《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》50話
泣き疲れたのかカレンは寢てしまった。
途中から俺のシャツに顔を埋めて泣き始めたから、シャツがビショビショだ。
涙だけじゃなくて鼻水までついてんじゃねぇか。
あとでカレンに洗わせよう。
外はもう完全に明るくなっている。
そろそろアリアも起きてる時間だろう。
それにしても途中からは泣いてたから、ほとんど戦闘訓練ができなかったな。
しかも今寢たってことは今日のダンジョン攻略は晝過ぎからになっちまうか。
カレンはアリアやセリナに比べて手間のかかる奴隷だな。
予定がズレまくる。
…あれ?もともとは寢れなかったから疲れて寢かせようって目的だったっけか?
なら予定通りじゃねぇか。
強いて挙げるなら朝の俺の判斷ミスだな。
だが、俺が予定みたいなもんだから、どんな判斷をしようがミスにはならない。
うん、俺は悪くないな。
とりあえずカレンを脇に抱えて宿に戻ることにした。
宿に戻ると3人とも起きていた。
「ただいま。」
「「おかえり〜。」」
「…おかえりなさい。2人でどこに行っていたのですか?」
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質問としては普通なのに、なんか棘があるように聞こえるな。
「朝早くに起きちまったから、ただ戦闘訓練をしてきただけだが?」
アリアは俺に抱えられて寢ているカレンをチラッと見た。
「…戦闘訓練をしたのにカレンさんは怪我をしてないんですね。」
「は?なんなんだ?怪我はポーションで治しただけだぞ。」
最近のアリアはなんかおかしいな。
「…ごめんなさい。」
「なんかあんならいえよ。」
「…カレンさん用に訓練方法を変えたのですか?」
「セリナのときと同じだと思うぞ?」
「…そうですか。」
え?なんなの?アリアの偽か?
いや、そんなバカなことはないだろうけど、今まで従順過ぎたから口ごたえとか含みのあるようないい方をされると違和が半端ない。
でも話は終わったみたいだし、掘り返すのもなんか面倒だから、いいや。そのうち直るだろう。
「今日は晝飯を食ってからダンジョンに向かう。それまでは好きに過ごしていいぞ。ただし、村からは出るなよ。」
「「「はい。」」」
脇に抱えたままだったカレンをベッドに放る。
この世界のベッドはそんなにらかいわけじゃないから地味に痛いと思うが、起きる気配はないようだ。
「…カレンさんのために予定を変更するのですか?」
「は?」
アリアを睨むとアリアは目を逸らした。
さっきからマジでなんだ?反抗期か?
アリアの前まで行ってしゃがもうとしたら、アリアが下がろうとしたから両肩を摑んで目線を合わせる。
「俺は今日の予定の話をいつしたんだ?」
アリアは目を合わせようとはしない。
「…してません。」
「じゃあ変更もなにもないよな?」
「…はい。ごめんなさい。」
最後までこっちを見なかったな。
「さっきからいちいち突っかかってきて、俺が気にくわないのか?」
そっぽを向いていた顔が凄い勢いでこっちを向いた。
「そんなことは絶対にありえません。」
アリアってけっこう目ヂカラあるんだな。
死にかけだった頃の目が懐かしいな。
…おっと、思考がそれちまったな。
「ならいいんだけどよ。じゃあこの話はおしまいだ。3人とも、日が真上に昇るまでは好きにしろ。」
「「「はい。」」」
セリナとイーラは村を探検しようと出て行き、アリアはマジックバックから本を取り出して読み始めた。
俺が邪魔になったからプレゼントしたやつなのにアリアはまだ使っている。
読んでない本をマジックバックにれてあり、読んだ本はアイテムボックスにれているそうだ。
全部アイテムボックスでいいじゃんと思ったが、いうのはなんだか憚られた。
カレンと戦闘訓練をしたからか俺も眠くなってきたし、晝まで寢てるかな。
アリアに日が昇ったら起こすように頼んで、シャツだけ著替えて眠りについた。
起こされた時には全員準備まで終えていた。
俺は防とか著ないし、準備は最短0秒だ。
武類は歩きながらでも準備できるしな。
その後、村の定食屋のようなところで晝食を済ませ、ダンジョンに向かった。
昨日はちゃんと23階に下りてからリスタートを使っているから、23階から始めることにした。
22階から下りてくる23階の階段付近は昨日魔狩りをしてあるから、今はまだ近くには魔がいない。
「今回はカレンは攻撃をしなくていい。その代わり、敵の攻撃は全て避けろ。でけるのはもちろんダメだが、刀でけるのもダメだ。どうしようもない時だけ刀でけ流すことは許す。このルールを破ったのを発見したら、次の戦闘訓練時に俺はトンファーを裝備する。理解できたか?」
カレンはアリアやセリナほど要領が良くないのがわかったから、1つずつ覚えさせることにした。
まずは死なないために避けることからだ。
「…はい。」
まぁいきなりいわれてもできるか不安ではあるだろうな。
「イーラ。1匹魔を連れてこい。もちろん元気な狀態でだ。」
「は〜い。」
しばらくすると、いーらがゆっくり走りながら戻ってきた。
その後ろにはこのフロアの魔がいる。
鉈のようなものを引きずりながら二足歩行で歩いている豚のような魔だ。
顔が豚っぽくて、はたぷんたぷんのデブだ。
ずいぶんきが遅そうな魔だが、練習になるのか?
昨日は階段付近にいたこいつらをイーラがちゃっちゃと片付けちゃったから、強さがわからねぇしな。
まぁいい。
「セリナ。見本を見せてやれ。」
「はい。」
セリナは走って魔のところに行き、イーラとれ替わった。
魔はターゲットをセリナに変えたようで、立ち止まり、鉈を持ち上げた。
セリナは既に構えているが、避ける見本を見せるために攻撃せずに待っている。
豚野郎は鉈を頭の上まで持ってきた瞬間振り下ろしてきた。
意外と速い。
だがセリナは慌てることなく橫に避ける。
豚野郎は異常に力はあるようで、地面スレスレで鉈を止めたと思ったら、バットをフルスイングするように鉈の腹をセリナにぶつけようとしてきた。
見た目はだらしなボディなのに意外とける魔だ。
だが、セリナには大した敵ではないようで、全ての攻撃を軽々と避けている。
カレンはそんなセリナを一生懸命観察しているようだ。
しばらくするともう2の豚野郎が歩いてきて參戦したが、セリナは余裕で避けている。
豚野郎も3で鉈を振り回してるのに鉈同士をぶつけることなく、なかなかなコンビネーションをしているな。
橫ではカレンがブツブツといいながら、変わらず一生懸命観察していた。
もう十分だろ。
「セリナ。もういいぞ。」
「はい。」
セリナは腰から短剣を2本抜き、鉈を避けながら豚野郎3の手を切りつけた。
豚野郎は痛みにびながら鉈を落とした。
セリナはその場でクルッと回って豚野郎の首を切って、そのままこちらに戻ってきた。
セリナが3のから抜けた瞬間、豚野郎の首からが噴き出し、倒れた。
そしてイーラがすかさず回収した。
セリナの敵の倒し方はなんかいつもかっこいいよな。
あの切った後に遅れてが噴き出すやつを俺もやってみたいわ。
今度練習してみるか。
今はそれよりカレンだったな。
「どうだ?見本になったか?」
「うん。頑張るよ!」
戦闘に前向きになってるようで良かった。
「おう。頑張れ。」
それからはカレンの避けの練習をメインとし、俺が見ながら危なそうならフォローし、アリアは念のため俺の橫に控えて、余分な魔はセリナとイーラが倒して回り、最後にマップを埋めるために全員で一周するという流れを30階まで続けた。
30階の魔はやたら腕が長く、短剣を2本使うチンパンジーのような魔で、確かにきは速かった。だけど、29階まで攻略できた冒険者がやられるような魔ではない気がする。
ってことはこの下り階段の先にある空のさらに先にある扉の中にいるフロアボスが相當強いのかもしれない。
ヘタに近づいて戦闘せざるを得なくなるといけないから、下り階段より先にはまだ進んでない。
なぜならもうけっこういい時間だし、カレンが相當疲れているようだからだ。
今日はここまでだろう。
ちなみに目の前の下り階段は結界のようなもので塞がれて降りれなくなっている。
アリア曰く、フロアボスを倒すと結界が外れるそうだ。
「今日はここまでにして帰るぞ。明日は初のフロアボス戦だ。だから今日はちゃんと寢て、明日に備えろ。」
「「「「はい。」」」」
そうして、ダンジョンを後にし、宿に戻った。
今日は8フロアしか攻略してないが、全員疲れているようで、すぐに寢た。
俺も今日は一度変な時間に起きてしまったせいか、けっこう眠い。
だけど、かるくステータスチェックをしておかなければな。
せめて、明日のフロアボス戦に向けて、仲間のスキルくらいは確認しようと奴隷畫面を開いた。
カレンとセリナは何も新しくは覚えてないようだ。
まぁ今回はどのフロアもそこまで魔が多くなかったから、たいしてレベルが上がってないしな。
だがアリアだけ新しく覚えていた。
忌魔法:嫉妬…はるか昔にじられた固有魔法。
なんか嫌な予しかしねぇな。
そもそも忌魔法ってなんなんだ?
鑑定を使ってみるが、解説で見れること以上は頭が痛くて見れない。
これは気にしないのが一番だな。
俺も忌魔法を持ってるけど、なんともないしな。
よし寢よう。
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