったか?」
「…ごめんなさい。速すぎてよくわからなかった。」
「だろうな。あれは獣人族のしなやかさがあってこそってのもあるからな。俺も真似できるかわからん。」
刃はまだ使い慣れてないからな。
「…リキ様ならできます。」
「お、おう。そうだな。」
アリアのこの全幅の信頼はなんなんだ?
俺のことを過大評価しすぎだろ。
まぁそれに応えるのも主の務めなのかもな。
「とりあえずは攻撃をけないようにしながら、その刀に慣れさえすればいい。まだ9日もあるんだからな。」
「9日も…。」
カレンがボソッと呟いた。
今さらながら9日もってのはおかしいな。
戦闘経験ゼロのやつが普通は9日で戦えるようにはならねぇよな。
アリアとセリナが特別だったと思っておいた方が良さそうだ。
「9日で刀までつかえるようになれとはいわない。相手の攻撃を避けれるようにはなれ。いいな?」
「はい。」
「…カレンさんには優しいんですね。」
アリアから予想外の言葉が聞こえて振り向く。
「は?何いってんだ?」
「…ごめんなさい。なんでもないです。」
ガントレットだったイーラが人型になった。
「イーラにももっと優しくしろ〜!」
イーラの顔面を摑んで持ち上げる。
「調子に乗るなよ?」
「ごべんなしゃい。」
イーラはそのまま俺の腕に絡みついてガントレットに戻った。
アリアがまさかそんなことをいってくるとは思いもしなかったな。
確かにアリアの最初の頃の扱いはてきとう過ぎたかもしれないが…。
仲間が増えるとこういうめんどくささがあるのか。
今さら減らすつもりはねぇし、仲間の面倒を一手に引きけてくれる奴隷でも探すかな。
まぁ探すにしてもカレンが戦えるようになってからだがな。
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